オリックスファンの心を一つにしたのは“スーパー未成年”紅林弘太郎だったのかもしれない

9月23日(木)12時0分 文春オンライン

 あなたがもし、19歳の自分自身に手紙を書いて渡すとしたらいったいどんな言葉をかけてあげますか?


 自分ならどうだろう。バイトや遊びを減らしてもっと曲を書けとか、色んなライブに出演しておけとか。きっと限りなく叱咤要素の強い叱咤激励のお手紙になるのだろうか。今では選挙権を有し「特定成人」なんて言葉で大人として括られる事もある19歳。それでも成功への希望と将来への不安が入り混じりながら、漠然と何かを求めてもがいている年頃だろう。子供は卒業して大人への入学直前。人生の春休み期間。「特定成人」なんて言っても生身の19歳なんてそんなもんだろう。


 しかし、世の中にはそんな「フワッとした」空気とはかけ離れた所で戦っている19歳が沢山いるのもまた事実で、貴花田(後の横綱・貴乃花光司氏)が幕内初優勝を達成したのも、坂本勇人(東京読売ジャイアンツ)が開幕スタメンで颯爽とデビューしたのも19歳。大人達にさえ尊敬を抱かせるスーパー未成年。実は今年のオリックス・バファローズの躍進に欠かせない存在がそのスーパー未成年、紅林弘太郎なのではないだろうか。 



紅林弘太郎


技巧派から勝ち取ったポジション


 今年のオリックス・バファローズを表現するのに、新戦力の台頭という言葉がよく使われる。確かに長く低迷が続いていた数年前までと現在のスタメンではその顔ぶれが大きく異なっている。サード・宗佑磨やセンター・福田周平といった嬉しい副産物もあるのだが、何より驚いたのが二遊間の配置ではなかっただろうか。


 もともとオリックス・バファローズのショートは長く安達了一の牙城だった。過去のこのコラムでも度々取り上げたが安達の守備は特級品だ。安達が居る限りショートのスタメン枠が空くことは無いと誰もが思っていた事だろう。それが今となっては紅林の定位置となっているのだから、やはりプロ野球は面白い。


 まるで2008年の巨人のような感じだろうか。誰もがショートは二岡智宏の牙城だと思っていたが、その年を境に坂本勇人の定位置となった。奇しくも坂本も紅林もその当時入団2年目の19歳。技巧派と呼ばれる遊撃手からそのポジションを奪ったのは、中〜長距離打に期待が持てる右の大砲で大型遊撃手だった。


#全員で勝つ


 7年ぶりの首位ターンを決め、現在も3.5ゲーム差で首位ロッテを猛追中のオリックス・バファローズ。 “#全員で勝つ” は後半戦に掲げたチームスローガンだ。確かに中嶋聡監督がいう通りオリックス・バファローズは最下位からのチャレンジャー、全員で戦い全員で勝つのが悲願のリーグ優勝への最も近道だろう。


 いよいよ残り試合も25、ますますペナントレースから目が離せなくなってきた。勿論、この “#全員で勝つ” には我々ファンも含まれている。普段こそ「そこはジョンジー違うやろ!」とか「増井さんもう1イニング行けたって!」などどMy監督論を高らかに唱うファン達も、ここに来ては頂を目指してあからさまに心が一つになってきたように感じる。肌感が明らかに例年と違っているのは誰もが感じている事だろう。特に負け試合にそれを感じるのだから盛り上がりは本物と言う事か。


 打線に良い所無しで迎えた終盤戦。一人粘り強くボールに喰らいつく紅林に皆感動し、リーグトップのエラー数の紅林の守備を一丸となって見守っている。太田涼や宜保翔と最後までスタメン争いを繰り広げ、ついには安達からショートのポジションを掴み取った彼を我々はずっと見届けて来た。今思えば紅林を見る時の我々の心は、開幕以降ずっと一つになっていたのだろう。案外、我々オリックス・バファローズファンの心を一つにしたのはスローガンでも演出でもなく紅林弘太郎だったのかもしれない。


 後はリーグ優勝のビールかけの場で、まだ未成年の紅林の口に “誤って” ビールが入らないよう我々は一丸となって見守る事にしよう。



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(DOMI)

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