上田晋也の番組で東国原英夫と千原せいじが嫌韓発言を連発するも、元ネトウヨの古谷経衡に逐一反論され日韓問題への無知晒す

9月12日(木)22時47分 LITERA

話題を呼んだ『上田晋也のニュースな国民会議』(TBS/HPより)

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 本サイトでは繰り返し批判しているが、いま、日本のマスコミは安倍政権が煽る日韓対立に丸乗りして韓国へのバッシングに興じている。とくにひどいのがテレビだ。その惨状には、放送業界の内側からも強い疑念が出始めている。たとえば、『報道特集』(TBS)キャスターの金平茂紀氏は、毎日新聞7日付のコラムでこう綴っていた。


〈テレビ報道に長年携わってきた人間の一人として、何ともやり場のない恥辱を覚えている。「今はさあ、とにかく韓国をたたこう」。在京某テレビ局のワイドショーの制作デスクが定例会議の席で言い放ったそうだ。「数字(視聴率)取れるんだよね」。他国に対する偏見・差別や憎悪をあおって数字(視聴率)を上げる。公共の放送が決してやってはならない禁じ手だ。悪化している日韓関係に便乗する形で、日本のテレビは、程度の濃淡はあれ、公認の「嫌韓キャンペーン」を繰り広げているかのようだ。〉


 実際、いまテレビのワイドショーや情報番組では、連日、「タマネギ男」から何から韓国ネタを取り上げては、安倍応援団文化人や“空気”を読むお笑い芸人らコメンテーターが、韓国叩きの説教をぶつのがパターン化している。こうしたテレビの「嫌韓キャンペーン」は一見、日韓問題を客観的に議論するフリをしているが、実際には「いかに韓国が悪くて日本が正しいか」と印象付けるものだ。そして、この風潮がエスカレートした結果、『ゴゴスマ〜GOGO! Smile!〜』(CBCテレビ)で武田邦彦氏が「日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しなけりゃいかん」と言い放ったような、ヘイトクライムの扇動まで招いてしまっている。


 そんななか、9月8日に放送された『上田晋也のニュースな国民会議』(TBS)という番組が、一部で話題を呼んでいるのをご存知だろうか、くりぃむしちゅーの上田晋也がMCとなり、ゲストの芸能人・文化人や一般人ら100人をスタジオに揃えて生討論させる番組で、そのなかで日韓問題を取り上げた。


 討論をする出演者には、先日、やはり『ゴゴスマ』で金慶珠・東海大学教授に「お前は黙っとけ」「嫌いだよ、俺は!」などと韓国ヘイトと女性蔑視丸出しの罵倒を繰り出した東国原英夫や、安倍応援団的なコメントや嫌韓的コメントでネトウヨから人気を博す千原せいじなどが顔を揃え、議題は「韓国と仲良くしたほうがいい? 仲良くしなくてもいい?」というもの。「また、お決まりの韓国叩きか……」と辟易しつつ視聴していたのだが、しかし、この番組は少し違った。


 たとえば、番組ではディベートを始める前に、討論者の100人に「韓国と仲良くしたほうがいい?仲良くしなくてもいい?」の投票をしたのだが、その結果は87対13で「仲良くしたほうがいい」が大きく上回ったのだ。すかさず「仲良くしなくてもいい」の立場を示した千原せいじが、この結果に「テレビで映っててね。本気のことを言う根性があるかないかっていう」と揶揄して“韓国バッシング”に空気を持っていこうとしたのだが、本格的に議論を始める前に、MCの上田は出演者全員に対してこう注意したのだ。


「一部のテレビ番組や週刊誌で、韓国のみなさんの国民性を否定したり、差別をするような発言があったりしました。この番組はあくまでよりよい未来のために解決法はないかという議論の場なので、たとえば感情的になって罵ったり、差別的な発言があったら即刻退場していただくということもあるんで、東さん、くれぐれもお気をつけください」


「東さん」とはもちろん東国原のことだ。冗談っぽくはしていたが、これは上田が出演者の顔ぶれを見て、釘を刺したということだろう。


●千原せいじは「韓国は嘘つき」と主張も「嘘って何か」を聞かれ、まともに答えられず


 もっとも、そんな上田の注意にもかかわらず、討論のなかでは、せいじが“韓国叩きワイドショー”そのもののヘイトまがい発言を繰り出した。


せいじ「いまはちょっともう(韓国と仲良くするのは)無理やん。嘘ついたりするから。大人の話し合いでかたっぽが嘘つくとか、そんなことされたらもう進まへんから」


 しかし、この暴論に待ったをかけたのが、評論家の古谷経衡氏だった。やりとりを再現してみよう。


古谷「嘘ってなんですか?」


せいじ「たとえばあれ、たとえばお金10億もろたけど、みんなに配ってなかったとかさ」


古谷「それは韓国国内の処理であって嘘とは言いませんよね」


せいじ「いや俺はわからへんけど」


古谷「もうちょっと勉強されてください」


 「10億」というのは2015年末の「慰安婦合意」のことを言っているのだと思われるが、「配ってなかった」のではなく、合意に反対する元慰安婦が「受取りを拒否」したのだ。そもそも戦争犯罪をカネで封じ込めようという「慰安婦合意」や日韓請求権協定の欺瞞や問題点をよく知りもしないまま、雰囲気で“韓国は嘘つき”と言っているのを喝破されたせいじは、「あの人(古谷)の圧はすごいやん。なんなんアイツ!」と吐き捨てるのが精一杯だった。


 番組はその後も、次から次に「韓国が悪い」と主張する出演者の欺瞞を古谷氏が的確ツッコむかたちで進んでいく。


 たとえば、「韓国とは仲良くしなくていい」という立場の東国原は自分のプレゼンのなかで、討論者投票では「仲良くしたほうがいい」が圧倒したことが受け入れられないのか、こんなことを言い出した。


「今日思ったのは、これ7割が青(「韓国と仲良くしたほうがいい」)じゃないですか。これ、韓国で同じ調査をしたら逆になりますよ。なります。確実になります。つまり日本国民というのはこれだけ温厚なんですよ。非常に我慢強いですね。日本国内で不買運動してますか? 韓国製品の。してないですよね。韓国の文在寅の写真焼いたり踏んづけたりしてますか? 日本でね。してませんよね。僕ぐらいですよ、文句言ってんのは」


 何を言っているのだろう。日本のテレビをひねれば、東国原だけじゃなく、それこそほとんどが「文句」を装って韓国へのヘイトまがいの言説をぶちまけているのが現状ではないか。


●東国原「戦後日本は韓国に我慢してきた」に古谷は「韓国の人は植民地時代に我慢してきた」


 しかし、古谷氏はこの東国原のプレゼンに対しても、もっと根本的な問題を突く。そのくだりを書き起こしてみよう。


古谷「東さん、さっきプレゼンのときにですね、戦後日本は70年間韓国に我慢してきたとおっしゃいましたよね。具体的に何を我慢してきたんですか?」


東国原「慰安婦問題だとか、1965年の日韓基本条約ですね、経済協力もね、あれは僕我慢だと思いますよ。1950年代からずっと話し合いがありましたよね、朝鮮戦争終わってから。そこからずっとお互い歩み寄った。本当は、日本は経済協力等々はしたくなかったと思います。でも、戦後処理として我慢をして、そして韓国の意見を取り入れて、3億ドルの無償、2億ドルの有償、3億ドルの民間、計8億ドルという当時の韓国の国家予算の数倍といわれた、そういうのを拠出したんだと。それはね、我慢だと僕は思いますよ」


古谷「我慢だとおっしゃってるんですけど、僕からしたら、1910年から1945年までの間、日本が非合法的に朝鮮半島を植民地にしてきた、その謝罪と和解のお金であって、日本が戦後70年間我慢してきたんであれば、韓国の、朝鮮半島の人たちは1910年から45年まで我慢してきたんですよ。それはあまりにも日本の解釈に寄った発言だと思います」


 おおむね古谷氏の言う通りだろう。実際には、日韓請求権協定をめぐっては、日本側が意図的に「謝罪」や「賠償」の性質を入れないようにした。実際、5億ドル(無償3億ドル、有償2億ドル)の供与と3億ドルの民間融資は、あくまで経済協力という名目であり、賠償ではないというのが日本政府の立場だ。


 つまり、日本は朝鮮の植民地支配に対する「賠償」をせず、責任を曖昧にしたままだったにもかかわらず、安倍政権は協定のなかに「完全かつ最終的に解決された」という文言が入っているのをタテにして、徴用工問題で「国と国との約束を破った」などと一方的にがなりたてているのである。東国原の主張も、まさにこの安倍政権の強弁のトレースだ。ちなみに、この請求権協定でも個人の請求権は失われない。それは、歴代の日本政府の解釈でもそうである。


●千原せいじが「韓国の国民性」発言に降谷は「日本が上から目線」


 明らかに論破されているのだが、しかし、せいじら「韓国と仲良くしなくてもいい」派は、持論を撤回するどころか、手を替え品を替えて韓国を叩こうとする。たとえば、討論のなかで「韓国と仲良くしなくてもいい」立場の大学生が、「いろいろ教えてもわかってくれない。覚える気もなさそうだし」「勉強に喩えたときに、日本が先生で韓国が生徒」と発言したのに乗じて、せいじが「国民性だ」などと言い出した。


せいじ「そういうのってすんごい面白くって。本当に国民性やなと思うんやけど。あの、ハブ空港なんか行くと、乗り換えのときに一番手前がアジアで言えば中国やねんな。中国の飛行機、もう中国の人が近うないと嫌や言わはるから。その次に韓国。韓国の人は日本より後ろ嫌や言うて。結局日本がつくるときに一番金出してんのに、めっちゃ奥にあるみたいな。なんかそんな感じで、付き合う言うても、うまくいかへん感じがすごい臭うてるのよ。空港ひとつみても」


 ちょっと言っている意味がわからないが、ようするに、せいじは「韓国人はわがままで、日本人は我慢している」と言いたいのだろう。だが、こうした主張は、単に韓国を上から目線で罵り、「国民性」などと言ってレッテルを貼る、つまりはヘイト丸出しの言説でしかない。実際、番組のなかでも、せいじは古谷氏にこう指摘されていた。


古谷「あの、原則から言っちゃえば、世界の国々ってどんな小さな国でもどんな大きい国でも、平等なんですよ。国連決議のときに一票持ってるんです。で、日本と韓国にしてみれば、1965年の日韓条約で、お互い平等な主権国家であることを認めたので、どっちが教えてやるとか、甘やかしてやってるとか、いや、こっちが我慢してやってるとか、そういうこと関係ないんですよ。もう平等なもので見なきゃいけない。ところが、なんか一部の人を聞いてたら、まだ日本が上から目線のように私は聞こえる。それはよくないことだと思います」


 まったく古谷氏の言う通りだろう。結局、「韓国は嘘つきでわがまま」「日本は我慢してきた」というような言説は、植民地支配や戦中に日本が朝鮮半島の人々に対しておこなった非人道的な行為の数々をまったく考慮していないだけでなく、それこそ“アジアで最初に近代化をなしとげた大日本帝国”のマインドを引きずった差別的感情の発露でしかないのだ。


●金平茂紀がテレビスタッフに「あなたは1910年の韓国併合を知っているか」


 念のため言っておくが、古谷氏は別に「左翼」ではない。もともとネトウヨ雑誌の編集長をつとめるなど、元ネトウヨの評論家だ。逆に言えば、古谷氏が番組内で語ったのは、従来は右派のなかでも常識だったことばかり。ようするに、それだけいま、日本の韓国を巡る言論状況のレベルが下がって、“ヘイト丸出しでも韓国を叩けば許される”という底が抜けたことになっている。そういうことだろう。


 いずれにしても、『上田晋也のニュースな国民会議』での討論は、結果的に、マスコミが「嫌韓キャンペーン」一色に染まるなか、そうした韓国バッシングが、いかに適当に垂れ流されているかを浮き彫りにした。その点は高く評価したい。なにより、いまマスメディアに求められているのは、韓国批判一辺倒の安倍政権や言論界を冷静にチェックし、“嫌韓世論”の暴走を食い止めることに他ならないからだ。


 冒頭で紹介した金平茂紀氏は、「嫌韓キャンペーン」がはびこるテレビの内側に向けて、こう呼びかけていた。


〈なぜこんなことになってしまったのか。僕らテレビ人は頭を冷やして考えてみた方がいい。今回の日韓対立の直接の引き金は、去年10月の徴用工判決とされているが、徴用工問題とは一体どのような歴史的な事象なのか、ディレクターの君は知っているか。この徴用工問題では、中国との間では裁判で和解が成立し、和解金が支払われている事実を、放送作家のあなたは知っているか。歴史認識の隔たりが対立の根底にある。AD(アシスタントディレクター)のあなたは1910年の韓国併合を知っているか。実際、恐ろしいほどの知識の欠如、無知が、事実認識をゆがめているのではないか。〉


 もう一度言う。いま、日本のマスコミは、まるで戦中の大本営発表のように安倍政権の言い分を垂れ流し、数字のため、嬉々として韓国バッシングに乗っかって、人々の嫌韓感情を煽りに煽っている。だが、その先に行き着くのは、差別や暴力を肯定するヘイト思想の決壊にほかならない。マスコミ関係者は胸に手を当てて、自分たちが本当にやらなければならないことを考えてもらいたい。
(編集部)


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