「細かすぎて〜」芸人こがけん 映画に救われた少年期の孤独

10月3日(水)7時0分 NEWSポストセブン

「オーマイガー!」の決め台詞で注目を集める芸人・こがけん

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 今年3月、20年超にわたる歴史を閉じたバラエティ番組『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)で不定期に行われていた人気コーナー、「博士と助手〜細かすぎて伝わらないモノマネ選手権〜」。番組は終了したが、コーナーだけでも復活をと望む声は多い。その人気コーナーで、ハリウッド映画に“ありそう”なさまざまなシチュエーション&「オーマイガー!」という決め台詞ネタを披露していたお笑い芸人のこがけんに、「細かすぎる〜」の魅力と、なぜ映画ネタを選んだのかについて話を聞いた。


「細かすぎて〜」のオーディションは熾烈だ。じっくりと選考を重ねて、ようやく番組に出演できるという。こがけんが語る。


「2016年に初めてオーディションを受けたとき、ピン芸人になってから取り組んでいるハリウッドものまねで一次通過したのですが、そのとき『オーマイガー!』が面白いと言われたんです。そこで『オーマイガー!』がオチになるネタをブラッシュアップして臨んだオーディションで、出演が決まりました。初めて収録に参加できた時は、本当に嬉しかったです。何より、自分が『細かすぎて〜』のファンでしたから。


 そしてありがたい事に、観てくださった人から『オーマイガーの人ですよね?』と言われるように。嬉しい反面、やっぱり名前はそう簡単に覚えてもらえないもんだな、と複雑な気分でした(笑)」(こがけん。以下同)


 実は、「細かすぎる〜」では、映画の何かを“忠実に”再現しているというわけではない。それなのに、なぜか“確かにそういうシーンがある”気がする。シュールに設定されたシチュエーションのなかで、エンターテイメントとして昇華させた“「オーマイガー」あるある”は、思わず笑ってしまう人が続出している。


「実際に『オーマイガー!』というセリフが出てくる場面を確認すると、ネタでやっているように感情をむき出しにして叫ぶようなことは、コメディ映画を除くと、ほとんどありません。実に地味なものです。ネタでは、まずどういうシチュエーションで『オーマイガー!』という言葉が出るに至るかという構造、“ハリウッド映画あるある”を研究して、それを『オーマイガー!』で締めくくっています」



■洋画を繰り返し見続けた少年時代


 ネタにしている映画、とくにハリウッド映画が好きになったのは、育った家の環境が大きい。


「小学生のときはテレビの『日曜洋画劇場』(テレビ朝日系)を必ず見ていて、なかでも『星の王子 ニューヨークへ行く』(1988年)は大好きでした。そして何度も繰り返し見続けていると、子供でもだんだん、伏線とその回収、という構造が見えてくるんです。あるシーンがフリになって、次にボケ、その後オチになるという仕組みに気づけたんです。


 テレビ番組だけでなく、家族や親戚の影響も大きいです。年の離れた姉が2人いるのですが、姉も僕も、佐世保でカフェを開いていた親戚のおじさんから、かなり教育されました。おじさんは僕ら姉弟にVHSビデオの『ブルース・ブラザーズ』(1980年)や『ブレードランナー』(1982年)を見せるんですよ。最初に見たのはいつだか思い出せないくらい幼い時でした。他にも自然とたくさんの名作を見るような環境でした。


 もう少し成長して、なんだか家に居たくないなと思った時には、決まって映画館へ行っていました。母は、僕が映画を見に行くと言うと(そのための)お小遣いをくれたんです。当時、地方の映画館はまだ新作2本立て上映をしていたので、そこでたっぷり、違う世界に没入していました」


 今はNetflixやAmazonプライムなど、ストリーミングで映画を観られるサービスが充実している。移動時間はたいてい、そういったサービスを活用して映画を観る生活だ。


「それでもやっぱり、1週間に一度は映画館へ行くようにしています。映画館には、ライブのような楽しさがあるんですよね」


■映画を観ることで、救われた「孤独」


 芸人として、映画ネタライブ「こがけんシネマクラブ」も主催しているこがけん。映画ネタにこだわるのは、少年時代の自分を救ってくれた映画に恩返ししたい気持ちもあると明かす。



「どうしようもなく悩んでいたあの頃、映画を観ることで、孤独だった僕は救われました。周りに同じような境遇の人間がいなくても、映画には、自分に似た誰かが“いた”と思えることが何度かありました。同じように悩んでいる人間が、国境を越えてもいるんだ、と…。“繋がっている”感覚が持てたんです。子供だから狭い世界しか知らないし、外の世界を知る方法もわからなかったので、『一人きりじゃない』と感じられることは、生きていくのに大切なことでした。


 僕のように救われるかもしれない人は、まだ、たくさんいると思います。その人たちに何かのきっかけを届けたい。何気なく観た映画に色々な気持ちが重なって、これは自分のために作られたと思える映画がきっとあるはずです。その映画は、その人にとっての名作になると思います。映画を観ようかな、というきっかけになるといいなと思いながら、映画ネタを作っています。


 ライブ(「こがけんシネマクラブ」)では、映画ネタだとあらかじめ知らせてはいますが、お客さんの7割は、お笑いを楽しみに来ている人。だから、“本当に細かすぎる”ネタではなく、映画名だけは知っているけれどまだ観ていない人が観てみようと思えたり、すでに知っている人でももう一度観てみようかなと思ったりするような、映画をより面白く観られる方法がなんとなく伝わるように心がけています。今年の映画のなかでは、1980年代の映画の明るさとわかりやすさのまま表現されている『レディ・プレイヤー1』を、いつかネタにしたいですね。悪役がずっと悪役のままで、最後に女性の部下に殴られるところとか、かつてのヒーローものにはよくある締めくくりで、その場面では嬉しくなりました。


 今後、『細かすぎる〜』が復活するなら、ぜひ、また出演したいです。そのときは、さらに磨いた映画ネタを準備します!」


【プロフィール】1979年生まれ、福岡県出身。2001年に慶應義塾大学を卒業後、東京NSCに入学。大学の同級生と「マスターピース」というコンビで活動を始め、同年8月に解散し板前に。2008年、同じ相方と「ワンドロップ」を再結成するが、2012年に解散。以後、ピン芸人として活動する。2016年に「博士と助手〜細かすぎて伝わらないモノマネ選手権〜」に出演、「オーマイガー!」と叫びながら奈落に落ちるネタで知られる。10月16日(火)に第4回を迎える映画トークライブ「こがけんシネマクラブ」(場所:ロフトプラスワン)は、ゲストに『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督を迎えて開催。10月24日(水)には「四コマ映画 presents『カタルシネマ』」(場所:渋谷カルチャーカルチャー)に赤坂泰彦さん、有村昆さんとともに出演。

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