「球の速さでは勝てない。だから自分の良さを…」ロッテ・佐々木朗希と同期入団、横山陸人の思い

9月26日(土)12時0分 文春オンライン

「皆さんは見ていなかったかもしれませんが横山もいい球を投げていましたよ」


 2月13日の石垣島キャンプ最終日。吉井理人投手コーチは練習後の記者囲みでニヤリと笑いながら目を細めた。この日は令和の怪物の異名を持つルーキー・佐々木朗希投手が初のブルペン入り。ブルペンにはメディアが大挙、押し寄せていた。


 そして同じくしてもう一人の高卒ルーキーも初めてブルペン入りした。横山陸人投手。専修大松戸高校からドラフト4位で指名された若者はキャンプでは怪物ルーキーと同部屋。同じメニューをこなし、この日に晴れてブルペンデビューをした。



横山陸人 ©千葉ロッテマリーンズ


「端っこでもいいから少しでもテレビに映ったらいいなあ」


「マスコミが沢山いて凄い光景でした。端っこでもいいから少しでもテレビに映ったらいいなあと。ちょっとでも知名度アップになったら嬉しいなあ。そんな感じでした」


 その時のことを横山は控えめに振り返る。

カメラは佐々木朗の一挙手一投足を追っていた。残念ながら隣で投げるサイドスロー投手がクローズアップされることはなかったが吉井投手コーチが記者に嬉しそうに話したように異様な空間の中で堂々とキレのあるボールを投じていた。それは佐々木朗にも勝るとも劣らないほど未来への希望を感じるものだった。 


「(佐々木)朗希の球が速いのは知っている。そこはもう勝てない。だから自分の良さを出そうと思っています。サイドスローならではの良さをしっかりと出していきたいと思っています」と横山。冷静に自己分析を行い、自分の道を模索していた。佐々木朗希の名は高校時代からメディアを通じてよく知っていた。ただイメージをしていた令和の怪物と、実際に同部屋となり、話をする機会も増えた彼は別物だった。


「スポーツニュースではいつも名前が出て来て雲の上の存在だった。テレビで見ていると固くて真面目な性格なのかなあと思ったけど実際に接するとゲーム好きな普通の同じ年の友達と一緒。話がしやすかった。でも横で見ていてもマスコミに毎日、追われて大変だなあとは思いました」(横山)


いつか一軍の舞台で刺激し合う存在に


 キャンプが終わると佐々木朗は一軍。横山は二軍と分かれた。同期入団の友とは道は違えどいつか一軍の舞台で刺激し合う存在でありたいと思う。ただ今は自分自身の歩む道をしっかりと進もうとコツコツと肉体強化に取り組んだ。6月の二軍の練習試合で実戦デビューをすると7月10日のイースタンリーグ ファイターズ戦(鎌ヶ谷)で中継ぎ登板を果たした。1イニングを被安打2、被本塁打1、2失点。ほろ苦いデビューとなってしまったが、しっかりと自分の課題を見つめ直した。


「プロは甘い球はしっかりと打たれる。まだ今のボクは打ち損じを待っている感じになってしまっている。変化球の精度をもっと上げていかないといけない」と横山。持ち球であるツーシーム、カーブ、スライダーの精度に加え新球としてシンカーの習得に取り組んだ。これは現在、社会人チームの日本製鉄かずさマジックで監督を務めマリーンズOBでもある渡辺俊介氏直伝のもの。練習試合で対戦した際にコーチを通じて教えてもらった。「前から投げたいと思っていた球。打者から空振りもとれているし、だいぶいい感じです」と手ごたえを口にする。


 9月13日のイースタンリーグ スワローズ戦(浦和)では2イニングながら先発を務め1安打無失点に抑えた。強気に内角を攻め、サイドから繰り出すキレのあるストレートは140キロ後半を常時、計測している。少しずつ、しかし確実に前に進んでいる。


「タイプ的には中継ぎだとは思いますが、ピッチャーとして先発を務めたい気持ちは強いです。少しでも沢山試合で投げて経験を積んで一軍のマウンドに上がりたいです」


 普段は謙虚でどちらかというとおとなしい印象のある若者だがマウンドに上がれば堂々としており、思い描く将来像にもブレはない。


「キャンプではよく友人などからテレビで見たよと連絡がありました。(佐々木)朗希の横で映っていたみたいです。それだけでも嬉しかったです」と横山は嬉しそうに話す。それもまた嘘偽りのない若者の気持ちなのだろう。ただ、いつかは先発投手として一軍のマウンドに上がり、自分だけに注目が集まる日を夢見る。プロ初のブルペンでメディアの目に留まることのなかった若者が、スポットライトを一身に浴びる日はそう遠い未来の事ではない。


梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)


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(梶原 紀章)

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