藤井王座「振り飛車党に注目」一夜明け会見で語る 菅井八段、西田五段が参戦の王将リーグ注目ポイント言及
2024年10月1日(火)10時22分 スポーツニッポン
将棋の藤井聡太王座(22)=王将を含む7冠=が1日、京都市で前日、初防衛した第72期王座戦5番勝負第3局の一夜明け会見に臨んだ。藤井は終盤の逆転で、挑戦者・永瀬拓矢九段(32)に3連勝。6月に過去2度防衛した叡王を失い7冠へ後退したが、この勝利で全8冠の防衛を一通り達成した。
「昨日の対局は最終盤、難しい形勢だったので実感がまだない。シリーズを通して難しい将棋が多く、その中でうまく結果を出せたのはうれしく思う」
22歳2カ月での全冠防衛は、全7冠時代の羽生善治九段(54)の26歳4カ月を4年余り更新。7月の王位戦第3局以来のタイトル戦連勝も6へ伸ばし、初失冠からの完全復活を印象づけた。
その中で、自身なりの挑戦にも取り組んだと振り返る。棋界は4月から3月までの「年度」でスケジュールが組まれる。前日の第3局は上半期の最終日でこの日は下半期の初日。叡王を失ったが名人、棋聖、王位、王座を防衛した24年度の上半期を振り返り、「今までより色んな戦型を指した。結果としては少し思わしくないが対局内容としてはいい経験が積めている」。例えば第1局では後手番から3三金型早繰り銀という変化球を投じ、勝利した。王座戦の3局も難解な中盤が長い対局続き。テニスにおいて、ラリーが延々続くような接戦を経験でき、自身の糧になったとの充実感を語った。
例年年明けに7番勝負が始まる、ALSOK杯第74期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)挑戦者決定リーグも開幕した。菅井竜也八段(32)、羽生善治九段(54)、永瀬、近藤誠也七段(28)の前期からの残留組に広瀬章人九段(37)、佐々木勇気八段(30)、西田拓也五段(33)の予選からの勝ち上がり組が総当たりで6局ずつ指し、藤井への挑戦権を争う。
王座戦を終え、中4日で佐々木を挑戦者に迎える竜王戦7盤勝負へ臨む藤井だが、その動向にも注視しており「今期は振り飛車党の方が2人参戦している。戦型に関して多様なものが見られると思う。注目して見ていきたい」。前期挑戦者の菅井に西田。例年11月下旬に挑戦者が決まる戦いへの熱視線を物語った。