越乃リュウ、勢いと負けず嫌いで始まった宝塚人生。緊張のあまり、本科生の問いかけに出た「へぇ」

9月22日(水)13時0分 婦人公論.jp

圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、今年で107年の歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第5回は「勢いと負けず嫌いで始まった宝塚人生。緊張のあまり、本科生の問いかけに出た〈へぇ〉」です

* * * * * * *

宝塚受験の思い出


こんにちは。
「元組長の部屋」へようこそ!
今回は、「宝塚受験」のお話です。

第4回で書いた通り、おかしなきっかけでしたが、宝塚受験をすることになった私。
怒られた腹いせに「ぜったい合格してやる!」と負けず嫌いスイッチONです。

試験会場という普通でも緊張する空間のうえ、
東京、洗練された都会の中高生、スタイルがいいキレイな人ばかり、
みんな歌も上手……。

新潟の田舎娘には衝撃が大きすぎる…。


宝塚受験前、高校2年生の頃(写真提供:越乃さん)

緊張のあまり、首を動かさず、目だけを右に左にきょろきょろ、
知らない間に息が止まっている始末。

ダメだ なんかスんゴイとこに来ちゃったらしい。
あの人絶対受かる。
あの人も受かる。
私…だめだ。

完全に気持ちは負けています。


バレエの発表会(写真提供:越乃さん)

田舎娘の開き直り


その後どうやって頑張ったのでしょう?
僅かに残っている記憶は、ダンスの試験。

きっとだめだけど……、踊りは好きだから、思いっきりやってこよう!

「さあ 私を見ろ!」
開き直ると強い私。
なぜあんなに楽しくジャンプしたのでしょう?

歌の自信などこれっぽっちもありません。
でもそれに比べたら踊りなら 少しは。
その少しの自信を味方に付けて、「開き直った」
らしいです。

田舎娘の開き直りに、点数をくださった試験官がいらしたのでしょう。

えええー!? 合格!?!?

一次試験合格でした。

思いもよらぬ合格に、欲が出るのは当然のこと。
最終試験までの合格を目指すスイッチはここで完全に入りました。


高校時代のおさげ写真(写真提供:越乃さん)

人前で話すのが苦手


2次試験の声楽。
間違えてるだろうなと思いながら、とにかく堂々と歌いきり、
奇跡的に無事クリア!

さあ残すところは最終面接です。
人前で話す事を何より苦手としている私は、実技の試験とは違う緊張で押しつぶされそうです。
周りの受験生たちは、みな洗練された都会の人に見えてしまう。
田舎から出てきた娘とバカにされたくない一心で、なぜか見栄を張ろうとする私。

試験会場には、1学年上の「本科生」がお手伝いにきています。
緊張している私を見て「緊急してる?大丈夫?」と声をかけてくださいました。

当時、「都会の女はこう答えるのがカッコいい」と思い込んでいた私は
「えぇ」と答えようとします。
ところが、自分が思った以上に緊張していたらしく、声より先に息が漏れ…

「へぇ」

へぇって………ザ・田舎者丸出しです。

声をかけてくださった本科生には大笑いされ、私も爆笑。
おかげで緊張も溶け、面接もなんとかクリア。

合格発表で自分の番号を見つけた時は、本当に嬉しかったです。

「へぇちゃん、おめでとう!」
校舎に入る時、本科生の方に笑顔で迎えられました。

へぇちゃん、舞い上がりすぎてお受験やこのあたりの記憶は途切れ途切れ…。
弱気になったり強気になったりと、何かと忙しい精神状態でありました。


新潟にて(写真提供:越乃さん)

勢いと負けず嫌いで始まった宝塚人生


私の宝塚人生は、勢いと負けず嫌いによって、こんな感じで始まりました。

初めての関西、初めての兵庫県・宝塚、初めての飛行機(しかもプロペラ!)。
行く先々に「宝塚」と書いてある街並みに感動し、
宝塚に向かうはずが京都に着いたり、
いろいろと私らしい笑いと感動の連続からスタートしました。

私の人生はいつも「イヤだ」から始まります。
流されながら、嫌いなこと、嫌なこともちょっとだけやってみる。
その世界をちょっとだけ覗いてみる。
今ならそのおもしろさがわかります。
あと一歩踏み出してみる、その一歩がきっと素敵な未来につながっていきます。

最後に、私に雷を落としてくれた歌の先生が、
私の合格を聞いてかなり驚いていたことを一応報告しておきます。

次回の「元組長の部屋」は、「越乃寒梅の娘」
宝塚の芸名のお話です。

※次回の配信は、10月6日(水)の予定です

婦人公論.jp

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