黒沢清監督「撮影現場は天国のように楽しかった」『Cloud クラウド』トロント映画祭で北米プレミア
2024年9月6日(金)19時30分 シネマカフェ
来たる第97回米国アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表作品に選ばれた本作は、日常と隣り合わせの恐怖を描くサスペンス・スリラー。
現地時間9月5日(日本時間9月6日)に同映画祭<センターピース部門>にて開催された北米プレミアは、353人収容する会場「TIFF Bell Lightbox Cinema 2」にて満員の観客から歓迎を受けた。
トロント国際映画祭といえば、カナダ最大の都市・トロントで開催される北米最大規模の来場者数を誇る映画祭であり、“オスカーレースの前哨戦”としても世界中からの注目を集める映画祭。
黒澤監督作品としては、1998年に『CURE』で初めて同映画祭に選出、1999年に「Spotlight:Kiyoshi Kurosawa」として特集上映が開催されて以来、『回路』『トウキョウソナタ』『贖罪』『岸辺の旅』など黒沢監督が新しい作品を発表するたびに招待されている縁の深い映画祭。今回、本作が上映された「センターピース部門」は国際映画祭で高い評価を受けた作品や、才能あふれる監督の待望のプレミア作品、世界に影響力のある巨匠の最新作などを紹介する部門となっている。
第81回ヴェネチア映画祭への参加後、そのままトロント入りした黒沢監督。上映前には、映画祭アソシエイト・インター ナショナル・プログラマーであるジューン・キム(June Kim)に「現代の日本映画界で最も異彩を放ち、爆発的な人気を誇る映画監督」と紹介され、「トロント映画祭に最初に来たのはもう25年前になります。その間何度も呼ばれて、今日また参加することができ感激しております」と挨拶。
あわせて、第97回アカデミー国際長編映画賞の日本代表になったことが紹介されると観客から歓声と大きな拍手で歓迎を受けた。
上映終了後に行われたQ&Aでは観客から盛大な拍手で迎えられた黒沢監督。さまざまな質問が飛び交う中「登場人物たちにとって『天国』とはどのようなものだと思うか?」と哲学的な質問が向けられると、「ちゃんとした答えは考えておきますが、撮影現場はとっても楽しく、殺される側も殺す方もカットがかかったら皆で笑い合い、天国のように楽しい撮影現場でした」とキャストと過ごした撮影現場についてふり返り、会場を笑いに包む一幕も。
その後もQ&Aの質問は絶えまなくつづき、時間内に全て答えることはできなかったが、会場を出てからもサインや写真を求める大勢のファンに囲まれ、大充実の北米プレミアとなった。
『Cloud クラウド』は9月27日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。