海外映画祭大絶賛!この秋一番の珍作「仁光の受難」

9月23日(土)10時1分 まいじつ


映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『仁光の受難』


配給/ポニー・キャニオン 9月23日より角川シネマ新宿ほかで全国公開

監督/庭月野議啓

出演/辻岡正人、若林美保、岩橋ヒデタカ、有元由妃乃ほか


映画の秋には、珍品もチラホラ。これなんかその最たるものかもしれない。監督、出演者は“知る人ぞ知る”の面々の独立プロ作品ながら、バンクーバー映画祭をはじめ、海外の映画祭でバカ受けした、というのも分かる気がする。それもそのはず、異常に女にモテる謹厳実直な硬派イケメン僧侶が、女難をかわしながら妖怪・山女と対峙するという奇想天外な時代劇なのだから…。エロスとファンタジーが交錯し、浮世絵風、曼荼羅風アニメーションも加え、東洋的エキゾチズムも存分に味わえる、となれば海外の好事家受けは必至。


もちろん、日本人が観てもクスクスと笑いが起こるはずで、大いに楽しめる堂々たるエンターテインメントだ。


その昔、武州のはずれの寺に、誰よりも修行に励む仁光という真面目な僧侶がいた。彼の悩みは女性に異常にモテること。しかし、僧侶にとって女犯は大罪。そんな彼が己を見つめ直す旅先で、男の精を吸い取って殺すという妖怪・山女と対峙することに…。



大人版「日本昔ばなし」


後半の妖怪・山女との対峙よりも、前半の異常なモテぶりが笑える。とにかく町の女は仁光に、熱病に冒されたがごとく夢中。ほかの坊主には目もくれす仁光まっしぐら。御新造さんから、子守っ娘、熟女から老婆まで、果ては同業のソノ趣味のある坊主にまで色目を使われる始末。世代、性別を越えて群がるオーバーな描写がオカシイ。それに対する仁光の困惑顔がカワイイ(?)。演じる辻岡正人は『クローズZERO』(2007年)などのイケメン俳優で、ちょっと伊藤英明似かな。ご本人が『人生でこんなにモテたことはない』とテレるほどの“女難坊主”を、コミカルと哀愁をミックスさせて熱演している。


面を付けた裸女が乱舞し、のっぺらぼうの美女(顔が分からないのに矛盾する表現だな)が迫る。修行中の滝壺からも全裸美女群が突如現れたりして仁光の煩悩を刺激する! そのエロス・ムードに輪をかけて効果的なのが尺八による『ボレロ』演奏だ。ボレロって性的刺激を増幅させるメロディーなのは、洋画コメディー『テン』(1979年)でのベッドシーンを盛り上げたことでも実証済み。


庭月野監督(脚本・編集、アニメも担当)はなかなかの才人で、「落語家の怪談噺のようなおかしくて不思議な妖怪譚を観客に体験してほしい」と語っている。そうか、これは大人版『日本昔ばなし』みたいな気分で楽しめば良いのか、とストンと腑に落ちた。



まいじつ

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