早期解散論浮上 選挙気にせず消費税10%引き上げのためか

9月17日(日)16時0分 NEWSポストセブン

選挙のあとは増税か

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 民進党議員の不倫疑惑と相次ぐ離党などもあり、一時期低支持率に喘いでいた安倍政権への風向きが大きく変わった。それを受けて9月10日、麻生太郎・副総理兼財務相は安倍晋三・首相の自宅を訪ね、早期の解散・総選挙を強く進言したという。二階俊博幹事長や、山口那津男・公明党代表も総選挙主戦論である。


 だが、解散権を握る安倍首相はまだ逡巡している。


 自公両党から沸き上がる解散論に政権の大番頭の菅義偉・官房長官が頑強に反対し、政権内部で麻生—菅の対立が起きているからだ。政治ジャーナリスト・藤本順一氏が指摘する。


「危機管理の責任者である菅さんは、北朝鮮情勢がこれだけ緊迫している時に解散すべきでないという筋論から反対の立場です。11月にはトランプ米大統領の来日が調整されており、『北朝鮮問題への対応を協議するために来たのに日本は選挙なんかやっているのか』と言われてしまう。麻生さんがわざわざ総理の私邸に出向いて解散を説いたのも、官邸で話をすれば菅さんに猛反対されることがわかっていたからでしょう」


 安倍首相が解散をためらうもうひとつの大きな理由が憲法改正だ。解散を打てば、改憲発議に必要な現有3分の2以上の勢力(自公で323議席)を失うリスクがある。


「ここで3分の2を失えば、安倍政権下での発議どころか、今後10年以上、憲法改正はできなくなる」(自民党憲法改正推進本部メンバー)


 いくら有利な情勢でも、解散には大リスクがある。改憲に政治生命を賭ける安倍首相が迷うのは当然だろう。そこで解散推進派が説得材料にしているのが安倍首相の大叔父、佐藤栄作首相の「黒い霧」解散(1966年)だ。


 当時、自民党議員がからんだ贈収賄事件や国有地売却の不透明な取引が相次ぎ、「黒い霧」と批判を浴びた。党内からも批判にさらされた佐藤首相は綱紀粛正を表明すると、意表を突いて1966年12月の国会冒頭で解散に踏み切った。


 当初は苦戦が予想されたが、結果は野党の準備不足で自民党はほとんど議席を減らさずに安定多数を確保し、佐藤内閣は戦後最長の長期政権に踏み出した。落選中だった安倍首相の父・晋太郎氏もこの選挙で返り咲きを果たした。


「麻生さんも二階さんも、“佐藤首相に倣え。今なら衆院の3分の2を維持できる”と安倍側近を通じて総理の耳に入れている」(自民党幹部)


 首相ブレーンの1人は、早期解散論の背後には別の思惑があると見ている。


「来年は先送りしてきた消費税率10%への引き上げを最終判断しなければならない。今のうちに安倍総理に解散・総選挙を決断させて4年の衆院任期を得れば、選挙を気にせずに増税できる。与党内の早期解散論を裏で煽っているのは財務省です」


 これまでなら重大な決断は自ら下してきた首相だが、求心力が低下した今、側近、与党、官僚までもが一丸となった解散風に抗うのは難しい。まるでピエロのように、その強風に煽られている。


※週刊ポスト2017年9月29日号

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