『DIVOC-12』『偶然と想像』、様々な物語が一度に楽しめるオムニバス映画
2021年10月8日(金)18時0分 シネマカフェ
『DIVOC-12』(公開中)
『DIVOC-12』(ディボック-トゥエルブ)は、株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けているクリエイター・制作スタッフ・俳優が継続的に創作活動に取り組めるように始動させたプロジェクト。
藤井道人、上田慎一郎、三島有紀子が中核となって映画製作を牽引し、それぞれの元に、一般公募より選ばれた新人監督含めた9名が集い、3チームごとにテーマを掲げ、映画製作を行った。藤井監督チームは“成長への気づき”、上田監督チームは“感触”、三島監督チームは“共有”がテーマ。12人の監督がそれぞれテーマに沿って描き、12の物語を作り上げた。
喪失感を抱えたまま生きている男と突然現れた女性アンナの時空を超えた旅を描く、横浜流星主演の『名もなき一篇・アンナ』(藤井監督)をはじめ、多国籍な人々の人生が時空を超えて集う不思議なホテルが舞台の石橋静河主演『流民』(志自岐希生監督)。中国人の青年が船上である男と出会う『タイクーン』(林田浩川監督)。コロナ禍で“ここ”に留まるしかない男女の葛藤が描かれる『ココ』(廣賢一郎監督)という4本が藤井監督チーム。
上田監督チームは、ミュージカル『魔女のニーナ』(ふくだみゆき監督)、ゾンビ映画『死霊軍団 怒りのDIY』(中元雄監督)、ファンタジー『あこがれマガジン』(エバンズ未夜子監督)。西部劇からSFまで多ジャンルを横断した『ユメミの半生』(上田監督)と、多彩なジャンル4編を製作。松本穂香、小関裕太、安藤ニコ、清野菜名、小川紗良、横田真悠といった若手が参加している。
さらに三島監督チームは、他者の価値を決める遊びに興じる少女たちを描く、蒔田彩珠主演『YEN』(山嵜晋平監督)。孤独な女性と少年の運命が交錯する『海にそらごと』(齋藤栄美監督)。ある施設で療養を続ける女性に訪れた変化を描く、前田敦子主演『睡眠倶楽部のすすめ』(加藤拓人監督)。ある仕事に誘われた女性と誘った男の葛藤を映し出す『よろこびのうた Ode to Joy』(三島監督)と、不安定な時代にもがく人々をそれぞれ描写した。
『偶然と想像』(12月17日公開/Reelにて同時オンライン公開)
「第71回ベルリン国際映画祭」コンペティション部門に出品され、審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞した濱口竜介監督の新作となる短編集『偶然と想像』。
タイトルが示す通り、“偶然”と“想像”をテーマに、3話の物語で構成されている本作。濱口監督自身が『ハッピーアワー』のプロデューサー・高田聡と共に企画立ち上げを行い、2019年夏から約1年半をかけて製作。脚本は全て濱口監督自身が手掛け、『うたうひと』『ひかりの歌』の飯岡幸子が撮影を担当。
古川琴音、中島歩、玄理が出演し、親友同士の恋バナから始まる第一話『魔法(よりもっと不確か)』。落第させられた逆恨みから、男子学生(甲斐翔真)が芥川賞を受賞した大学教授(渋川清彦)を陥れようとする第二話『扉は開けたままで』。そして第三話『もう一度』は、久しぶりに再会した2人の女性、夏子(占部房子)とあや(河井青葉)を描いていく。
なお本作は、「ベルリン国際映画祭」の後も、海外映画祭への招待が続き、9月にハンガリーで開催された「第17回CineFestミシュコルツ国際映画祭」にて最高賞にあたるエメリック・プレスバーガー賞を受賞する快挙を果たしており、日本のみならず海外でもすでに大きな注目を集めている。