『ワンダーウーマン』は普通のヒーロー映画じゃない!?『ダークナイト』も超えたワケ
2017年9月2日(土)13時15分 シネマカフェ
アメリカでは、『アナと雪の女王』や『ハリー・ポッター』シリーズ超えの興行成績を樹立し、パティ・ジェンキンス監督が女性監督興行成績歴代1位を獲得するなど、一大ムーブメントとなっている本作。注目すべきは、本作がいわゆるアメコミ映画の“単独ヒーロー映画のデビュー戦”としても、ぶっちぎりの好成績を残していることだ。
興収4億ドルを優に突破したアメリカでは、トビー・マグワイア主演『スパイダーマン』を超えて歴代第1位に。日本でも、マーベルの『アイアンマン』(2008年9月27日公開)の週末3日間興収2億1,148万5,800円に対し『ワンダーウーマン』はこの175%を記録! クリストファー・ノーランによるバットマン作品の2作目『ダークナイト』(2008年8月9日公開)の先行公開2日間+土日の合計4日間の興収3億3,366万1,800円に対しても、110%と上回っている。
ちなみに、女性主人公の映画で比較すると、アン・ハサウェイ主演『マイ・インターン』(最終興収17.8億円)の初週土日+月曜祝日の合計3日間で2億6,860万7,200円をも大きく上回り、『ワンダーウーマン』は20億円突破も射程圏内となっている。
世界的に見ても、これだけの大ヒットとなっているのは、これまでアメコミを見てこなかった層が気負いすることなく楽しむことができる作品に仕上がっていることが大きい。
女性だけの島で育ち、男性を見たことすらなかった好奇心豊かな“プリンセス”ダイアナ(ガル・ガドット)が、外の世界を知り、人々の争いを止めるため“最強の美女戦士”ワンダーウーマンとして立ち上がる“成長物語”は、アメコミ映画を観たことのない層からも支持された。また、初めてのアイスクリームに大感激したり、当時のロンドン女性のファッションに驚いたり、時折見せる純粋でチャーミングな姿やそのプリンセス・ストーリーなどに、もはやアメコミというジャンルを超え、幅広い層からの共感を得てのヒットに繋がったと言えるだろう。
つまり、この大ヒットを支えているのは、新しいファン層。これまでのアクション映画、スーパーヒーロー映画では考えられない客層で、アメリカでは通常スーパーヒーロー映画は60%以上が男性客だが、本作では女性の観客が半数以上を占め、客層は大人のみならず、子どもたちにまで広がり、社会現象化した。
日本での客層も、20代〜60代と幅広く、カップルや夫婦など2人組も多くみられ、男女比は6:4。いままでのアメコミ映画の男女比が7:3というから、やはり女性の割合が高いと言える。劇場によっては女性客のほうが上回る箇所もあり、アメコミファンと女性層の両方から支持を集め、全米と同じ傾向となっている。さらに、すでに2回、3回と鑑賞するリピーターも多く、作品に対する評価の高さも伺える。
SNS上でも、「なんかすげー泣いちまった」「愛に溢れた映画」「感動して泣きながら見ました」「いままでで一番感動した」「アメコミ初めてでもすごい楽しめた!」「想像以上の迫力と内容。泣けるシーンが多くて最高だった」「自分の中のヒーロー像がアップグレードされたし、なにか人生における意識自体さえ変わった気がします」「もぅ、ねぇさんかっこよすぎ! 勇ましさと美しさ備えた女性って本当最強」「ダイアナの気高さにむせび泣いた。映画でこんな泣き方したことない。やはり彼女は俺の人生最初にして最高のヒーローだった」と、いままでのアメコミ映画とはひと味違う感想が飛び交い、アクションのみならず、新たなヒーロー像としてワンダーウーマンの人生、決断に涙を流す声も多く寄せられた。
加えて、ワンダーウーマンの運命を大きく動かしたスティーブ・トレバー(クリス・パイン)に対しての絶賛の声も目立つ。「2人の掛け合いが面白い」「彼こそが新しい男性像」「ワンダーウーマンとスティーブのロマンスに涙」「最後のセリフが最高過ぎる。もう一度見たい」「クリパ史上、最高のクリパ」と、クリスの好演とスティーブとのお互いを成長させるラブストーリーも評価されている。
「価値観までも変えられた」という声までも飛び交う『ワンダーウーマン』。感動の声はさらに口コミで広がり、より幅広い客層にサポートされながら、アメリカ同様にロングランヒットとなる可能性は高い。
『ワンダーウーマン』は全国にて公開中。