量産されるTVの公開プロポーズ、冷ややかな声が出るワケ

9月1日(土)7時0分 NEWSポストセブン

公開プロポーズで話題の白鳥久美子(中央)とチェリー吉武(白鳥のブログより)

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 たんぽぽ・白鳥久美子が、交際中の芸人から番組でプロポーズを受けた。生放送でのサプライズ劇に対し、祝福を寄せる視聴者もいる一方、SNS上では「食傷気味」といった声も見られる。テレビに欠かせないキラーコンテンツ「公開プロポーズ」に対する制作側の狙いとは?


 白鳥がプロポーズを受けたのは8月26日、『24時間テレビ41 人生を変えてくれた人』(日本テレビ系)に出演中のことだった。交際4年のチェリー吉武が着ぐるみからいきなり姿を現し、「絶対に久美ちゃんを幸せにしてみせます」と求婚。白鳥もこれを快諾し、「ふつつか者ですが、よろしくお願いします」とあいさつした。


『24時間テレビ』では去年も、茨城ゴールデンゴールズの選手兼監督の片岡安祐美が、元DeNA投手で5歳下の恋人・小林公太氏から公開プロポーズを受け、「お願いします!」と号泣しながら承諾していた。


◇公開プロポーズの源流は?


 昔からプロポーズ企画はあった。例えば1973年から1985年に放送された『プロポーズ大作戦』(ABCテレビ)。大型の電光掲示板を挟んで男女5人が向かい合い、集団お見合いをする「フィーリングカップル5vs5」のイメージが強いが、番組の初期の頃はひそかに好意を寄せていた人に告白するという内容だった。告白するお相手は、取引先の受付嬢だったり、痴漢に襲われたところを助けてくれた見ず知らずの男性だったりさまざま。思いのたけを語った上で、番組が探し出したそのお相手が登場。秘めた胸の内を語るというものだった。


 このような番組は2000年代にも確認できる。例えば、2002年から2年間、中居正広草野仁が司会を務めた『別れてもチュキな人』(日本テレビ系、2003年4月から『ワカチュキ』に番組名変更)。自殺を思いとどまらせてくれた恩人にお礼を言いたい、いじめが原因で転校した親友に謝罪したいなど、さまざまな依頼の中もっとも多かったのが、恋愛相談。一度フラれてしまったがアタックしたい、旅先のバリで知り合った現地の男性を本気で好きになってしまったなど、恋に悩む人々が登場。相手に告白していた。


 テレビに出る者は有名、無名問わず、どうしても視聴者の好奇の目にさらされ、時にはネガティブな反応を受けることもある。それでも、告白する人が強い意向を持って自ら番組に登場し、告白という行為がなされていた時代は、制作者の意図がどこにあるかは別にして、そこまで反感を買わなかったものと思われる。むしろ、その様子を温かく視聴者が見守るというスタイルができあがっていたのではないだろうか。


◇「単なる話題作り」と揶揄されるケースも


 そんな、ある意味「神聖」なものとされてきた「告白」が、次々と消費される転機となったと思われるのが、スペシャル番組『好きになった人』(日本テレビ系)である。司会はネプチューンと新井恵理那(過去には小林麻耶など)。


 これは、芸能人が、物心がつくようになった頃から今まで、人生において好きになった人の一覧を「恋年表」として作成。その中から今、特に会いたい相手が登場するというものだ。それは一般人であったり、芸能人であることも多かったが、この番組の特徴は、最後ほぼ必ず、「公開告白」をするという“お約束”があることだった。


 それが物議を醸したのが、2013年4月2日放送の第9弾『好きになった人9』。映画コメンテーター・LiLiCoが、お笑いトリオ・Bコースのナベ(すでに引退)に告白し、快諾を得た。そのまま交際に発展するかと思いきや、収録後お互い話し合い、結果お付き合いできなくなったと、彼女が放送後、ブログで綴ったのだ。後日、別のイベントで彼女は「人生で一番短い“春”でしたね。『春が来た!』と思った1時後には“冬”が来ました」と、わずか1時間で“終わり”を迎えたことを回顧していた。

 

 これに対し当時SNS上では「(告白は)単なる話題作りでしょ」と揶揄されていた。この特番は2010年からの放送以来、去年までに計15回、期首期末などで放送されている人気特番である。放送されるスパンは短くて3か月。広い芸能界と言えども、告白したいタレントがそうそういるわけではなく、制作サイドとしてみればリサーチも時間を要する。うがった見方をするなら、相手への本気度が定かではないまま、とりあえずブッキングし、告白に持ち込もうという、“あわよくば付き合ってもらえれば”という邪心が見え隠れする。


◇告白が場を盛り上げるための“装置”に?


 そんな「告白コンテンツ」の成功を受け、それを売りにするようになったのが『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)である。法律バラエティと銘打ってはいるが、それが垣間見られるのは後半の10分。それまでは、嫌いな人を実名告白したり、因縁の相手と直接対決するなど、人間の本性をさらけ出す番組となっている。


 2013年8月18日の放送でこんな出来事があった。一般女性と交際していたフットボールアワー後藤輝基が、それを知った東野幸治から、いきなり放送中に電話をかけさせ、プロポーズを強いたのである。後藤はいきなりの“無茶ぶり”に慌てながらも、「長らく待たせたな申し訳ない。結婚しようか!」と告げると、相手から「うん」と承諾を受けた。このオンエアは17.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という高視聴率をマークしている。のちに婚約が発表されたが、実際に結婚したのはその2年後のことである。


 この頃から、公開プロポーズが、本当に相手の幸せを思うが故のイベントから、その場をセンセーショナルに盛り上げる手段に変わっていったように思われる。そこで出てきたのが、視聴者とのギャップである。それまでは1つの「番組」の中で時間をかけ、人々がプロポーズをしたいという思いをじっくり聞くことで、その人を応援したい気持ちにさせていたのだが、今やそれが「コーナー」「企画」の中で消化。“共感”がわき上がる前にプロポーズをしてしまうことに、視聴者は誠意のなさを感じてしまうのかもしれない。


◇幸せが“消費”される時代に?


 その『行列』ではごく最近も、モデルの仁香が、16歳年下のカメラマンから求婚。さらにその翌週、今度は女優の高橋ユウが、K-1ファイターからそれぞれサプライズでプロポーズされていた。この2週続けてのプロポーズも、冒頭に挙げたたんぽぽ白鳥とチェリー吉武の例にしても、番組でプロポーズすることになった経緯の“真相”は不明だが、制作側からアプローチされて企画実現に至ったケースも多いのではないだろうか。


 もちろん、「フラッシュモブ」で街なかでいきなりプロポーズする手法が流行ったり、メールやLINEで好意を伝える若年層が増えるなど、「好き」の重みが軽くなっていることも、そうした企画が量産されている背景にはありそうだが、一方で、テレビのコンテンツとして企画化されたプロポーズに辟易している視聴者も確実にいるのは間違いない。


 こうした芸能人の人生の転機は、必ずネットニュースになる。つまりプロポーズ企画はSNS向きの企画なのだ。よって今後も重宝されるだろうが、そうした幸せを次々と消費していく番組をどれだけの人が支持するのか。テレビマンの創意工夫が求められる。(芸能ライター・飯山みつる)

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