“バファローズが誇る天才”吉田正尚が首位打者を取るかどうか問題

9月9日(月)11時0分 文春オンライン

 いよいよ崖っぷちである。ここに来ての大型連敗、我らがORIX Buffaloesは9月に入って未だに1つの勝利すら掴めていない。若きエース山本由伸の復帰登板に連敗ストップへの大きな期待がかかった札幌での1戦(9月8日)、その若きエースとバファローズナイン達の前に立ちはだかったのが昨年までのバファローズのエース金子弌大投手(北海道日本ハムファイターズ)だというのも何とも皮肉な話である。


 もちろん、まだまだCS進出の可能性が完全に断ち切られたわけではないので、最後の最後まで一縷の望みを信じ応援するのがファンである我々に出来る唯一にして最大の行為であるだろう。よってシーズン総括などはもう少し後のコラムで触れるとしようか。ただ、今回は少しだけ浮気して、もう一つのファンの関心事、そう「吉田正尚が首位打者を取るかどうか問題」について語ってみようかと思う。現在、森友哉(埼玉西武ライオンズ)に続くパ・リーグ打率2位、後半戦の固め打ちの具合を見るとチームのCS進出よりまだまだ全然ありえる「吉田正尚が首位打者を取るかどうか問題」である。



9月8日現在、リーグ2位の打率.331をマークしている吉田正尚 ©時事通信社


バファローズが誇る天才スラッガー


 言わずもがな、吉田はバファローズが誇る天才スラッガーである。ドラフトでは毎年即戦力投手を優先して指名する手堅いバファローズ編成が、2015ドラフトにて1位指名したほどであるから、その実力とスイングはプロ入り前からの折紙付である。その吉田、9月8日現在での打撃成績は打率.331、HR25本、打点78と、やはりプロ野球チームの中軸を任されるに相応しい成績を残している。打率はパ・リーグ2位とじゅうぶんに首位打者の射程圏内と言えるだろう。

 

 しかし、実は自分はこの数字では語れない「微妙な物足りなさ」を吉田に感じてしまうのだ。吉田ファンからの批判を恐れず結論を口にすれば、それは「ドラマの無さ」とか「華の無さ」とか言うものなのだろうか。常に淡々と「数字」と戦っているように感じるのだ。


 もちろん、プロの野球選手が数字と戦うことは当たり前の事だろう。忘れ去られる「記憶に残る」選手であるより、永遠に消えない「記録に残る」選手でありたいのも当然だろうと思う。しかし、我々ファンは先天的に1本のホームランに歓喜し、1本のホームランに涙する生き物なのだ。古くからのファンと会話をすれば必ず話題にのぼる「ほっともっとで清原がクルーンから放った逆転満塁ホームランがどうだ」とか「CSでT-岡田が放った逆転3ランがどうだ」とか劇的なホームランの話なのである。そう、吉田のホームラン。それも劇的でドラマティックなホームランを目撃していないという、そんな「微妙な物足りなさ」なのだ。



絶望の壁を打ち破るホームランを求めて


 結局の所、自分は吉田に感動を求めてしまっている。「率」も確かに大切な要素であるが、それ以上に吉田にはホームラン、それもチームに光を呼び込むような、そんな劇的なホームランを求めてしまっているのだ。そう、今回のコラムのテーマ「吉田正尚が首位打者を取るかどうか問題」、自分からすれば「取ってくれるに越した事はないが、特に首位打者なんか強く拘る必要はないよ」なのである。ホームランダービーへのラストスパート、要は残りの試合でホームランを量産する天才スラッガーの真骨頂を目撃したいのである。


 レギュラーシーズンも残るは16試合。そして、崖っぷちとは言えまだまだ希望を胸に戦いを続ける我らがORIX Buffaloes。絶望の壁を打ち破るホームランが放てるのは吉田、それにモヤくらいではないだろうか。残る試合を悔いなく戦う為にも、我々ファンが今シーズンの事を永劫話題に出来るように、1本でも多く吉田の打球が大きな弧を描き、歓喜に沸くライトスタンドに飛び込む事を期待している。


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(DOMI)

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