目指せホールド王! ファイターズ・堀瑞輝は静かに活躍する

9月23日(木)12時0分 文春オンライン

 贔屓チームの成績が振るわない時、皆様はスポーツ新聞をどのようにご覧になるでしょうか。


 勝敗・成績に関係なく常に隅々まで熟読玩味するという方も、もちろん多くいますよね。新聞にはその日の試合のことだけでなく、選手の個人成績ランキングなども掲載されていて、それが日々変わっていくのです。道新スポーツ(サンケイスポーツ)なら6面の下3分の1くらい、「プロ野球データBOX」と見出しのあるコーナーですね。ここを読み飛ばしていたら、タイトル予想などもできません。


 とは重々承知しているのですが、私は今シーズンほぼ読み飛ばしてしまっておりました。


リリーフ投手の表の一番てっぺんにいた男


 つまりファイターズの成績が振るわないということはファイターズの選手達の成績も思わしくないということで、「部門別3傑」なんていうところを見ても「柳田(ソ)」とか「マーティン(ロ)」とか、「近藤(日)」なんてのはない訳です。投手陣だって、上沢直之も伊藤大海も頑張っていますが山本由伸みたいなとんでもない人がいるし、今年は宮西尚生も元気ないし……今このページを見てもあんまり楽しくないな……。


 というヘタレな思い込みのせいで、気がつくのがまるで遅れてしまったのです。


「部門別3傑」の下、「救援投手」「個人HP」のランキング。そこをある日ふと眺めて、己の目を一瞬疑いました。「パ個人HP」の一番上に、「堀(日)」とあるではありませんか。え、え、ファイターズの堀瑞輝ですか。堀瑞輝が今現在の暫定最優秀中継ぎ投手なのですか。ほ、堀くん、君いつからそこにいたんだ一体。



堀瑞輝


 いや、シーズンの最初からコンスタントに同点や僅差リードのホールドシチュエーションで投げ続けているのを、もちろん観ていたんですよ。今日も危なげなく無失点だった頼もしくなったもんだなあ、なんて思ってたんですよ。なのに、それを全部積み重ねていったらリリーフ投手の表の一番てっぺんに彼が来た、という事態をまるで想定していなかったのでした。


 ファイターズ戦以外も全部細かくチェックしている訳ではないので、他チームの投手がどのくらい投げているのかを判っていなかったというのもありますし、平良海馬とか佐々木千隼とか、特に注目を集めた投手たちに気を取られていたのもありました。しかし一番大きな理由は、先ほどもちょっと書きましたが「宮西尚生が不調だったから」だという気がします。


 13年連続50試合登板、ファイターズ不動のセットアッパーとして君臨し続けてきた彼でしたが、今年はシーズン序盤からホールド失敗が目立ち、ファームで再調整なんてこともありました。かつての定位置8回のホールドシチュエーションはブライアン・ロドリゲスや井口和朋に譲り、ビハインドでの登板も今は珍しくありません。


 HPランキングで他チームのライバルと競えるのは宮西尚生だけ、という感じを何となく持ってたのですね。その彼が勝利の方程式から降りたのであれば、残る若いリリーフ陣はいわば「皆で頑張る」存在で、彼等の誰でも一本立ちで名を挙げるのはまだまだまだまだ先だろうと、頭から決めてかかっていたのです。お見それしました。本当に申し訳ない!


勝ちパターンのリリーフは「目立たずに活躍するポジション」


 考えてみると堀瑞輝ももうプロ5年目になるんです。堂々のドラフト1位入団なのですが、新入団選手発表記者会見で「僕は暗い男です」と言ったんですよね。ドラ1ルーキーの第一声としては、あんまり見ない展開じゃないでしょうか。この時は更に続けて「目立つことが得意ではないので」とも言い、しかし投手がマウンドの真ん中にひとり立っていて目立たずにいるというのも非常に困難な話です。この子大丈夫かなあと思ったりしたものでしたが、マウンド度胸はあるんですね。


 その秋には日本代表に呼ばれて第1回アジアプロ野球チャンピオンシップで投げているのですが、2死満塁という大ピンチでの登板で、堀瑞輝その時19歳、マウンドで笑っていたというんです。代表コーチの建山義紀は当時も「びっくりしました」と語っていましたが、よほど印象的だったと見えて、今年もUHB北海道文化放送の番組「F-PARK」でインタビューした際に、4年前の話になりました。すると23歳になった堀瑞輝曰く「ピンチの時の方が楽しいって思うことがあるんですよ」。経験を積んだ分だけ怖さも知った筈の今でも「緊張とか絶対点を与えないというよりも、この場面でいくのオモロ!っていうような気持ちが出ちゃうことがあったんで」と。


 今この文章を書いている9月21日現在、堀瑞輝の最新HPは18日の対マリーンズ戦で挙げたものですが、実はこのデーゲームの試合を昼間家にいなかった私は観ておらず、それで夜の「プロ野球ニュース」を楽しみにしていたんです。先発ドリュー・バーヘイゲン好投、2番手堀瑞輝好投、3番手ブライアン・ロドリゲス大劇場だったけど無失点、そしてクローザー杉浦稔大が締めた訳ですが、この中で堀瑞輝の姿だけ映像で確かめることができませんでした。中継ぎ投手の好投って端折られがちなんですよね。アナウンサーさんが「8回は宮西が無失点」とか何とか言うだけで、映像はクローザーが最後のアウトを取るところ。得てしてこんな感じです。


 あ、ということはつまり勝ちパターンのリリーフって「目立たずに活躍するポジション」だということになりますね。これはまさしく堀瑞輝にうってつけではありませんか。


 その翌日19日の試合は終始ビハインドの展開だったので彼の出番はありませんでしたが、宮西尚生が出てきたところでこんな話題になりました(HTB北海道テレビ放送の中継でした)。


 もしも、今年このまま本当に、堀瑞輝がホールド王、最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得することができたら。


 その時は「いつもお世話になっている宮西さんが欲しがっている時計を買ってあげたいそうです」というのを聞いた解説・岩本勉、最初は早合点で勘違いしていました。「宮西さんが時計を買ってくれる」んだって。そうじゃないんです。後輩・堀瑞輝が宮西先輩に、買ってあげたいと思ってるんだそうです。


 タイトル記念としてはちょっと珍しいこの念願。どうか叶いますように!


◆ ◆ ◆


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(青空百景)

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