青木さやか「YouTubeをバズらせたい女、バズらせる男」

9月24日(木)8時0分 婦人公論.jp


動物についての活動を始めるにあたり「さかなクン」をお手本に被り物を作ることにした青木さん

青木さやかさんの好評連載「47歳、おんな、今日のところは「……」として」ーー。青木さんが、47歳の今だからこそ綴れるエッセイ。母との関係についてふれた「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」、ギャンブル依存の頃を赤裸々に告白した「パチンコがやめられない。借金がかさんだ日々」が話題になりました。第8回は「〈YouTuber〉として」です。

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パソコンは持たない、と決めたのに


パソコンを持たないまま47年を過ごしてきた。
正確に言うと2度持った。
「パソコンがないとこれからの時代は」との友人からのアドバイスで
「そうね、平成って、そうよね!」となり購入したが、
結局「誰か家にパソコンができる人いないと使い方わからないんですけど」となり、子どもとイヌとネコしかいない生活で、ほとんどパソコンは開かぬまま、後輩にあげてしまった。


2台目のパソコンは、当時海外にいた元夫から、「娘とスカイプをしたい」と頼まれて購入した。しかし、夫が帰国したので必要がなくなり、マネージャーさんに譲った。マネージャーさんは、ワードもエクセルも入っていない、スカイプだけが入っているパソコンに驚いていた。

お笑いのネタはノートに書いてきて、何十冊とある。
昔は同じようにノートに書いていた芸人の友人たちも、久しぶりに会うとノートパソコンを取り出している。
ノートよりノートパソコンがスターバックスにはよく似合う。少し羨ましくもある。

だけど、
「私はもうパソコンは持たない」。
そう決めた。

決めたのに。
私は令和2年に、3度目のパソコン購入に踏み切ることになる。

理由はYouTube開設。

まったく興味がなかった世界である。
娘がたまにみているのを横目でみながら、「この人が話題のヒカキンさんなのね」とか「よくまあYouTuberという人たちは緊張もせずに上手にカメラの前で話せるものだな。これが新しい時代なのかな……」なんて感じていたくらいで、私の生活の中にYouTubeを取り入れるつもりはなかった。

のだが……。

2019年に立ち上げた、「犬と猫とわたし達の人生の楽しみ方」というプロジェクトでは、数カ月に一度イベントをしながら、動物と暮らす幸せな生活を広めつつ、保護犬保護猫の存在を伝えてきた。
しかし、令和2年、自粛生活に入り、イベントは難しくなり、再開の目処は立たず……。だけど動物は生きているわけで「待ったなし! どこかで発信を」となり、話し合った結果……。

YouTube開設となったわけである。

遅い人とは仕事はしません


「早くパソコン買いなよ!」

犬と猫とわたし達メンバーに言われ「はいわかりました!」と向かった先は、PCデポさん。

「あの、YouTubeやりたいのですが、できるだけ薄くて重たくないやつありますか?」
「編集もおやりになるのですか?」
「編集は、多分しないです」
「ではYouTubeの、何をなさるのですか?」
「何、でしょう?」
「……」
「……」
「いずれ、編集もできるものにしましょうか?」
「さすがです。そうします」
「こちらのノートパソコンいかがでしょうか?」
「そうします」
「小さいタイプでよろしいですかね?」
「そうします」
「黒とグレーがありますが」
「どうします?」
「私はグレーを持っています」
「私もそうします」

こうしてパソコンを無事購入した私。
さあ「SNS」となるわけだが、「YouTube」にしても何にしても、どう発展させていいかわからない。

そんなとき、ザブングル加藤くんが「面白い人いますよ!」と教えてくれたのが、

YouTubeバズらせオトコ。

「殿って呼ばれてる人なんですけど、○○とか(某有名アイドル)○○とか(超有名ゆるキャラ)とか、バズらせてますよ」
「会いたいです」

先方に確認し、LINEを教えていただく(LINEはできます。しかもグループも作成できるスキルがあります)。
帰宅し、ベッドでLINEを打つ。
「はじめまして、ザブングル加藤くんに紹介していただいた青木です」
3秒で返信がきた。
「恵比寿、いまこれます?」
いま? 深夜なんですけど! しかし、ハッとなる。
YouTubeバズらせオトコのアイコンの下に、こう書いてある。

瞬速です。遅い人とは仕事はしません。

「いま、向かいます!」

今夜は、ちょうど娘はパパ宅で助かった。
着いた先は広めの暗めのオシャレめのカフェバー。
黒づくめの、よくみえないけど多分かっこいい店員さんに「お席どちらがよろしいですか?」と店内に案内されるが誰もいない。
カモミールティーを頼み、眠気と闘っていると、彼は現れた。

認知と人気は違いますから


黒いTシャツに白地で大きく「YouTube」と書いてある。

「はやいすね」
「瞬速です」
「どうしました?」
「YouTubeをバズらせたいんです」
「あー。青木さやかさんが?」
「はい!」
「青木さやかって、オワコンですよね」
「え?」
「オワコンですよね!」

私は机の下のスマホで急いで調べる。(私にはYahoo!で検索するスキルがあります)

「オワコン」(おわコン、終わコン、終わったコンテンツとも)とは、主に一般ユーザー又は、個人ユーザーに飽きられてしまい、一時は栄えていたが現在では見捨てられてしまったこと。

「なるほど〜」
なるほどじゃないわ!(ノリツッコミのスキル)

「そうなのかなぁ」(悲しみを感じながらも平常を装うスキル)
「まあ、やってみましょうか」
「はい!」
そこからバズらせオトコは辛辣に、真剣にアドバイスしてくれた。

「まー。青木さんは知られてるかもしれないけど、認知と人気は違いますからね」
「はい」
「素人革命の時代ですから」
「はい」
「犬と猫とわたし達っすか? あんま回ってないっすね」
「はい」
「保護動物系のYouTube、バズるって、なかなかっすよ」
「はい」
「スタートする前に相談してくださいよ。初動大事なんで」
「すみません」(悪くなくても謝れるスキル)
「始めてから相談されても。まー、やるだけやりますけどね」
「ありがとうございます」
「まー、どうにかしなきゃでしょ。青木さやか」
「殿!」

そしてバズらせオトコは最後にこう言った。
「ま〜動物のこと広めたいならぶっちゃけ影響力っすよ! 今年中にマツコ・デラックスさんくらいになれたらヤバいっすよ」
「マツコさんみたいに影響力もちます!」(夜中でボーッとして大風呂敷広げられるスキル)

新しい出会いは、私を傷つけながらもある種の事実を突き付けてくれた。

ここから青木さやかのSNS人生が始まる。
「犬と猫とわたし達の人生の楽しみ方」
チャンネル登録よろしくおねがいします!宣伝!


動物の被り物は青木さんがデザインを手がけ、舞台美術をやっている友人が製作。完成形はYouTubeで見られます

***

YouTube「犬と猫とわたし達の人生の楽しみ方」
https://www.youtube.com/watch?v=KSETRkk-RwM&t=159s

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