【インタビュー】「オイディプス」黒木瞳 市川海老蔵・森山未來と挑むギリシャ悲劇は「心に刺さる何かがある」

9月20日(金)12時0分 エンタメOVO

王妃イオカステ役の黒木瞳

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 ギリシャ悲劇の最高傑作ともうたわれる「オイディプス王」を英国演劇界の実力派マシュー・ダンスターの翻案と演出で送る「オイディプス」が10月にBunkamuraシアターコクーンで上演される。主役のオイディプスを演じるのは、2020年に13代目市川団十郎白猿の襲名を控える市川海老蔵。そして、オイディプスの妻であり母でもあるという悲劇的な運命を背負う王妃イオカステ役を黒木瞳、オイディプスに嘆願するコロスたちの中心人物である神官役を森山未來が演じる。「ギリシャ悲劇」「歌舞伎」「ダンス」が相まみえ、新たな可能性を感じさせる本作に挑む黒木に公演への思いを聞いた。



−まずは、出演が決まったお気持ちを聞かせてください。

 ギリシャ悲劇に参加するということは非常に光栄であると同時に、ハードルが高いとも感じています。

−原作の「オイディプス王」はすでに読まれたそうですが、どのような感想をお持ちになりましたか。

 オイディプス王の悲しい運命が描かれていますが、人間の愚かさを凝縮している作品だと思いました。今回、この作品を上演するに当たっては、ご覧になった方が悲しみだけを持ち帰るのではなくて、その中からも何かを見つけて楽しんでお持ち帰りいただける作品になればと思います。

海老蔵さんとは本作が初共演と伺いしました。

 いつも客席で拝見しておりましたので、同じステージに立つことで、また違った海老蔵さんの風景が見られるのではないかと楽しみにしております。新たな海老蔵さんを発見できるのではないかなと思っています。

−海老蔵さんの魅力をどんなところに感じていらっしゃいますか。

 お若いときから素晴らしい歌舞伎役者でいらして、一言で言ってしまえば「日本の宝」であると感じています。その海老蔵さんがオイディプス王を演じられるというのは、想像できないところがありますが、その意外性が面白いなと思います。

−森山さんとは、2度目の共演ですね。

 はい、昔々、共演したことがあるのですが、その当時、彼はティーンエイジャーで、それ以来になります。どう大人になられたか楽しみです。

−共演した当時の印象は?

 当時は、自転車で稽古場に通っていらして、すごくかわいかったのを覚えています。息子役でしたので、それもあって放っておけない気持ちになりました。かわいい、かわいい息子でした。今、いろいろな作品でご活躍されている姿を拝見すると、ずいぶんと大人になられたので、それも楽しみです。

−演出家のマシューさんは本作が日本初演出作品となるそうです。海外の演出家にどんなことを期待されていますか。

 ギリシャ悲劇をどういった形で日本のお客さまに届けようとなさるのか、それは見ものだと思います。

−イオカステという役については、今現在はどのようにお考えですか。

 彼女はどこまで知っていて、いつどうやって自身とオイディプス王の運命を知るかということが一番の疑問です。そして、このお話はそれこそが物語の運びになってくると思うので、演出家とお話をしながら作っていきたいと考えています。

−本作に限らずですが、普段、役作りはどのようにしているのですか。

 日本人の役ではないときは、扮(ふん)装したり、せりふが入っていく中で、こういう人だということを考えていきます。日本人の役よりも逆に外国の人の方が、自分とは全く違うものを作れると思います。

−黒木さんは映像作品でも活躍されていますが、舞台に出演することの魅力はどこに感じていますか。

 舞台はライブですので、お客さまの反応がすぐに分かることにあると思います。ですので、映像とは全く違う魅力があると思います。ただ、映像と舞台という違いはあっても、一つのエンターテインメントの世界です。見てくださる方がいて一つの作品が出来上がるものですので、お客さまに楽しんでいただけたらいいなということはどの仕事をしていても思いますし、それに尽きると思っています。そのために、自分がどんなことをしなければいけないのかを考えています。

−「悲惨な予言から逃れるために放浪の旅に出たオイディプスの悲劇」を描いた本作にちなんで、黒木さんがつらい出来事に遭遇したときやストレスがたまったときの現実逃避の仕方やストレス発散方法を教えてください。

 現実から逃避したことはないですね。ストレスは発散することよりも、ためない努力をします。人とお話をしたり、楽しい時間を家族と持ったりといったささいなことでも心は元気になるので、そういった時間を設けて、心を癒やそうとします。ためない、一人だけのものにしないようにということは意識しています。

−改めて作品の見どころを教えてください。

 「前代未聞の新生『オイディプス』」というキャッチフレーズにもある通り、今までとは違うものになると思います。とはいえ、私自身は「今まで」のものを知らないので、すごく新鮮な気持ちで入っていけると思っていますし、このキャスト、このチームでしか作れない「オイディプス」に仕上がると思います。悲劇は見たくないという方もいらっしゃるかと思いますが、悲劇だからこそお客さまの心に刺さる何かがあると思うんです。だから、こういった古典が今も上演されているんだと思います。その何かを私は見つけたいし、お客さまにもそれを感じていただければうれしいです。

(取材・文/嶋田真己)



 シアターコクーン・オンレパートリー2019 DISCOVER WORLD THEATRE vol.7「オイディプス」は10月7日〜27日、都内・Bunkamuraシアターコクーンで上演。

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