【王座戦】藤井王座 最年少全冠防衛 羽生九段の記録を4年余り更新
2024年9月30日(月)23時51分 スポーツニッポン
将棋の藤井聡太王座(22)=王将を含む7冠=が挑戦者に永瀬拓矢九段(32)を迎える第72期王座戦5番勝負第3局は30日、京都市のウェスティン都ホテル京都で指され、後手藤井が156手で勝利した。対戦成績を3勝0敗として初防衛に成功。かつて2度防衛した叡王を6月に失い、7冠へ後退したが、これで全8冠の防衛を達成した。
22歳2カ月での全冠防衛は、全7冠時代の羽生善治九段(54)の26歳4カ月を4年余り更新。7月の王位戦第3局以来のタイトル戦連勝も6へ伸ばし、初失冠からの完全復活を印象づけた。
永瀬の先手で始まった対局は、戦型が3局連続の角換わり。66手目、藤井が地下鉄飛車を稼働させ、2筋で飛車が向き合った。
相入王もちらつく熱戦は112手目、永瀬が53分を残すのに対し、藤井が1分将棋へ突入。永瀬は上部から詰めろで迫った。後がなくなった藤井は146手目、9筋の永瀬王へ香で王手。この勝負手に、永瀬が歩を打たず桂を跳ねていたら、藤井の寄せは続かなかった。逆に、藤井王への詰めろが解除されてしまった。
「読んでなかった」。頭をかき、右拳で膝を叩いた永瀬の嘆息が、藤井の大逆転勝ちを物語った。
「最後の最後で勝ちになった。シリーズを通して難しい将棋が多く、収穫も多かった」。前期、史上初の全8冠独占を成し遂げた同ホテルでの史上最年少全冠防衛。その棋史に、京都の地は深く刻まれた。
そして10月5日からは佐々木勇気八段(30)を挑戦者に迎える竜王戦7盤勝負が開幕する。「最近の対局を見ると、鋭さに手厚さも感じる。一手一手読みを入れて充実した将棋を指せれば」。わずか中4日。絶対王者は次の戦いへ視線を移した。