中田ヤスタカが前面に出る曲、Perfumeファンの反応は如何——近田春夫の考えるヒット

9月20日(水)11時0分 文春オンライン

『If you wanna』(Perfume)/『MIDNIGHT』(SPYAIR)


©絵=安斎肇


 過日……。


 後輩筋にあたる、トラックメーカーでもあるDJと、


「とにかく深夜帯の賑わいがかつてほどではなくなってきているのはたしかだよね」


 そんなネタを肴に昼間からビールで盛り上がっていたばかりの俺であったが、色々と聞くところによれば、たしかに、首都圏のいわゆる“クラブシーン”は全体的にあまり元気がよろしくないようだ。


 酔って踊ってグルングルン。遊ばせるのが基本のヤクザな稼業とは語弊があるのならば先に謝ってもおくが、水商売に浮き沈みはつきものである。底の底まで客足が落ちたと思いきや、新しい音の登場と共に、一夜にして、シーンがあっさりと奇跡の復活を遂げてしまうというような光景なら、俺もティーンエイジャーの頃から幾度となく現場で目の当たりにしてきた人間の故、むしろフロアの状況が芳しくないと聞けば、これはきっとこの先、何かが待っている筈である。“夜明け前”に違いないとお気楽に構えて、いっそ楽しみにしてしまうようなところがあるから困ったもんだ。まぁ、それが畢竟“夜遊びびとのメンタリティ”てぇヤツなのやもしれぬが、いずれにせよEDM以降、トラック業界(笑)に未だ“その次の大波”の押し寄せてきていないのも、事実ではありましょう。


 ダンスミュージックの進化、細分化などを俯瞰で眺めたとき、ある意味、飽和状態といってもいい“四つ打ち系”だが、かといって、ではそれ以外に何か——客を踊らす方法なぞは——あるのか?


 そういえば、いっとき“ジャングル”だの“ドラムンベース”だのと、シンコペーション的というか、なんか複雑でせわしないビート/リズムパターンの——四つ打ちではない——ダンスミュージックが脚光を浴びたこともあったがどこかへ行ってしまった。


 その末裔なのだろうか? 最近、時々耳にするのが“フューチャーベース”なる非四つ打ちモノの名である。特徴は(あくまで私見)目的が決して踊らせることにはない、それよりは打ち込み術の競い合いをリスナーに脳味噌で味わわせるみたいな、すなわち「拝聴」にこそ意義があるんだゾと。そんないささか小難しい音の印象を持っている。


If you wanna/Perfume(ユニバーサル)Perfumeの面々も、各媒体でのインタビューではこの曲をチャレンジと捉えていたことが窺える。

 Perfumeの新曲も、述べた意味合いではまさしくフューチャーベースのマナーにしっかりと則った作りといえる。


 そのような曲調ゆえ、耳に残るのは本人たちの歌よりはどうしても中田ヤスタカのサウンドの妙——例えばシンセベースであったり——ということになってしまう。そのあたりをどう捉えるかは聴き手それぞれのPerfumeとのスタンスの取り方でも違ってくるとも思うが、中田ヤスタカはどーでもよくて、単にアイドルとして彼女たちのことを応援してきたような層にこの路線ってどうなのだろう?


MIDNIGHT/SPYAIR(ソニー)2005年に結成した全員愛知県出身のバンド。韓国の野外フェスに参加するなど、同地でも人気とのこと。

 SPYAIR。


 歌唱、演奏ともに隙がなさ過ぎ? 今の十分の一ぐらいの力でテキトーに作った曲が聴いてみたいヨォ。



(近田 春夫)

文春オンライン

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