中井貴一が40年近く活躍できる理由を中井貴一研究家が分析

9月11日(水)7時0分 NEWSポストセブン

中井貴一が活躍を続けられる理由とは?

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 硬軟織り交ぜた演技で、俳優として40年近く第一線で活躍を続ける中井貴一(57才)。新作主演映画『記憶にございません!』も公開前から話題だ。その中井について長年研究を続けるコラムニストのペリー荻野さんが、彼の魅力について綴る。


 * * *

 みなさん、こんにちは。「中井貴一研究所」所長のペリーです。


 思えば私はこれまで「若林豪二枚目保存会」「生でんでんを観る会」(でんでん出演の舞台を見に行く)など、勝手な会を作って地下活動(なんで地下?)を続けてきましたが、時代劇以外で、一番長く続けているのが、中井貴一研究といえます。


 なぜ、中井貴一が気になるのか? それは目の前に現れるたびに、違う貴一がそこにいるからです。古くは1982年、初時代劇『立花登青春手控え』で罪人を診察する若き医師、『ふぞろいの林檎たち』で大学生を演じて、悩み多き若者の代表のような存在感を示した貴一。


 シリアス系の演技派…かと思ったら、ある日突然、CMでカッパとタヌキとともにお陽気に出てきた。あれれ?と思ったら、映画『マークスの山』では、連続殺人事件を追う刑事になってしましまの翳がさした暗い顔を見せる。その振れ幅のすごさに目が離せなくなったのです。


 以来、出演作をチェックし続けた私は、この世には「A貴一」と「O貴一」が存在するのだと気づき、折に触れその違いについて書いてきました。


「A貴一」のAは、アクション。シリアスでタフな貴一です。柔術で悪人を投げ飛ばす立花登はじめ、真田広之と死闘を繰り広げた映画『亡国のイージス』、大河ドラマ『平清盛』で、海賊と戦うために海に飛び込み、弓矢をはねのけつつ、敵の船に飛び移って斬るわ、飛ぶわした清盛(松山ケンイチ)の育ての父・忠盛マッチョ貴一も忘れられません。


 一方、「O貴一」はおろおろのO。代表作ドラマ『最後から二番目の恋』では妻を亡くした45歳の生真面目おじさん役で、娘にエッチな本(?)を見つけられたり、やり手女性(小泉今日子)にやり込められておろおろの連続。例のカッパとタヌキのCMでも、最近、広瀬すずと彼女が連れた新バージョンのカッパとタヌキを見つけておろおろ度がアップしてます。


 そんな彼の新作映画といえば『記憶にございません!』三谷幸喜脚本・監督と聞けば、こりゃどう考えてもOバージョン…。しかし、そう簡単にいかないのが、この映画のみどころともいえます。なにしろ、中井貴一が演じる総理大臣・黒田啓介の態度が悪い! 国民の声に耳を貸さず、国会で追い詰められると「だから、うるせいなあ、もう! 記憶にねえんだ。記憶にございませーん」と憎々し気に答弁するのです。出たな、ブラックA貴一。しかし、怒った国民が投げた石が当たって卒倒。記憶を失くした黒田は、O貴一に変身。


 夜のニュースで自分の支持率が「前代未聞の2.3%」と知ると(ちなみにニュースキャスターは女優初挑戦の有働由美子)「なんでそんなに人気がないんでしょうか」とおどおどと聞いたりする。あまりの変貌ぶりに周囲は困惑、大騒動が巻き起こります。


 この姿を観て、私は思ったのです。三谷監督は「この俳優のこういう姿が観たい」というところから物語を発想、構築していく方。ということは、三谷さんもやっぱり、AとO両方の中井貴一を観たかったに違いない!! ですよね? 研究者としては三谷監督に「ありがとう」と言いたい。言われても困ると思われそうですが、ここで言わせていただきました。そんなわけで、私の研究はまだまだ続きます。

NEWSポストセブン

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