【インタビュー】「クィア・アイ」ファブ5からのメッセージ「もっと自分を愛して」

10月9日(水)0時5分 シネマカフェ

Netflixオリジナルシリーズ「クィア・アイ in Japan!」

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ファッションやインテリアなど、その道のプロフェッショナルの5人組“ファブ5”が、悩める人たちを次々に変身させていくNetflixオリジナルシリーズ「クィア・アイ」。フード&ワイン担当:アントニ、インテリア担当:ボビー、美容担当:ジョナサン、カルチャー担当:カラモ、ファッション担当:タンが日本を舞台に活躍する「クィア・アイ:We're in Japan!」が11月1日より、Netflixにて遂に配信スタートとなる。

「クィア・アイ:We're in Japan!」の撮影でファン待望の来日を果たしたファブ5。“自尊心を取り戻し、自分の人生と自分自身を愛すること”の大切さを伝える彼らは、日本に来て何を感じたのか。また、日本の“ヒーロー”たちにどのような変化を与えたのだろうか。


日本の人々、日本食、すべてが大好きになった

——日本が舞台のスペシャルシーズンの撮影でしたが、日本で撮影してみていかがですか。どんなシーズンになりそうでしょうか。

ボビー:日本での撮影は素晴らしかったよ。言葉の壁のせいでうまく意思の疎通が取れないんじゃないかって少し心配していたんだけど、そんなことは全くなかった。

カラモ:僕は、日本の文化を世界中の人たちに知ってもらえることがただただ嬉しい。と言うのも、ボビー以外、僕ら全員日本に今回来るまで日本の文化に触れたころがあまりなかったと思うんだ。実際に来てみて、日本の人々、日本食、すべてが大好きになった。


ジョナサン:もう、とにかく日本に夢中で、どうなっちゃうか分からなかった。唯一ショックだったのは、日本にいる間に紀平梨花選手に会えなかったこと。東京と東京近郊にあるスケート・リンク全て行ったのに! 今度の世界選手権、彼女絶対に優勝するから。どこよりも早く断言する。だって、ヤバいでしょ。あのトリプル・アクセル、トリプル・トーループ。あり得ないから! もう、出来過ぎ。しかも4回転も挑戦しているみたいだし。4回転トーループに4回転サルコー。ヤバいでしょ。

世界共通の“愛”を届ける「クィア・アイ」

——日本でも「クィア・アイ」が大人気なのですが、この作品が国や文化の壁を超えて多くの人に愛される理由はどこにあると思いますか。

タン:特にメディアなんかを見ても分かるように、世界中で人々が切り離され地域社会が大きく分断されているけど、僕たちの番組を観て、人はいろんな風に繋がることができるんだってことに気づくからじゃないかな。お互いに心を開くだけで素晴らしいことが起きる可能性があって、明らかだと思っているそうした隔たりが実はそうじゃないんだってことにね。


カラモ:世界の共通語は「愛」で、誰もが愛を求めている。誰もが愛されたいと思っているし、誰かに存在を認めてもらいたいと思っている。周りから否定的な目で見られているんじゃないか、愛されていないんじゃないか、嫌われているんじゃないかという思いを抱えながらみんな生きている。だからこそ、人に勇気を与える、「今のままで十分素敵だ」「みんな君を愛しているよ」と言ってくれる番組にみんな惹かれるんじゃないかな。

ジョナサン:その通り!

ボビー:それ以上の答えはないよ。


褒めることの大切さ「生き方を変えることができる」

——皆さんがどのように褒め上手になれたのかを簡単に教えてもらえますか。

ジョナサン:誰がなんと言おうと、これまで出会った人たちは、少なくとも僕が知る限りテロリスト級の悪人はいないと思っているし、大抵の場合、何らかの形で気持ちが通じ合うことができる。僕はアメリカの田舎町の出身で、親戚の半分はトランプ支持者だ。(困ったもんだってのは)分かってる。

それでも、ほとんどの話題で根本的に意見が合わない彼らのような人たちでも、「自信を持ちたい」「自分の思いを聞いて欲しい」という彼らの思いには共感できる。そういうことなんだと思う。自分と違う部分にばかり目を向けるよりも、どこか共感できる部分を見つけることの方が気持ちが満たされる。——ただしツイッターは別。負の感情は全てツイッターで吐き出すの。そうやって負の感情を全部吐き出すことで、現実世界で出会った人たちと共感できるんだと思う。


ボビー:ゲイの男としてアメリカで育って、これまで嫌なことを散々言われてきた身としては、人を褒めてあげることだったり、その人の良い部分を見つけてあげることが如何に大事かということを身をもって学んできた。言葉によってどれだけ傷つけられるかが分かっているから。だからこそ、言葉が人に与えるプラスの効果も、褒めることの影響力もわかっていて、誰かをちょっと褒めてあげるだけで、その人の生き方を変えることができるのも分かっているんだ。

——日本では結婚しないと幸せになれない、と言うような固定概念がまだ色濃く残っています。いつもハッピーな皆さんにとって、幸せの概念とは?

ジョナサン:何よりもまず自分を愛せなければ駄目。それ以外のことはオマケのようなもの。番組の中でも、恋愛を成就させるお手伝いをしてきたし、見ていて楽しいのは確かだけど、一番重要なのは自分自身を愛することだって僕たち全員が思っている。

近代的でも古き良き風情を残す日本の風景

——今回日本で撮影をしてみて、予想していなかった、日本ならではの独特な違いがあれば教えて下さい。

ボビー:僕は何度も来ているから日本がどんなところか分かっていた。世界で一番好きな国の一つでもあり、一番好きな街の一つでもある。秩序正しく、清潔で、全てのものが時間通りに動くのが大好きだ。日本のスタッフは絶対に優秀だろうと期待していたし、全てが順調に進むと思っていた。さっきも言ったけど、意思の疎通を図る上で言葉の壁という面で少し不安はあったけど、そんな心配も無用だった。なんの問題もなく気持ちが通じ合うことができた。だから予想外のことは特になかった。そこが日本のいいところでもある。期待を裏切らない。

ジョナサン:僕は日本の美しさに驚いた。東京も日本も今回初めて来た。初めて来てみて、「ヤバい」って思った。古い伝統的な建造物が真新しい建物と隣り合わせで立ち並んでいて、至る所にちょっとした穴場のような味のある路地裏が存在する。街中を当てもなく歩いていても、迷子になるという感覚にならない。とにかくもう、最高。


アントニ:僕からも一つある。僕にとっては今回初めてのアジアで初めての日本だったんだけど、日本の何が好きかって、例えばカナダやアメリカだと全てが近代的で、みんな真新しいものを求める。一方でヨーロッパに行くと古いものに対する敬意が重んじられていて、400年も500年前も前に建てられた建築物がある。で、ここ日本は、その両者が見事に共存している。しかも技術的に物凄く進歩している。これは前にも話したけど、自動お湯はりのお風呂には本当に救われた。

ジョナサン:トイレも!


もう少しだけ自分のことを愛してあげよう

——日本では風邪予防だけではなく、自分に自信がないという理由で夏でもマスクをつけている人もいます。顔を隠すこと、自分に自信がないと言うことに対して、メッセージがあれば教えて下さい。

ジョナサン:心地いい場所、つまりぬるま湯に浸かったままだと人間は成長しない。だからもし医学的な理由ではなく、落ち着いくという安心感が理由で毎日マスクをつけているのだとしたら、まず「何を一体そんなに怖がっているの?」「何から隠れているの?」と自分に聞いてみて、例えば試しに火曜日と木曜日だけはマスクを外してみる、というのはどうかな。いきなり毎日外すのは難しいと思うから、例えば「1日おきに外してみる」とか、ちょっとずつ試してみるところから始めてみたらいいと思う。そして自分に聞いてみるの。「なんでマスクをした方が落ち着くんだろう」って。こういうのも(手で顔の下半分を覆う)確かにお洒落だけど、それが本来の自分を隠すものだったとしたら何か対策を考えないとだね。


カラモ:僕からも言わせて貰うと、今回日本の依頼人たちと接して気づいたのは、彼らの多くが人には見せたくない部分を抱えていることだった。それは傷ついたことが発端だったりする。誰かから自分のことを変だとか醜いと言われたりして。その傷が今度は恥に変わって、自分もそうだと思い込んでしまう。今回日本の依頼人たちで特に感じたのは、まずそう思い込んでしまったこと、そしてそれを隠さなきゃと思っていた自分を許してあげていいんだと伝えることが最初のステップだということ。「その思い込みから自分を解放してあげていいんだ」と自分で自覚する必要がある。そこから今度は、自分が抱えている「恥」だったり、「自己否定」を無くす為には別のメッセージで置き換えないといけない、ということを知ることが大事なんだ。ジョナサンが言うような、自分を肯定する小さなことから始めてみるのでもいい。

ジョナサン:僕はこれを「学習棄却(いったん学習したことを意識的に忘れ、学び直すこと)」って呼んでるんだ。

カラモ:学習棄却だ。自分が好きになれる自分の別の部分に目を向けるんだ。そして人に揶揄されるんじゃないかと自信が持てないものを抱えていたとしても、自分のことを「美しい」と言ってくれる、自分を支えてくれる人たちを周りにおくこと。自信が持てないのは誰だって同じ。人から「変だ」と言われた経験は誰にだってあって、みんな日々自分に「大丈夫だ」って言い聞かせているんだ。ありのままの自分こそが完璧な姿であって、そんな自分を愛するところからまず始まる。そうやって一歩一歩進むことによってマスクをつけて自分を隠している人たちでも、自信が持てるようになるんじゃないかな。


ボビー:日本文化全般に言えることは、もう少しだけ自分のことを愛してあげてもいいんじゃないかということ。もっと自分を褒めてあげてもいいと思うし、自分を大事にしてあげていいと思う。これまで日本の人たちと接してきて感じたことは、みんな常に他の人がどう思うかを気にしている。何度も言うけど、それはそれで素晴らしいことなんだよ。調和のとれた社会を作ることができるんだから。

でも同時に、個人の中に抱え込んでしまうものもたくさん産んでしまう。そのことにもっとみんな気づかないといけないと思う。『ル・ポールのドラァグ・レース』をみんな見てるかわからないけど、ママ・ルーの言葉を借りるなら、「自分を愛せなくて、どうやって他の誰かを愛せるって言うの?」ってこと。本当に本当にその通りだから。だって自分を愛せなくて、自分を美しいと思えない人が、結婚相手や家族に対して愛情を伝えられるわけないでしょ? 自分にだってできないんだから。

今回日本で出会った依頼人の中でも、どうしても自分を好きになれない依頼人が一人いてね。僕たちから見たら本当に素敵な人なのに、自分ではそう思えず、だから奥さんに対しても愛情を伝えることができなかった。でも今は自分の素晴らしさに気づくことができて、奥さんに対する態度も変わったのを目の当たりにして、本当に最高だった。だから、そこが唯一日本の文化に欠けている部分だと思う。もっと自分のことを愛していいと思う。そこは変わらなきゃ駄目な部分。まあ、アメリカ人は自分たちのことを愛し過ぎだけどね。


ジョナサン:僕が気づいたのは、一般的に日本人が抱える問題とアメリカ人が抱える問題を区別してその文化的背景の違いばかりが取り上げられるけど、アメリカの田舎だってLGBTに対して抑圧的だ。だから抑圧的な伝統を重んじる文化で育つ人の気持ちは僕にはよくわかる。それに、自殺は日本が抱える大きな問題だけど、アメリカでも同じ。過重労働もアメリカで今大きな問題で、日本でも同様だ。男女の不平等や賃金差にしてもそう。日本が抱える問題はアメリカが抱える問題とさほど違いはない。例外なのは銃規制だ。

つまり何が言いたいかというと、国が違っていても抱えている問題はそんなに差がないと言うこと。一見全然違うように見えて、一歩下がって社会学的観点から見てみると、日本文化もアメリカ文化も、南アフリカもロシアも、みんなそれぞれ抱えている問題はあるけれども、突き詰めてしまえば、みんな愛を求めているんだ。みんな受け入れられたいと思っている。他のことは単なるおまけでしかない。だから、例えば日本人はもっとこうした方がいいとか、アメリカ人はもっとこうしなきゃ駄目だって話になると、そういう漠然とした一般論にはうんざりしてしまうんだ。だって、みんなそれぞれ必死に悩んでいるんだから。


Netflixオリジナルシリーズ「クィア・アイ in Japan!」は11月1日(金)より独占配信開始。

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