永瀬拓矢九段「自玉の詰む詰まないを読むのが遅かった」王座戦終戦 AI値が83%→7%...中継も混乱騒然
2024年9月30日(月)21時53分 スポーツニッポン
将棋の永瀬拓矢九段(32)が藤井聡太王座(22)=王将を含む7冠=に挑む第72期王座戦5番勝負第3局は30日、京都市のウェスティン都ホテル京都で行われ、永瀬九段が藤井王座に156手で敗れ3連敗。最終盤に大逆転を許す悔しい終戦となった。
どちらに流れが傾くか分からない終盤戦となったが、ジリジリと永瀬九段が藤井王座を追い詰める展開に。しかし、優勢で迎えた開始から11時間25分すぎ、藤井王座に続き自らも1分将棋に。その最終盤、146手目でまさかの逆転を許し無念の敗戦。土壇場でひっくり返され力尽きた永瀬九段は、一息ついた後に天を仰いだ。
146手目を藤井王座が指した後のABEMAの中継に表示されたAI予想値は83%永瀬九段の優勢。しかし、147手目後には藤井王座の93%優勢に大逆転。この146、147目の1分将棋中に解説の中村太地八段と本田奎六段は「えっ?!」「えっ?!」「なんで…」「これは危ないですね」「詰めろが消えちゃいましたね」「いや〜…」「同じエアポケットに…」と騒然。その後しばらくの間、言葉が出てこず。永瀬九段も少し耳を赤く染めながら表情を一変。150手すぎからは口を拭き、頭を抱える場面が増え、156手で投了した。中村八段と本田六段も困惑気味に「う〜ん…永瀬九段に誤算がありましたね、はっきりと」「しかし、さっすがですね本当に…しっかり落とし穴を用意しておくところが…」と藤井王座の大逆転劇に驚嘆するしかなかった。
終局後は、すぐに藤井王座に語り掛けた永瀬九段。藤井王座の言葉に何度もうなずきながら「そっかー」と少し顔を紅潮させながら声を上げた。その後のインタビューでは「自玉の詰む詰まないを読むのが遅かった」と回想。シリーズを通して「形勢が良くなったのは本局だけだったので、チャンスを多くつくれればと思ったんですが…はい、チャンスは少なかったかなと思います」と語った。最後に、今後について問われた永瀬九段は、少し考えた後に「ゼロから、はい…また頑張りたいと思います」と前を向いた。