鈴木伸之「何かを諦めてしまった人や挫折した人に響く作品にしたい」 戦力外通告を受けた元プロ野球選手役【インタビュー】

2024年9月13日(金)5時0分 エンタメOVO

インタビューに応じた鈴木伸之 【スタイリスト:くしかわ とも、ヘアメーク:高橋 亮(※ハシゴダカの髙)、小道具:IZU】(C)東海テレビ

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 鈴木伸之が主演するドラマ「バントマン」(東海テレビ・フジテレビ系)が10月12日23時40分から放送スタートする。

 本作は中日ドラゴンズの全面協力で実現したスポーツ・エンターテインメントドラマ。元プロ野球選手の主人公・柳澤大翔(鈴木)が戦力外通告を受け、華やかなホームランバッターから一転、第2の人生では誰かの幸せを願いバントを打ち続けようともがく生きざまを描く。スポーツが大好きで、自身も少年野球を楽しんでいたという鈴木に、ドラマに懸ける思いや見どころ、人生でピンチに陥った体験エピソードなどを聞いた。



−まずは本作の企画を聞いたときのお気持ちと、台本を読んだ感想を教えてください。

 僕は中学2年生まで野球をやっていて、今まで野球の作品に出演したこともあったのですが、プロ野球選手という設定は初めてだったので、自分に務まるのかという不安な気持ちがありました。台本を読むとコミカルで面白いやり取りがたくさんあって。野球愛にあふれたキャラクターの大翔が普通の会社員として第2の人生を送る中で、いろいろなものを野球に例えて話したり、全てが野球の哲学につながりながら物語が進んでいくので、今までに見たことがないような作品になると思いました。

−柳澤大翔というキャラクターをどのように捉えて演じていますか。

 柳澤大翔は中日ドラゴンズに所属していた元プロ野球選手で、ドラゴンズのことが大好きな熱い男です。もともとはドラフト1位で野球選手になり、初打席でホームランを打つのですが、その後に大スランプに陥って戦力外通告を受けてしまって…。プロ野球選手に戻りたいという思いがある中で、野球の“送りバント”のような犠牲心を配って、いろいろな人を支えている会社の人々と出会い、彼自身も成長していくキャラクターです。

−その役柄の魅力をどんなところに感じますか。

 純粋にすごいなと思います。自分の仕事に対して本当に好きだということを赤裸々に話すキャラクターでもありますし、33歳でもう1回プロ野球選手に戻ろうと思うこと自体も普通の人ではなかなかできないなと思います。彼は真剣に野球場に戻ってホームランを打ちたいと常々言っているので、そういうところは人間味を感じますし、応援したいなと思えるすてきな人物だと思います。

−元プロ野球選手ということで野球をするシーンが多く出てきますが、役作りで準備したことはありますか。

 僕は野球を辞めてからはバットを振ったり、ボールを投げる機会があまりなかったので、とにかく今は隙間時間があれば練習しています。元プロ野球選手に見えるために、どう説得力を出したらいいのかというのを、すごく考えながら演じています。

−鈴木さん自身も野球少年だったということですが、野球に対しての特別な思いや、撮影で中日ドラゴンズのユニフォームを着たり、バンテリンドームに立つことに対しての期待はありますか。

 僕はケガをして野球を辞めてしまったのですが、小さい頃の夢はプロ野球選手でしたし、真剣にやっていたからこそ、辞めてしまった野球に、また違う機会で触れていくのが申し訳ないような気持ちが最初はあったんです。ですが、プロ野球の中日ドラゴンズのユニフォームを着させてもらったり、やっていくうちに楽しくなっていって。今ではドラゴンズの試合を毎試合チェックしたり、バットも最初は振りたいと思っていなかったのですが、ホームランバッターという設定なので、どうやったら打てるんだろうと研究したり、スイングの練習をしたり。これからバンテリンドームに立たせてもらうシーンの撮影をするのですごく楽しみです。1回でもいいので練習でホームランを打てたらいいなと思います。

−鈴木さん自身はどんな野球選手だったのでしょうか。

 僕はバッティングが得意だったので、ホームランバッターとまでは言えませんが、4番5番で試合に出してもらって、時々ホームランを打つようなバッターでした。ですが、高校や大学、プロ野球の世界となると全く違うので、そういう野球界の人たちにも認めてもらえる作品になるように真剣に取り組んで、今できることを一生懸命やっています。

−大翔は“自分ではまだできる”と思っている中で戦力外通告を受けてしまいますが、鈴木さんご自身は今までに人生の大ピンチはありましたか。

 僕はもともと歌のオーディションを受けたことが芸能界に入らせてもらったきっかけだったのですが、歌のオーディションは落ちたので、それが挫折だったのかなと思います。当時17歳で自分がこれから初めて将来の輪郭が見えるようなものに出合ったのに、それがかなわなかった瞬間があったので、そういうところはすごく今回のキャラクターに似ているのかなと思います。

−鈴木さんがピンチを乗り越える方法や秘訣(ひけつ)はありますか。

 何よりも「好き」という気持ちがいろんなことを後押しすると思います。練習したり、データを調べたり、自分の好きなものに特化する。僕もまだ分かりませんが、好きに勝るものはないと思うので、自分がやりたいことやなりたいものがあったら、例えピンチが起きても、とにかくそのことについてだけを、ずっと考えることが乗り越える秘訣なのかなと思います。

−最後に本作の見どころを教えてください。

 僕が演じる大翔も含めて人生がうまくいかない人にフォーカスしている作品です。何かをあきらめてしまった人や挫折した人はもちろん、プロ野球選手やスポーツ選手に見てもらっても響く作品にしたいと思っています。土曜日の夜に気楽に見ていただけたらうれしいです。

(取材・文/小宮山あきの)

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