芥川賞選考委山田詠美氏、古市憲寿氏に「これからも頑張って」

9月1日(日)16時0分 NEWSポストセブン

最近の芥川賞事情についても言及した山田詠美さんと中川淳一郎さん

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 8月5日、東京・下北沢の本屋B&Bで、作家・山田詠美さんと、ネットニュース編集者の中川淳一郎さん、そして中川さんの元上司である博報堂ケトルの嶋浩一郎さんによるトークイベントが開催された。中川さんの依頼に応えて実現した一夜限りのこのイベントは、題して「今の世の中に言いたいこと、ぶちまけます」。2時間にわたる鼎談の中で、「なっとらん、ドーン!」と机を叩いた事柄とは? 話は芥川賞のことに…。


◆古市憲寿氏が芥川賞を受賞する日は来ない?


 お酒を飲みながら進んだ、このイベント。杯を重ねるにつれて話題は「なっとらん、ドーン!」と言いたくなる最近の芥川賞事情へ。選考委員を16年間務めてきた山田さんの目に、最近の芥川賞にまつわる騒動のアレコレはどう映っているのか?


嶋:ところで芥川賞選考委員の山田さんから見て、社会学者の古市憲寿くんの小説はどうですか? すでにもう2回も芥川賞の候補に挙がってますけど。


山田:私に古市くんの悪口を言わせようとしてるでしょ(笑い)。


中川:古市さん、前回の芥川賞の結果発表前に『とくダネ!』(フジテレビ系)に出て金屏風の前で受賞会見シミュレーションとかやってて楽しそうでしたよね(笑い)。あれ見ました?


山田:見ました。でも注目されてる人が受賞の発表の前に大騒ぎされるのって、昔からずっとよくあることなんですよ。あれはまあ調子に乗ってるんだな、って思うくらいでしょうがないでしょ。でも落選後に、選考委員の会見を恣意的に切り取って、「あの選考委員がいるから受賞できなかった」みたいな編集をしたのはいただけないな。


 今回の芥川賞候補になった作品も前作よりはうまかったんですよ。でも参考文献に小説が載っていて、そっちを読んでみたら古市くんのよりもずっと面白いの。さらに、これは選評でも書きましたが、古市くんがしてることは模倣よりももっと看過出来ないたぐいのことなんですね。


中川:じゃあ何でそのような作品がノミネートされるんですかね?


山田:知らないよ。文春が悪いんじゃないの(笑い)。


中川:今の選考委員ってどうなんですか。ぶっちゃけ相当揉めたりします?


山田:今は割と同世代の作家が揃っているので、さほど面倒なことはないかな。村上龍石原慎太郎のようなわからず屋のオヤジが2人いた時は大変でしたよ。女性の選考委員にネチネチ突っかかって、涙ぐませてたからね。


中川:でも山田さんだって古市さんのことは明確に「私が選考委員やっている間はお前は取れねえぞ。この野郎」くらいのスタンスじゃないんですか。


山田:そんなこと一言も言ってないじゃん! 私は別に古市くんは嫌いじゃないよ。彼は決して小説を書く才能がないわけじゃないので、これからも頑張ってほしいですね。


【プロフィール】

◆山田詠美/やまだ・えいみ。1959年東京都生まれ。作家。1985年「ベッドタイムアイズ」で文藝賞を受賞し作家デビュー。1987年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞を受賞したほか、数々の文学賞を受賞。最新作は『つみびと』。


◆中川淳一郎/なかがわ・じゅんいちろう。1973年東京都生まれ。ネットニュース編集者/PRプランナー。一橋大学卒業後、博報堂入社。企業のPR業務に携わる(2001年退社)。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など。


◆嶋浩一郎/しま・こういちろう。1968年東京都生まれ。1993年博報堂入社。企業のPR業務に携わる。2001年朝日新聞社に出向し「SEVEN」編集ディレクターに。2004年「本屋大賞」立ち上げに参画。2006年「博報堂ケトル」を設立。2012年「本屋B&B」を開業。


撮影/政川慎治


※女性セブン2019年9月12日号



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