「お前は悪くない。千賀が悪い」…心に残る柳田悠岐選手の10の名言

9月26日(土)12時0分 文春オンライン

 異例のシーズンも終盤に差し掛かってきました。ソフトバンクホークスは激しい首位争いの中、熱い戦いをみせてくれています。そんなリーグ優勝と日本一を目指すホークスで今、欠かせない選手の1人と言えば柳田悠岐選手でしょう。


 今シーズンは通算1000本安打も達成され、首位打者とホームラン王のタイトルを狙える位置にいます。一時期は打率4割、出塁率5割を超えており、昨年の悔しさを晴らすように例年以上に好調のようにみえます。


 柳田選手といえば独特な言葉のセンスも魅力的です。明るいキャラクターから出てくる言葉には、面白さだけでなく、深い意味が含まれていることもあります。本人はあまり意識していないのかもしれませんが、そんな言葉に私は感動したり、元気をもらったりしています。


 今回はそんな柳田選手が今まで私達に届けてくれた言葉で個人的にいいなと思った言葉を10個選んでみました。

そして、その名言達を書道作品にしましたので、合わせて楽しんでいただければ幸いです。



柳田悠岐 ©文藝春秋


柳田選手のシンプルだけど深い言葉10選


『お前は悪くない。千賀が悪い』


 2020年8月11日のオリックス・バファローズ戦で川瀬選手に対してかけた言葉です。この言葉に感動された方は多いのではないでしょうか。


 この日、川瀬選手は1イニング2失策をしてしまっていました。その失策から6点を取られており、川瀬選手も落ち込んでいたのではないでしょうか。それでも四球を選び、懸命に次のバッターに繋いだ後輩に対して、逆転3ランを打って、勝利に導いた先輩の男気がかっこいいですよね。


 同時に実力を認め合う存在である千賀投手に対して奮起を促すような言葉にもなっています。


 チームを支える2人にしかわからない重圧がある中で、直接悪いと言える関係は素敵な関係だなと思いました。


『楽しいからです』


 2020年7月28日の西武ライオンズ戦でのヒーローインタビューでの言葉です。この日、柳田選手はプロ通算1000本安打を達成しました。


「毎日野球をやる原動力はなんですか?」という質問に対して、当たり前のように「楽しいからです」と答えていました。


 これって意外と難しいことだと思います。結果が求められ、時には批判されるプロ野球の世界で純粋に楽しいと言えることはすごいと思います。


 自分の仕事を楽しんでやる。楽しいから続ける。当たり前のようですが、言われないと気づけないことを教えてくれる言葉でした。


『遊びでやりましょう』


 2019年10月5日の楽天イーグルス戦の声出しでの言葉です。ホークスの声出しは松田選手を中心にいつも楽しそうで元気をもらえます。


 この日はCSファーストステージの第1戦でした。1つの負けが大きいCSで遊びでやろうと言えること、それを皆で笑っていることにチームの雰囲気の良さを感じます。


 この言葉の前には、バッティングは小さい頃のバッティングセンター、ゴロは壁当て、走塁は鬼ごっこを思い出してやろうと言っています。


 前述の「楽しんで野球をやる」ことに通じていると思いますが、小さい頃の楽しくて一生懸命だった頃の気持ちが、厳しいプロの世界で勝ち抜いていくために大事だと感じました。日々、仕事や勉強に追われていると忘れてしまいがちですが、たまには思い出すようにしたいですね。


『フルスイングとは野球。フルスイングできなくなったら野球やめる』


 これはテレビのインタビューで「柳田選手にとってフルスイングとは?」という質問に対しての答えになります。この言葉から柳田選手がどれだけフルスイングを大事にしているかが伝わります。また、できなくなったら野球やめると言えるほどの覚悟も感じます。


 柳田選手のフルスイングは、大学時代の恩師の三振してもいいからという言葉から始まりました。また、プロ入り後も王会長が柳田選手のスタイルを変えさせなかったといいます。周りのサポートもありながら、自分で決めたことを貫き、努力し続けた結果が今の柳田選手になったはずです。そう思うと、自分の武器を貫いて磨き続けることが、とても重要だということを感じます。


 できなくなったらやめると言える覚悟と信念を持てる武器を持つことが、どの世界でも大きく飛躍するポイントなのかもしれません。


『ホームラン打てたら野球の神様のおかげ』


 これもテレビのインタビューで「野球の神様を信じますか?」という質問に対しての柳田選手の答えになります。柳田選手ほどの実力と実績があれば、ホームランは自分の実力のおかげだと言ってもおかしくありませんので、この言葉にはびっくりしました。


 最初は懸命に努力していても、実力をつけると油断や慢心をしてしまうのは、よくあることだと思います。でも、そこで謙虚に努力を続けることができる人が、更に高みに登っていけるのだろうなと感じました。


 良いことがあっても神様のおかげであり、ラッキーである。私も柳田選手を見習って、謙虚な心と神様への感謝を忘れずに努力していきたいと思います。


これが限界を突破していく人の考えなのかもしれません


『日々新たに』


 この言葉はレギュラーになりたての頃に柳田選手が帽子に自分で書いていた言葉です。良いこともあれば、悪いこともあるけど、毎日新しい気持ちで野球に取り組もうという気持ちから生まれた言葉とテレビのインタビューで答えられていました。


 野球は毎回ホームランを打てるわけではありません。打率3割のバッターでも3回に1回しかヒットを打つことはできません。リーグ優勝をするチームも全勝することはできません。勝率は6割程度、50回以上は負けるのです。


 このように野球は個人でもチームでも悔しい思いをすることが多い競技で、毎日気持ちを切り替えることは本当に大変なことだと思います。そんな中で生まれたこの言葉にはたくさんの悩みと汗と涙が詰まっているのかもしれません。


 私達も勉強や仕事で毎日何かと向き合っています。悔しいこともたくさんあると思いますが、日々新しい気持ちで頑張っていきましょう。


『穏やかな心』


 これは2017年から柳田選手が打撃の秘訣として言っていた言葉です。言葉の面白さから話題にもなりました。


 相手ピッチャーから強烈に意識される柳田選手は徹底的な内角攻めや勝負を避けられる場面が多くあります。そんな時にイライラして自分のバッティングを崩してしまっては相手の思う壺です。これに対して柳田選手が出した答えが穏やかな心なのです。常に冷静にいることでボールを見極め、打てる球を打つ。非常にシンプルですが、これも難しいことです。


 自分の欲や不満を抑えて、冷静に対応しないといけないことは、皆さんの仕事や学校でもたくさんあることでしょう。そんな時は柳田選手を思い出して、穏やかな心で乗り越えていきましょう。


『野球最高!』


 これは2019年8月22日のヒーローインタビューでの言葉です。2019年は柳田選手にとって苦しいシーズンになりました。


 約4ヶ月のリハビリで長期間試合に出ることができませんでした。2週間前の8月8日の2軍復帰戦では試合後に「治るかどうかわからない不安があった」と涙をみせていました。


 そうして1軍に復帰して2戦目でホームランを打って、叫ぶように言った「野球最高!」から心から喜んでいる気持ちが伝わりました。


 2020年の柳田選手をみていると笑顔でプレーしていることが多くなったように感じます。怪我を通じて、より楽しむことを意識しているのかもしれません。


 言葉はシンプルですが、自分の好きなことを最高だと思うこと、好きなことをやれることに感謝することの重要性を教えてくれる言葉でした。


『シンプル イズ ベスト』


 これは2018年11月9日に行われた日米野球の開幕戦でのヒーローインタビューでの言葉です。


 この試合で柳田選手は劇的なサヨナラホームランを打ちました。


「対戦のないMLBのピッチャー相手に対してどんな意識で打席に立ったのですか?」という質問に対して、「来た球を、当たる球をしっかり当てる。その中で自分のスイングをする」と答えた後に言った言葉が「シンプル イズ ベスト」です。


 これが柳田選手の原点であり、これまでの努力で辿り着いた答えなのでしょう。侍JAPANのユニフォームを着て、日本代表として戦うという究極の緊張感の中で、このように割り切って考えることができるのは本当にすごいと思います。


 おそらく私だったらプレッシャーで余計なことを考え込んでしまうでしょう。書道においても文字というより、シンプルに線と線の組み合わせなんだという考えはとても重要です。


 シンプルな1本の線が、他の線や文字を活かして作品を支えることもあります。私も何かに悩んで立ち止まった時、大事な勝負に臨む時、この言葉を思い出して原点に立ち返りたいと思います。


『果てしなく』


 これは2019年3月30日の西武ライオンズ戦のヒーローインタビューでの言葉です。「今シーズンは何本打つ?」という質問に対しての答えになります。


 ここで「果てしなく」という言葉のセンスが柳田選手らしいですね。一般的には具体的な目標を立てることが良いとされますが、柳田選手には当てはまらないようです。確かに具体的な目標を立てると、そこに自分の限界を決めてしまうことになります。


「常に全力でプレーして、出来る限り打つ。そうすれば結果は後からついてくるはずだ」


 これが限界を突破していく人の考えなのかもしれません。柳田選手のように楽しむ心、謙虚な心、そして穏やかな心があればできるのでしょう。


 皆さんも目標を決める時に「果てしなく」としてみてはいかがでしょうか。自分の限界を突破できるかもしれません。


 いかがだったでしょうか。今回は柳田選手の名言を10個集めてみました。


 どの言葉も柳田選手らしく、シンプルだけど深い言葉でした。私自身、見習いたいことや心に刻んでおきたいことだらけで、やっぱり柳田選手はスーパースターだなと改めて思いました。


 どの言葉が皆さんの心に一番届いたでしょうか。どれか1つだけが重要ではなく、全てが今の柳田選手の活躍の基礎になっていることでしょう。


 これから2020年シーズンは最も重要な時期になっていきます。優勝と日本一には柳田選手の活躍が必要ですし、どんな活躍をしてくれるのか今からとても楽しみです。そして柳田選手の言葉にも注目して楽しんでいきたいと思います。


 今回、紹介した言葉をそれぞれ作品にしてみましたが、より柳田選手の言葉の力強さやユニークさ、言葉の重みを感じていただければと思います。


 私も定期的にこの作品を見返して、少しでも柳田選手のように活躍できるよう頑張っていきたいと思います。


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(原 愛梨)

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