『散り椿』岡田准一、木村大作監督の涙に“もらい泣き”「“友”のように一番の理解者でいたい」
2018年9月28日(金)18時52分 映画ランドNEWS
映画『散り椿』初日舞台挨拶が28日、都内・TOHOシネマズ日比谷にて行われ、キャストの岡田准一、西島秀俊、黒木華、池松壮亮、監督・撮影の木村大作が登壇した。
大歓声で迎えられる中、木村監督が客席全体をじっと見渡し「来年80になる男が…皆さんを見て感動しています!」と感極まっている様子に、岡田は「大作さんの“想い”を…すみません…」ともらい泣き。その姿に、西島がハンカチを手渡し紳士な一面をのぞかせる。岡田は「ともにやれて良かったです。人生をかけて立っていること、現場でも感じました。背中を見せていただきました」と涙ながらに胸中を明かす。
西島は「大作さんが最後のカットを撮った時に倒れられて…変な話、本当にこのまま…と思いました」と語ると、岡田も「複雑でしたよね。駆けつけていったら頑張って立っちゃうかもしれないし…起き上がるのを待ちながら心配していました」と現場での木村監督の生き様を語る。
木村監督は「このカットを撮ったら終わると思ったら、急に気分が悪くなり、みんなから離れたところで吐いたんです。汚い話、コーヒーだけ飲んでいたから“茶色”だったので、最初“血”だと思った。ただ、このラストカットで死ぬんなら確実に新聞に大きく載るから『それもかっこいいなぁ』とか、『ヒット間違いなしだ!』と思いながら(笑)その場で寝転んじゃったんですが、高いユンケルを飲んだらケロッと治っちゃった(笑)」と元気な姿をアピールした。
そんな木村監督とのタッグに、撮影時の雰囲気を聞かれた池松は「大作さんには本当に毎日毎日いろんなことを教えてもらいましたね…なんか、“遺作”みたいな感じになってますけど大丈夫ですか?僕はまだ撮って欲しいです!観て、皆さんにいい感じに宣伝してもらわないと本当に“遺作”になってしまうかもしれないので」と会場を和ませる。続けて、「人生のひと時を魅せてもらったことに光栄に思っています」と感謝の気持ちを伝えた。
木村監督への感謝の言葉を聞かれたキャスト陣。黒木は「28歳の若輩者に“大ちゃん”って呼ばせてもらったこと。感謝しています。時代劇に多く出させていただくことがあるんですが、今までの時代劇とは違う感覚でお芝居をやらせていただいたこと。『俺は誰よりも黒木華を美しく撮るから』と言ってくださったことが嬉しかったです」と述べ、木村監督とハグを交わした。
西島は「この世界に入ったのが、とにかく撮影所に潜り込みたいと思ったから。そうたりたいと思い飛び込んだんですが、もう撮影所のシステムが崩壊していたんです。今回、大作さんとご一緒して『これだ!』と、熱気がまさに求めていたものでした。日々、大作さんを観ていただけで感動していました。その息吹みたいなものを感じさせてくださって感謝しています。次回からは“大ちゃん”と呼ばせてください!」と伝えた。
岡田は「大作さんの生き様、培ってきた人生、全てをずっと近くで見させてもらいました。不思議な関係を感じていて、すごく歳も離れていますが大作さんの孤独を知った時に…一番の理解者でいたいと思ったし…言葉は悪いですが、大先輩を“友”のように想いながら一緒に撮影させてもらいました。これを終わりだと思わず、もう一本でも二本でも生きてきた証を撮ってくれることを望んでいます。大作さんの魅力に、スタッフさんを含め『祭りだ!』と言いながら撮影していました。これが映画なんだなと、教えてもらいました」と涙をこらえながら真摯に気持ちを伝えた。
木村監督は「僕のこと、一番詳しいです!」と岡田へ向け言葉を贈る。続けて、「“素晴らしい”を超えたすごい人たち。自分のそうありたい。若いのになんてすごいんだと、毎日見つめていました。すごい人、すごい俳優さん、すごい役者の人たちです」とキャスト陣へ気持ちを伝えた。
過去に日本アカデミー賞最優秀撮影賞を5回受賞、キャメラマンとしてだけでなく、映画監督としても『劔岳 点の記』で第33回日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞している木村大作が3度目の監督に挑む本作。黒澤明監督作品『隠し砦の三悪人』の撮影助手からキャメラマンのキャリアをスタートさせ、『用心棒』『椿三十郎』と黒澤明に従事してきた木村大作が、満を持して時代劇に初挑戦する。
主演に抜擢された岡田は、藩の不正を訴え出たために、時の権力に負け藩を追放された男・瓜生新兵衛を演じる。道場の四天王の1人という役柄から、約3ヶ月にわたる殺陣の稽古に励み、激しく鋭い剣豪アクションに臨む。岡田扮する新兵衛と共に道場の四天王の1人で、持ち前の頭脳明晰さで藩主の側用人として頭角を現す榊原采女役に西島秀俊が扮するほか、黒木華、池松壮亮、緒形直人、新井浩文、柳楽優弥、麻生久美子、石橋蓮司、富司純子、奥田瑛二らが共演に名を連ねる。
映画『散り椿』は全国東宝系にて公開中
(C)2018「散り椿」製作委員会
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