高畑裕太 即逮捕・即釈放の謎事件を生んだ群馬県警の責任

9月18日(日)7時0分 NEWSポストセブン

不起訴処分で釈放された高畑裕太

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「県警幹部は“こんなに早く示談するとは思わなかった。ハシゴを外された”と唇を噛んでいた」──そう話す捜査関係者の表情には落胆と疲労の色が滞っていた。


 俳優・高畑裕太(23)が群馬・前橋市内のホテルで40代の女性従業員に性的暴行を加えたとして強姦致傷容疑で逮捕されたのは8月23日。以降、留置されている前橋署には連日マスコミが詰めかけた。県警は逮捕発表以降、情報をほとんど明らかにしなかったため、全容が明らかになるのは法廷か──誰もがそう思っていた矢先、事態は急転した。


 逮捕から17日後の9月9日、被害者との示談が成立し、不起訴処分となって釈放されたのである。


 親告罪の強姦と異なり、強姦致傷は被害者の告訴なしで起訴できる。示談後の起訴もできるが、そうなると被害者の協力なしで裁判を争わなければならない。検察は公判を維持できないと判断し、不起訴としたとみられる。


“逆転劇”はなぜ起こったのか。


 逮捕当初、高畑は「女性への欲求を抑えきれなかった」などと容疑を認め、犯行についても、高畑の求めで歯ブラシを部屋に届けに来た女性従業員の手首をつかみ部屋に連れ込んで暴行した、と報じられていた。


「示談後に発表された高畑の弁護士の声明では、“歯ブラシを部屋に届けさせて暴行した事実はないと考えている”と報道を否定しています。高畑の供述に関する報道は、県警の発表によるものですが、当初から彼の供述には曖昧な部分もあった。県警は不確定情報を公表して、騒動に火をつけた可能性がある」(前出・捜査関係者)


 もう一つ気になるのが、県警に通報した“知人男性”の存在だ。女性従業員は午前2時から同2時半の間に高畑の部屋にいたとされる。知人男性が通報したのは同3時半頃。女性が部屋を出てからわずか1時間後だ。別の捜査関係者が言う。


「事態を把握してから通報するまでの彼の行動はあまりに迅速だった。通報した時点で詳細まで押さえていて、周到ささえ感じられた。60代後半の彼は、地元では名が通っている人物で、県警もその存在を知っていたはず。もう少し逮捕や発表には慎重になっても良かったのではないか」


 早さという点では、示談も異例のスピードだった。弁護士の郷原信郎氏が言う。


「通常、加害者側に怒りや恐怖を覚えて被害申告をした強姦の被害者は、すぐの接触を拒み、示談交渉は起訴後になることが多い。早く示談が成立したのは、被害者側に早い段階から示談の意思があったと見るべきでしょう」


 県警内では逮捕に至った経緯の確認作業が行なわれているという。


「強姦の場合は本来、性行為があったことを示す証拠が必要。今回、衣服は押収したようだが、被疑者がすぐに認めたため、証拠は重要視されなかったようだ」(前出・捜査関係者)


 元兵庫県警刑事の飛松五男氏が言う。


「捜査員は被害が届け出られた時に熟考すべきだった。一部の捜査員たちが有名人の逮捕という“勲章”に浮き足立っていたのではないか。結局、被害者と加害者双方にとって様々な疑念を残しただけ。警察の罪は重い」


 これは冤罪でも免罪でもなく“煙罪”とでも呼ぶべきか。“煙に消えた”ように真実が何も見えない。


※週刊ポスト2016年9月30日号

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