全国251病院別「がん5年生存率ランキング100」

9月23日(日)7時0分 NEWSポストセブン

女性の罹患率1位、死亡率5位の乳がん

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 ついにがん治療統計のタブーが破られたといっていい。国立がん研究センター(国がん)が9月12日、ある報告書を発表すると、全国紙やニュース番組が一斉に報じた。1100頁以上の長大な報告書に記されていたのは、全国の病院別に集計されたがん患者の5年生存率だった。


 専門的ながん医療を提供する「がん診療連携拠点病院」など全国251施設で、2008〜2009年にがんと診断された約50万人の患者が対象。乳がん・胃がん・大腸がん・肺がん・肝臓がんの主要5部位の5年生存率が、がんの進行度(ステージI〜IV)ごとに発表されたのだ。


 国立がん・がん対策情報センター長の若尾文彦さんが語る。


「医療施設にとっては治療結果を振り返り、今後の診療の参考にできます。また、病院を横に比較するものではありませんが、患者さんは治療する病院を選ぶ参考になると考え、今回公表に踏み切りました」


 発表された「5年生存率」とは、がんの治療を開始してから5年後に生存している人の割合を示している。


「多くのがんにおいて、がんの治療を受けてから5年経過してもがんが再発しなければ、がんは『寛解』、つまり症状がほぼ消失した状態だと見なされます。そのため、5年生存率は治療効果を判断する重要な目安です」(新潟大学名誉教授の岡田正彦さん)


 ただし、「生存率の高さ=治療技術の高さ」ではないと、前出の若尾さんは話す。


「合併症のある患者さんもいますし、高齢のかたや進行がんを抱える患者さんの多い病院は、生存率も低くなる傾向があります。生存率の高低がその病院の評価に直結するわけではないことに留意してもらいたいです」


 とはいえ、そのデータを読むと病院によってこれほど数値に大きな差があるのかと驚く。「日本の医療は世界トップレベルだ」といわれ、全国どの病院で治療を受けても違いはあまりないと思われていたが、その認識が間違いであったことに気づかされる生々しいデータだ。特に肝臓がんでは、最も生存率の低い病院で1ケタ台のところもあった。自分の身を預けることを考えると、より慎重に病院を選ぶことが大切だと気づかされる。


 今回、女性セブンは公表された全国251病院の中から、偏りを避けるためにデータの多い患者数100以上の病院に絞って独自に集計し、ステージI〜IVの全体での5年生存率の上位100病院をランキング形式でまとめた。



 また、それぞれのステージ別での生存率も併せて公開。患者のステージによって病院を選ぶ手がかりにすることもできる。


 このランキングをもとに「いい病院」を見分けるにはどうすればいいのか。具体的に見ていこう。


◆患者数の多い病院は治療経験が豊富


 ランキングには病院全体の患者数も記したが、これが病院選びの1つの指標になると前出の岡田さんは語る。


「症例数の多い病院はがんの治療経験が豊富で、それだけの数の患者を受け入れられる設備や医師・看護師などの環境が整っているといえます。がん患者にとっては安心できる病院でしょう」


 病院によって患者数は大きく違い、部位によっては10倍近い差があるのがわかる。


◆「ステージI」の生存率が高い病院は「手術がうまい」


 がんが転移していないステージIの状態では、手術で腫瘍を取り除くことで治る場合が多い。内科医で医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんはこう話す。


「大腸がんで見ると、がん研有明病院は954人の患者に対し、ステージIの5年生存率が92.3%と他の病院に比べて高い。一方で、同じステージIでも20%近く生存率が低い病院もあります。


 ステージIの5年生存率が高いかどうかで、病院の診断力や手術をする医師の腕がよいか、ある程度わかると思います。また、検診を積極的に行っている地域は早期でがんを発見できる場合が多いです」


◆高生存率の「地方病院」には要注目


 今回のデータには病院からのコメントも記載されている。乳がん4位の富山県立中央病院は《高齢、併存疾患を持つなど、他施設で対応困難なリスクの高い症例についても多数受け入れしている。また、自覚症状のある進行したがん患者の紹介の割合も多く、がん種により、ステージの進んだ患者が多い》、肝臓がん12位の長崎大学病院は、《県内のがん診療を担う「都道府県がん診療連携拠点病院」であり、高度先進医療を担う「特定機能病院」です。他施設で手術・治療などが困難と判断された患者の紹介も受け診療を行っています》と説明している。


 医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが解説する。



「地方の『がん診療連携拠点病院』は、地域医療の中核病院であり、他の病院からの紹介で治療の難しい患者さんを多く抱えているので、生存率が低くなりやすい。


 そんな状況下であることを考えると、生存率の高い地方病院は、治療のレベルが高いところといえるのではないでしょうか」


 ランキングを見ると、全体的に東京や大阪などの大都市にある病院の方が、5年生存率が高い傾向があるが、大都市に比べても地方の病院の治療技術が低いわけではない。


 ここでは掲載しきれなかったが、今回の報告書には各ステージの患者数のほか、患者の年代、病院ごとの生存状況把握率なども掲載されている。これらの数値は国がんの公式サイトで見ることができるので、病院選びの参考にしてほしい。


【ランキングの見方】


 国がんが集計した全国251病院における、乳がん・胃がん・大腸がん・肺がん・肝臓がんのステージ別の5年生存率を掲載。ここではデータの多い患者数100以上の病院(肝臓のみ80以上)に絞った。その中で、ステージI〜IV全体での5年生存率が高い順でランキングを作成。100位より下は掲載していない。


*記載しているのは2008〜2009年当時の病院名。

*生存率は、対象となった患者数が30人未満の場合は「─」表示。

*「患者数」には、その病院で初めて診断された患者もいれば、再発の患者や、セカンドオピニオンで訪れた可能性もあり、重複を含む。


※女性セブン2018年10月4日号

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