乳がん、大腸がん、胃がん 生存率が高い病院はどこにある?

9月27日(木)11時0分 NEWSポストセブン

がんに強い病院はどう探す?(写真/アフロ)

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 がん治療に強い専門施設──テレビや雑誌の特集などでよく見かけることがあるが、自分や家族ががんになった時、そうした施設の近くに住み、診てもらえる幸福な人はそう多くはない。あなたの住む地域で、がん治療の効果がより高い施設はどこなのか?


「ランキング上位は都心の病院ばかり。私の地域の病院はどうでしょうか」

「愛媛県に住んでいます。うちの主人の病院の生存率を周辺の病院と比べてみたい」


 本誌・女性セブン2018年10月4日号で『がん5年生存率「全国251病院」衝撃ランキング』を掲載すると、編集部には全国から問い合わせが相次いだ。


 国立がん研究センター(国がん)が9月12日、全国251医療施設で主要5部位(乳房・胃・大腸・肺・肝臓)のがんと診断された約50万人の患者の、進行度(ステージI〜IV)別5年生存率を公表。それによると、病院によって生存率に大きな差があることがわかった。肝臓がんの1位は60%超だったのが、下位には1ケタ台の病院もあった。病院間の明確な「格差」である。


 また、地域によっても格差があることが浮き彫りになった。すなわち、ランキング上位は東京や大阪などの都市部の病院が占めた。地方に住む読者にとっては「治療を受けたくても遠すぎる」と参考にしにくいところもあった。


 そこで今回は、地域別で集計し直した。集計するのは患者数100人以上の病院に限定。対象部位は女性の罹患率で上位3つの乳がん・大腸がん・胃がんとし、全国47都道府県を北海道、東北、関東、甲信越、東海、北陸、関西、中国、四国、九州・沖縄の10地域に分け、それぞれの地域の病院で、がん5年生存率の全体平均が高い順に並べた。


 傾向として、ステージIの患者を多く受け入れる病院は治る可能性が高いので5年生存率は高くなり、他の病院が受け入れていない末期患者を終末医療込みで引き受けるような病院は生存率が低くなりやすい。このランキングだけで「いい病院・悪い病院」と横並びに判断することはできないが、患者が病院を選ぶ1つの指標となるはずだ。


 何より気になるのは、そうした病院間、地域間の「格差」がなぜ存在するのか、ということだ。ランキング上位の病院は、他の病院と何が違うのか。その病院は何がすごいのかを探る。


◆愛知と熊本にいる乳がんの名医


 まず女性の罹患率第1位の「乳がん」。罹る患者の数は多いが、死亡率では5位で、5年生存率は全国どこの病院も比較的高い。以前は外科の一部として治療が行われていたが、最近は乳がんに特化した「乳腺外科」を設置する病院が増えている。医療ジャーナリストの増田美加さんは、乳がんに強い病院についてこう語る。



「日本乳癌学会の認定施設や、『乳腺認定医』『乳腺専門医』のいる病院は、治療技術が高い傾向にあります。特に乳腺専門医は『学会の認定施設で100例以上の診療経験を有する』など、専門性の高い訓練を受けないと取得できず、資格が更新制なので、最新治療を学び続けないと維持できません。さらに、乳腺認定医を教育する立場の『乳腺指導医』がいる病院はさらに数が少なく、より乳がん治療の経験と知識が豊富といえるでしょう」


 日本乳癌学会の認定施設としては、北海道がんセンター、東北労災病院(宮城)、聖路加国際病院(東京)、山梨大学医学部附属病院、広島大学病院、徳島大学病院、熊本大学医学部附属病院などがある。学会のホームページを見ればこのほかの認定施設や専門医がチェックできる。


 病院の組織体制や治療設備なども5年生存率を上げる要因となるが、直接患者に治療を施すのは「人」であり、医師の個人の力量も重要である。増田さんが続ける。


「私の30年の取材経験では、まず聖路加国際病院の山内英子医師。2005年に乳腺外科や乳腺腫瘍内科が揃った乳がん専門の医療チーム『ブレストセンター』が作られ、山内医師はそのセンター長を務める名医です。


 地方なら、愛知県がんセンター中央病院の岩田広治医師は最新の薬物治療の知識も深い医師です。熊本大学医学部附属病院の岩瀬弘敬医師も日本乳癌学会の学術総会会長を務め、乳がん治療に優れた医師です」


 医療、特にがん治療の世界は日進月歩で、最新医療をキャッチアップしているかどうかも病院選びの基準になる。


「乳がんなら、今注目されているのが遺伝性乳がんへの治療です。遺伝性乳がんを発症しやすいハイリスクの人への個別化医療が進んでいます。ただ、がん拠点病院でもまだ普及の途上です」(増田さん)


 ランキングでは、新潟県立がんセンター新潟病院や四国がんセンターなどが該当する。


◆その手術は“芸術” トップ医師のいる場所


 次に、女性の罹患率第2位の「大腸がん」。大腸がんは食生活の欧米化によって近年急増。死亡率では1位だ。


 しかし、早期の発見や適切な治療で根治が充分に目指せる病気でもある。内視鏡による検査や手術の技術が上がった現在は、小さい腫瘍だと検査の際にそのまま切除が可能な場合もある。問題は、がん細胞が広がって内視鏡では切除できなくなっているステージII以降だ。


 最近では、開腹手術に加え、腹腔鏡による切除手術が主流になってきた。開腹手術より傷口が小さく体への負担が軽いので、回復も早い。ただし、腹腔鏡手術は難しく、医師の技術が問われる。医療ジャーナリストの松井宏夫さんはこう語る。



「がん研有明病院の福長洋介医師の手術は“芸術的”といわれるほど洗練されていて、腹腔鏡手術のレベルではトップクラス。ほかには大阪医科大学附属病院の奥田準二医師は25年以上腹腔鏡手術を専門にやっている。年間手術数も全国で5本の指に入る医者です」


 転移した進行がんの場合、開腹手術や別の治療法が必要なこともある。


「大阪国際がんセンターの大植雅之医師は、開腹手術が得意で、他の病院では治療が困難な進行がんの患者でも積極的に手術していく。腹腔鏡ではできない患者さんは、こちらの病院の方がいい。手術では西日本のトップです」(松井さん)


 そうした東京、大阪の病院には通えない患者もいる。どうすればいいか。


「専門医にかかるのは大前提として、日本消化器内視鏡学会の指導医、専門医がいる病院は、5年生存率が高い。彼らの在籍の有無が1つの指標になります」(松井さん)


 北海道1位の北見赤十字病院は4人、四国1位の香川県立中央病院には8人の学会認定医がいる。


 こちらも各病院のホームページを見れば認定医の在籍が確認できるので、参考にしてほしい。


◆各地の1位を受診する方法


 最後に、女性の罹患率3位の「胃がん」。死亡率では4位にランクされる。最近、早期の胃がんでは、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という内視鏡による治療法が増えている。


「従来の内視鏡手術ではスネアと呼ばれるループ状のワイヤーで腫瘍の根元を絞めるようにして腫瘍を切除するのですが、これだと2cm以下の腫瘍しか摘出できませんでした。しかし、ESDでは腫瘍の周りをナイフで剥ぎ取るように切除するので、15cmほどの大きな腫瘍でも摘出できるようになりました。ただ、この技術は難しく、内視鏡が得意な病院でないとできません」(松井さん)


 ESDの手術数が多い施設は、生存率も高い。各地域のESD手術数上位の施設は、東北では岩手医科大学附属病院、中国では広島大学病院、九州では九州大学病院など、すべて生存率でも上位である。


※女性セブン2018年10月11日号

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