映画界は完全な男社会 女性編集技師はどう生き抜いたのか

9月23日(日)17時0分 文春オンライン

 石井妙子さんの傑作ノンフィクション『 満映とわたし 』(文藝春秋刊)がこの秋、劇団民藝の舞台になる。



石井妙子さん


 日色ともゑさん演じる舞台の“主役”女性映画編集者の岸富美子さんは女優の原節子、李香蘭と同じ大正9年生まれ。


「ふたりの女優はフィルムの中で輝きましたが、岸さんは編集室でひたすらフィルムを接(つ)ぐ作業に没頭しました。当時の映画界は完全な男社会。その中で岸さんは誰にも負けない技術を身につけて周囲に認められていきます」


 溝口健二ら名匠の作品に携わった後、満州に渡り、国策映画会社・満映(満洲映画協会)へ。そこで敗戦を迎える。


「満映の崩壊を見届けた岸さんは、厳しい状況のもとで、現地に残り、中国映画の草創期を支えることになります」


 原作は、資料が乏しく、これまで甘粕正彦と李香蘭のみで語られてきた満映の貴重な“真実の現場”の記録でもある。しかし、最も胸を打つのは、時代に翻弄されながらも自分の守るべきものを守り、子どもを育てながら仕事を全うする、ひとりの女性の姿だ。それは劇作家・黒川陽子さんの脚本による今回の舞台『時を接ぐ』にも息づいている。


「本の執筆を通して、私自身も岸さんから色々なことを教えてもらいました。フィルムを接ぐように、こうして人と人とも接がれていくんだな、と思います。98歳になられた岸さんと一緒に、客席で観劇する日を楽しみにしています」



INFORMATION


劇団民藝『時を接ぐ』

9月26日(水)〜10月7日(日)紀伊國屋サザンシアター

http://www.gekidanmingei.co.jp/performance/2018_tokiwotsugu/





(「週刊文春」編集部/週刊文春 2018年9月27日号)

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