『HELLO WORLD』北村匠海インタビュー|無垢で何も知らない“弱々しいヒーロー”を熱演、念願だったアニメ声優初挑戦──
2019年9月19日(木)19時0分 映画ランドNEWS
映画『HELLO WORLD』
北村匠海インタビュー
『時をかける少女』『サマーウォーズ』の助監督を務め、『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』を興行収入25億円の大ヒットに導いた気鋭・伊藤智彦監督のオリジナルアニメ最新作『HELLO WORLD』が9月20日(金)より劇場公開。脚本に小説「バビロン」シリーズの野﨑まど、キャラクターデザインに『けいおん!』の堀口悠紀子を迎え、『楽園追放』のグラフィニカが制作を担当。さらに、音楽にはOKAMOTO’Sらを中心としたドリームチーム「2027Sound」を起用した話題作だ。
松坂桃李、浜辺美波とともに本作で声優を務め、京都に住む内気な高校生・堅書直実(かたがきなおみ)役を演じた北村匠海に、念願だったアニメ声優に初挑戦した感想や、北村曰く“未来が変わった”『君の膵臓をたべたい』以来の再共演となる、浜辺美波とのエピソードなどについて、率直に語ってもらった(取材・文:渡邊玲子/撮影:ナカムラヨシノーブ)。
──かなりのアニメ好きで、ずっとアニメの声優をやりたかったそうですね。実際に経験してみていかがでしたか?
北村:今回、画が出来る前に声を吹き込む“プレスコ”という手法で進めていったのですが、想像以上にすごく難しかったですね。ラフ画がどんどん切り替わっていくのですが、その画がない部分もあって、僕らのセリフを主体に映像が出来ていくんです。声を吹き込みながら、自分の頭の中でキャラクターを作り上げていくような感覚でした。
──何日くらいかけて収録されたのですか?
北村:3〜4日くらいかけて収録しました。とにかくすべてが初めての経験だったので、最初のうちはなかなか感情が入らなくて苦労しました。これは今回の僕の反省点でもあるのですが、完成した映画を観ると、序盤と後半で僕が演じた直実の声が全然違うんです。だんだんコツをつかんで慣れていっている感じが、きっと観ている方にもわかると思います。
──掛け合いの部分は、松坂桃李さん、浜辺美波さんと一緒に収録されたのですか?
北村:半分くらいは一緒に吹き込むことが出来たのですが、僕が先に収録した部分もあるし、あらかじめ松坂さんが吹き込んだセリフを聴きながら演じた部分もありますね。
──身体を使って演技をするのと、声だけで表現するのとでは、どんな違いがありますか?
北村:声優の場合は、土地の広さや空の高さ、会話をしている相手との物理的な距離なんかも、すべて声だけで表現しないといけない。今回、実際に自分でやってみて実感したのは、普段と同じような芝居をしているときの声だけを切り取ると、すごく無感情に聞こえてしまうということだったんです。
──日常会話においては、表情や身振り手振りで補っている要素が大きいということですね。
北村:みんな知らず知らずの間に、こうやって相手の目を見て話したりとか、物理的な相手との距離に応じて、声量を調節しながら喋っていたりするんですよね。それでも伝わらないものがある中で、声優は自分の声だけを頼りに感情を伝えていかないといけない。『HELLO WORLD』の中には、涙を流すシーンや戦うシーンのほかに、記憶の狭間を叫びながら飛んでいくシーンなんかも出てくるのですが、なかでも一番難しかったのは、「グッドデザイン」が腕にまとわりついてきたときのリアクションでしたね。もちろん現実に僕の腕に何かが纏わりつくわけでもなければ、ましてや今回はプレスコだから、それが画として表現されているわけでもなくて(笑)。一体どんな感じに仕上がるのかわからない状況で、想像力を120%働かせて乗り切りました。
──松坂さん演じる「カタガキナオミ」は、北村さん扮する「堅書直実」の10年後という設定ですが、松坂さんの若い頃を演じる上でのプレッシャーはありましたか?
北村:事前に、松坂さんが初めて吹き替えを担当された『パディントン』を観て「これが初なんてすごい!」と、尊敬とともにすっかり頼りにしていました。現場では役者の先輩・“吹き替えの先輩”として、松坂さんに引っ張っていただきました。『HELLO WORLD』で描かれている世界には、複雑な記憶の階層があって、僕の直実と松坂さんのナオミとの間には、単なる10年という歳月以上の大きな隔たりがあるんです。ナオミの声からは、転送装置を何千回も失敗して、足も失って、背中も火傷しながら、目を覚ますかどうかわからない一行さん(CV:浜辺美波)のために、10年を捧げてきた男にしか出せない“深み”のようなものが感じられました。同じ人物とはいっても、高校生役の僕がその幅を縮められるわけもなく、あえて直実は「無垢で何も知らない“弱々しいヒーロー”でありたい」っていうのが、今回僕が松坂さんと一緒にやっていく中で、自然と生まれてきたテーマでした。
──“弱々しいヒーロー”という言葉、すごくいいですね。
北村:ずっと本にしか興味がなくて、誰とも連絡先も交換できないでいた直実の目の前に、「お前に彼女を作る」って忽然と現れた松坂さん演じるナオミは、れっきとしたヒーローですよね。でも僕は『HELLO WORLD』の世界には、二つの異なるタイプのヒーローが存在していると感じたんです。同じ「かたがきなおみ」という人物ではあるけど、一行さんにとっての「なおみ」は2人いるんです。ラストは絶対に明かせないのですが、僕はラストの描写があることで「この世界に報われない人は、誰もいない」と思ったんです。こういう世界観を描けるところが、僕がアニメを好きな理由でもあります。めちゃくちゃ細部までこだわって作っているがゆえに、あのスケールで表現してもちゃんと説得力を持たせられる。そこがすごく面白いなと思いました。
──浜辺美波さんとの久しぶりの再共演はいかがでしたか?
北村:『君の膵臓をたべたい』(以下、キミスイ)は、僕らの“人生を変えた作品”。少なくとも『キミスイ』がなかったら、今の僕はないと思う。わかりやすく言うと、寝て起きたら一晩でフォロワーが20万人増えている世界って、想像できますか(笑)?
──それこそ『HELLO WORLD』のような、SFの世界の話にしか思えないです。
北村:まさに“世界が変わっちゃった”という感じでしたね。あの当時の僕は、まだ本格的に映画の仕事をした経験が少なかったので、「興行収入が35億円超え」なんて聞いてもすぐには理解できなかったし、「日本アカデミー賞受賞しました」「報知映画賞受賞しました」と言われても、正直はじめは「なんのこっちゃ」みたいな感じでした(笑)。
──なるほど、当時はそういう心境だったのですね。
北村:こういう話は今まで2人であまりしたことがないからわからないですが、きっと美波ちゃんもそうだったんじゃないかな。あの映画でダブル新人賞をいただき、少なからず“僕の未来は変わりました”。今回、美波ちゃんと会うのは『キミスイ』以来だったから、すごく不思議な感じがしました。当時はあまり話す機会はなかったけど、お互い別の現場もたくさん経験して、ずいぶん大人になったので(笑)。ちゃんと喋れるようになりました。美波ちゃんとは話が合う時はすごく合うのですが、すれ違う時は思いっきりすれ違う……みたいな感じで、すごく面白いんですよ(笑)。
──本作の音楽を担当された「2027Sound」は、『HELLO WORLD』のためだけに結成されたドリームチームなんですよね。
北村:OKAMOTO'Sの皆さんとは、以前DISH//としてもコラボしたことがあって、今回こういう形でまたご一緒できて嬉しかったです。プロデューサーの武井克弘さんの趣味嗜好がとても良い感じに全面に出ていて、僕が大好きなメンバーが集まっているんです!Official髭男dismさんは、まさに今のミュージックシーンの先頭を走っている方々だし、Nulbarichさんも海外でものすごく人気ですし。気鋭のミュージシャンたちが集まって、みんな実験的な音楽をやっていて。これは音楽業界、映画業界どちらにとっても、ゾクゾクする感じがします!
──そういう意味からも『HELLO WORLD』は、アニメ好きはもちろん、音楽好きにも映画好きにも刺さる作品とも言えますよね。それこそ北村さん&浜辺さんの『キミスイ』を観た方にも、松坂さん吹き替え版の『パディントン』を観た方にも!
北村:『キミスイ』では結ばれなかった2人が、この作品ではどうなるのか。ぜひ、直実と一行さんのラブストーリーも追い駆けて欲しいです。そんな風に、いろんな要素を欲張りなまでに詰め込みながらも、『HELLO WORLD』はアニメとも深いつながりのある、京都という街の魅力もたっぷり伝えられる作品になっていると思います。本当に多くの方々にこの作品が届いて欲しい。監督、脚本、キャラクターデザインの方々すべて、アニメ好きにはたまらない素晴らしい方々が集まっていて、さらにこの映画のためだけの音楽のドリームチームも組んでいる。それぞれのジャンルのファンの方々が、各自好きなように、好きなだけ楽しんでくれたら嬉しいですね!
──楽しいお話をありがとうございました!
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— 映画ランド (@eigaland) September 19, 2019
映画『HELLO WORLD』は9月20日(金)全国東宝系にて公開
(C)2019「HELLO WORLD」製作委員会
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