橋本環奈「自分の好きなことを貫く“ギャル魂”が大切」連続テレビ小説「おむすび」いよいよスタート!【インタビュー】
2024年9月28日(土)7時0分 エンタメOVO
−最初に台本を読んだときの印象を教えてください。
根本ノンジさんの書かれた脚本を最初に読んだとき、テンポ感がよく、早く演じたいと思いました。第1週から7週にかけての糸島編では、女子高生になった結が書道部の面々やギャル仲間と繰り広げる物語の中で、家族愛や姉の歩(仲里依紗)に対する結の思いが丁寧に描かれていきます。結の思っていることがすっと入ってきたので、迷いなく演じられました。
−結の家族はいかがでしょうか。
米田家の家族も、みんなキャラが濃くて、大好きです。中でも、松平健さん演じるおじいちゃん(米田永吉)がすごくいいキャラで。大ほら吹きで、常にニコニコしているんですけど、結と歩、2人の孫に対してはとても温かいんです。こんなおじいちゃんがいたら最高だと思うような人で。それに対して、生真面目を絵に描いたようなお父さん(米田聖人)を北村有起哉さんが演じているのも、すごくホッコリします。それぞれ個性があり、みんな愛くるしいすてきなキャラクターです。
−橋本さんが生まれる前の時代が舞台で、当時流行ったギャルの登場が話題ですが、この作品を通じて感じたギャルの印象を教えてください。
ギャルについては「心意気」なんだなと演じていて感じました。劇中には「周りの目を気にせず、好きなことを貫く」という“ギャルの掟”も出てきますが、SNSが普及した今は「周りの目は気にするな」と言われても、そうもいかないところがあります。そんな世の中で、何を言われても、自分の好きなことをとことん貫く姿勢はすてきだなと。そういう“ギャル魂”の大切さに気付かされました。
−なるほど。
しかも、仲間を大事にして、絶対に裏切らないんです。高校時代の結のギャル仲間が、その後もたびたび登場しますが、いつまでも関係が変わらなくて。同窓会でも、いつも同じ話で笑い合っている様子が、青春そのものだなと。おかげで、日に日に「ギャルってすてきだな」と思うようになりました。
−実際にギャルメイクをしてみた感想は?
チョコレートのような色のファンデーションを塗ったり、派手なつけまつげをしたり、キラキラなラメをつけたり、ギャルメイクは、別人になったようで楽しかったです。慣れないので時間はかかりましたが、みりちゃむ(“ルーリー”こと真島瑠梨役)が、いろいろアドバイスしてくれたので助かりました。だから「やっぱり、本物のギャルがいると違うね!」とみんなで話していました(笑)。
−橋本さんのギャル姿の写真も公開されていますが、確かに別人のようです。
台本を読んだとき、ギャルメイクをした結がわからなくなったお父さんが「どれが結なんだ?」と言うシーンがあり、「さすがに気付かないことはないよね?」とみんなで話していたんです。でも、ちょうど撮影を見学に来ていた私の母が、父に写真を送ったら、「これ誰ね?」と言っていたらしく、「リアルなんだ!?」と驚きました(笑)。
−物語の舞台は、橋本さんの故郷・福岡ですね。
福岡は私が高校卒業まで住んでいた大好きな街で、なじみのある繁華街の天神などがロケ地だったので、すごく懐かしかったです。福岡の皆さんが本当に温かく迎えて下さいましたし、“ハギャレン(歩が結成した博多ギャル連合)”のみんなと食事に行ったのも楽しくて。お芝居も、博多弁になじみのない方にも伝わるように、聞きやすさに気を付けつつ、博多弁のリアリティーを追求しながら、楽しんで演じています。
−福岡・糸島で結とギャル仲間たちが音楽フェスを開催するシーンもあるとか。
エキストラとして参加してくださった糸島の皆さんが、フェスのシーンを盛り上げてくださいました。おかげで、皆さんの前でパラパラを踊るシーンでは最初、多少戸惑いもしましたが、最後はみんなノリノリで踊れました。学生の方々が早朝から撮影に協力してくださるなど、皆さんの温かさを感じ、本当にありがたかったです。
−今回は、まもなく発生から30年を迎える1995年の阪神・淡路大震災を正面から描くことも話題ですが、その点についてはどのように向き合いましたか。
私自身、大きな震災を経験したことがないので、震災に関する部分については、丁寧に演じなければ、と監督やスタッフの皆さんと話し合い、色々な資料を拝見したり、当時、現地で取材された記者の方のお話を伺ったりしました。ただ、実際に演じる上では難しさも感じています。
−というと?
劇中に「何となくみんなが悲しそうにしていた」「うちは覚えてないんだよね」というせりふもあるように、震災当時、結は6歳です。6歳の女の子が、どれくらい当時のことを覚えているのか、難しいところがあって。実際に6歳で震災を経験した方のお話を伺ってみると、うっすら覚えているくらいだったり、「避難所で友だちと一緒に生活するのが新鮮で、最初は楽しいと思った」ということもあったりすることがわかってきました。でも同時に、当時の惨状や家が崩れた風景は忘れられず、記憶に残っている部分もあるらしくて。
−そうでしたか。
その上、実際に震災を経験した方々が、当時のつらい記憶をフラッシュバックさせないように心がけながらも、「うそをついてはいけない」という思いもあって。しかも、寄り添うことは大事ですが、だからといって皆さんも哀れんでほしいわけでもないでしょうし…。そんなふうに、自分の中でいろんな葛藤がありつつも、「前を向いて、生きていかなければ」という思いのこもったせりふの一つ一つを重く受け止めながら演じています。
−それでは最後に、座長として現場で心掛けていることがあれば教えてください。
常にみんなが楽しくいられることが一番なので、できるだけ現場は明るく盛り上げていきたいです。といっても、それは自分が好んでやっていることなので、特に「頑張っている」「努力している」という意識はありません。私自身、NHKのドラマに出演させていただくのは初めてなので、最初は不安がありました。でも、スタッフの皆さんがいつも温かく迎えてくださるおかげで、楽しく撮影に臨むことができています。そういう現場の空気感は、最後まで変わらずにいけたらと思っています。
(取材・文/井上健一)