『半沢直樹』影の主役・香川照之 裏に血の滲むような努力

9月25日(金)16時5分 NEWSポストセブン

気さくな人柄がお茶の間に好かれている(時事通信フォト)

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 TBS日曜劇場『半沢直樹』第2シーズンが、9月27日にいよいよ最終回を迎える。第1シーズンと比較して、さらに“パワーワード”的なセリフが増えた第2シーズン。中でも大和田暁(香川照之)は、「お・し・ま・い・death!」「お……、お……、おねしゃす」など毎週のように印象的なセリフを残し、視聴者の間で「名言製造機」との呼び声も高い。池井戸潤による原作小説にはない登場シーンも多く、ドラマ版では、大和田が影の主役とも言える存在感を発揮している。


 大和田というキャラクターはもちろん、大和田役を演じる香川照之本人にも一層注目が集まっている。毎週の『半沢直樹』の放送後には、公式Twitterアカウントにて撮影の裏話を明かしており、そのユーモアあふれる語り口が彼の人柄を感じさせる。


 第1話で大和田がスマホをテーブルに投げたシーンについて、香川が〈あれをあの後、大和田はどうやって回収したのか…?それを本日、発表いたします!皆さま、改めてその方法を予想してくださいませ!〉(9月22日のツイートより)と呼びかけると、リプライ欄が大喜利状態となって盛り上がった。

このようにファンと積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢が印象的だ。


 香川はまた、かねて昆虫好きとして知られ、『香川照之の昆虫すごいぜ!』(Eテレ)という冠番組も抱えている。カマキリの着ぐるみを着て、楽しそうに昆虫について解説する姿から、ネット上を中心に“おもしろ昆虫おじさん”という愛称でも親しまれている。


 2018年には昆虫をモチーフにした洋服ブランドInsect Collection(インセクト・コレクション)などを展開するアランチヲネ株式会社を設立。今年4月からはフランス人アーティストのロマン・トマと組んで自然教育絵本『INSECT LAND(インセクトランド)』シリーズを作・プロデュースしている。他にも“カマキリ先生”名義でNHK『おかあさんといっしょ』2019年6月の歌「はらぺこカマキリ」の作詞を担当するなど、昆虫を入り口にした子供向けの活動も精力的に行なっている。


歌舞伎ファンに愛される役者に


 香川の多才ぶり・多趣味ぶりはまだ挙げることができる。熱心なボクシングファンとしても有名で、ボクシングのタイトルマッチなどではゲスト解説者を務めたことも。俳優、歌舞伎俳優(市川中車)、昆虫、ボクシングと様々なジャンルで活躍し、おまけに東大出身俳優の看板をも持つ。香川自身も劇中の大和田に負けず劣らず“濃い”個性の持ち主と言えよう。特番『生放送!!半沢直樹の恩返し』(9月6日放送)でのトークも「面白い」と好評で、今後はバラエティ番組からのオファーも一気に増えるかもしれない。


『半沢直樹』をきっかけに香川本人の注目度も急上昇し、「香川照之の歌舞伎を観たい」という声も上がっている。今でこそ人気者の香川だが、演劇ライターの仲野マリ氏は、40代で歌舞伎の世界に足を踏み入れた彼に当時浴びせられた厳しい声について、こう証言する。


「香川さんは2011年9月、45歳のときに市川中車を名乗り、歌舞伎界に入りました。何を極めるにしろ、40歳を過ぎて一から修業することがいかに大変か、皆さんもおわかりだと思います。彼は血筋から言えば三代目市川猿之助(現・猿翁)の息子ですが、歌舞伎ファンは当初、彼の歌舞伎界入りに厳しい目を向けました。『俳優としてすでに一流なのだから、歌舞伎までやらなくてもいいのではないか。ドラマ性の強い作品(狂言物)はできるかもしれないが、歌舞伎らしい様式美が求められる荒事とか舞踊物では、他の役者と稽古の年数が違いすぎる』と」


 現在の二代目市川猿翁と女優・浜木綿子の間に生まれ、演劇界のサラブレッドと言える香川だが、父母の離婚により、梨園からは離れて育った。2002年に放送されたNHK大河『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』の豊臣秀吉役など当たり役もいろいろあったにもかかわらず、40代でゼロから歌舞伎俳優としてのキャリアをスタートさせる──。役者ならずとも想像するだけで震えがきそうな、思い切った決断だったのではないだろうか。


 仲野氏は、「予想どおり初舞台では、稽古のしすぎで初日から声が枯れており、『やはり無理か』と思われたのも事実です」と振り返り、こう続ける。


「あれから9年。今やどんな演目に出ても、堂々たる演技で劇場を沸かせています。まるで最初から歌舞伎をやっていたかのよう。やはり華がある。勘所を知っている。とはいえ、ここまで来るのにどれほどの努力をされたことか! 彼は一切口にはしません。でも歌舞伎ファンにはわかります。だから愛されるのです」(仲野氏)


 活躍ぶりを鼻にかけない気さくな人柄の裏には、血が滲むような努力があるようだ。


●取材・文/原田イチボ(HEW)

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