伊勢谷友介逮捕で考える薬物問題 家族・知人は見抜けるのか

10月2日(金)7時5分 NEWSポストセブン

保釈された伊勢谷容疑者(時事通信フォト)

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 芸能人が禁止薬物で逮捕されると、過去の交友関係や言動までが洗い出され、「次は誰か」と話題になる──9月8日に大麻取締法違反の容疑で逮捕された俳優の伊勢谷友介容疑者(44)のケースでも、同じようなことが起きている。


 逮捕当日、警察に家宅捜索され、乾燥大麻約20グラムと吸引の際に使用する巻紙が見つかり、現行犯逮捕となった伊勢谷容疑者。その後の尿検査で陽性判定が出ており、本人も大麻使用を認めた。連日の報道では、伊勢谷容疑者による元交際相手への“DV疑惑”が暴露されるなどして耳目を集めていると同時に、その交友関係の広さも話題になっている。


 こうしたニュースを見聞きするたびに多くの人が思うのは、「家族など身近な人が気づいて、やめさせられなかったのか」ということだろう。

芸能人が禁止薬物で逮捕されると、その奇行ぶりがおもしろおかしく喧伝されるために「クスリをやっていたら、周囲の身近な人がさすがに気づくはずでは」と考えてしまう。


 だが、実際はそんなに簡単なものではない。NPO法人「全国薬物依存症家族会連合会(薬家連=やっかれん)」の理事長を務める横川江美子氏は、自身も家族の薬物使用に悩んでいた一人であり、薬家連で家族からの相談を受けている。横川氏はこういう。


「本人は当然、隠そうとするから家族が気づくのは容易ではありません。大麻は臭いでわかるといいますが、実際に嗅いだ経験がなければ『これは大麻の臭いだ』とは気づけません。覚せい剤には臭いはありませんし。目つきや表情でわかるというのは重度の依存症の場合だけでしょう」


 では、どのように問題が発覚するのか。横川氏が続ける。


「たいていの場合、仕事が続かない、あるいは学校に行けなくなるという形で問題化します。そうしているうちに様子が以前とは違ってきて、『かつての彼、彼女ではない』ということに気づきます。何かおかしいと思いながら過ごして、私たちの家族会に相談に来るまでに、みなさん何年も悩んでいるんです」


 多くの家族は夫や妻、子どもの様子がどうもおかしいと思いながら、問いただすものの本人が認めるわけもなく、悶々とした日々を過ごす。そしてある日、警察や厚労省の麻薬取締官が家宅捜索に来たり、路上で逮捕されたことを警察から電話で伝えられたりして、そこで初めて違法薬物を所持・使用していたことを知る。「ああ、これだったのか」とわかるというのだ。


 そこで気になるのが、まれに禁止薬物について本人が使用を認めたり、本人の部屋から物が出てきたりした場合に、家族は通報する義務があるのかということだ。前出の横川氏はこう説明する。


「通報義務はないというのが専門家の共通した見解です。ですが、家族自ら『捕まえてほしい』という場合があります。それは窃盗や強盗などさらに犯罪を重ねそうになったり、本人や家族、他人に危害を加えたりする可能性がある場合です。ただし、これは最終的な手段であって、その前にまずは各種相談機関とつながってほしいと思います」


 横川氏によれば、主な相談窓口は以下の4つがあるという。


【1】各都道府県の精神保健福祉センター

【2】依存症指定病院(厚労省指定)

【3】全国薬物依存症家族会連合会および全国の家族会

【4】全国のダルク(薬物依存症回復施設)


 こうした窓口とつながることで、まずは家族が薬物依存症について学び、本人への適切な接し方を心得ることが、依存症患者の回復を助けることになる。


「『〜かもしれない』の段階でも遠慮なく相談してほしいと思います。家族会のメンバーはみな同じような経験をしていますから、必ずよいアドバイスが得られるはずです」と横川さんは力強く語る。


 家族から本人への働きかけは、まず奏功することはないと考えたほうがよさそうだ。家庭内の問題を世間にさらすのは恥ずかしいと考えてしまいがちだが、「薬物依存症は病気である」と認識して適切に人の手を借りていくことが、家族にできることに違いない。


●取材・文/岸川貴文(フリーライター)


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