スガノミクスの罠 財界にべったり、経営難の零細企業は冷遇

9月18日(金)16時5分 NEWSポストセブン

庶民派のイメージは偽りだったのか(写真/AFP=時事)

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 庶民の味方の“値下げおじさん”──。菅義偉・新首相が語った政策から浮かんでくるのはそんなイメージだ。


「日本の携帯料金は世界でも圧倒的に高い水準だ。私は4割は下げられると提案している」。それを聞いた国民は、“庶民派の菅さんならやってくれそうだ”と期待した。ところが、雲行きが怪しくなってきたのは、総裁選最中の消費税をめぐるこの発言だった。


「将来的なことを考えたら、国民の皆さんにお願いして消費税は引き上げざるを得ない」。翌日に慌てて「今後10年間くらいは上げる必要はない」と修正したものの、もしかすると菅首相は“増税おじさん”なのではないか——という不安を国民に抱かせた。経済アナリストの森永卓郎氏が指摘する。


「菅氏は庶民派のフリをしているが、政策は財界、大企業べったり。安倍政権の法人税減税や外国人労働者の受け入れ拡大など、経団連の要望を汲んだ政策を実質的に取り仕切ってきた人物です」


 言われてみれば、菅氏の消費増税論は、消費税率が10%に引き上げられた直後の2019年11月、経団連が「消費税率10%超への引き上げも有力な選択肢の一つ」として、国民的議論の喚起を提言(*注)した内容と一致する。


【*注/経団連「経済成長・財政・社会保障の一体改革による安心の確保に向けて」】


「私は菅政権で2つのことが起きると考えています。日本が重税国家になることと、中小零細企業がどんどん潰れて日本経済の転落が加速することです。国民は菅さんの庶民派の仮面に騙されず、スガノミクスの正体を見極める必要がある」(森永氏)


 これからどんな“苦しみ”が国民を待ち受けているのか。


「働き方改革II」で賃下げ


「地方の銀行は多すぎる」——菅首相が「携帯料金値下げ」と並んで具体的に掲げたのが地銀再編だ。


 だが、政府はコロナ禍で経営悪化に苦しむ中小零細企業や自営業者の資金繰りを支援するため実質無利子・無担保の融資を行なっており、その窓口が地方の銀行になっている。


「いま地銀を淘汰すれば、銀行側は自分が生き残るために不良債権減らしの貸し剥がしに走らなければならない。そうなると緊急融資で生き延びている中小零細企業の大量倒産を招く」(森永氏)


 なぜ、菅首相はこの時期に地銀“取り潰し”を訴えはじめたのか。


 それも経団連の方針に沿った政策だ。中西宏明・経団連会長は9月7日の記者会見で、次期政権への要望として「財政健全化」を挙げ、税金で中小零細企業を支援する政策にこう注文をつけた。


「ゾンビ企業を助けるようなことになっては、日本経済の根幹が揺らいでしまう」


 菅首相は「コロナ対策に全力をあげる」と言いながら、裏では財界と同じで“経営難の中小零細企業は潰したほうがいい”という考えなのだ。


※週刊ポスト2020年10月2日号

NEWSポストセブン

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