『るろうに剣心』演じる早霧せいな、「自分と共通点全くない」

10月9日(火)16時0分 NEWSポストセブン

緋村剣心役について語る早霧さん(撮影/浅野剛)

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『幕末太陽傳』で佐平次を演じた伝説の元宝塚トップスター早霧せいなさんと漫画『お多福来い来い』でそれを描いた宝塚大好き漫画家・細川貂々さんが初対談。『るろうに剣心』は『少年ジャンプ』に連載された和月伸宏の漫画『るろうに剣心—明治剣客浪漫譚—』をミュージカル化、2016年に宝塚で初演。早霧さんは主人公の緋村剣心を演じた。この10月、松岡充、上白石萌歌らとの共演で東京、大阪公演の幕を開ける。


貂々:(緋村剣心役は、)ご自身と重なるところもありますか?


早霧:いや、重ならない(笑い)。重ねようと思えば、重ねられるんですけど、「ちょっと共通点があります」とか言ったら、かっこよすぎて恥ずかしくて(笑い)。どの役でも演じるときは、自分との共通点や共感できる部分を探すところから始めると、それが突破口になって役づくりが広がっていくので、それは大切にしていることなのですけど。


貂々:時代でいえば、宝塚の卒業公演『幕末太陽傳』もほぼ同じですけど、演じられた佐平次とは重なるところはありましたか?


早霧:佐平次のひょうひょうとしているところが、すごく好きなんですよ。佐平次はちょっと泥臭いのかな。楽して生きたいという精神が出るところがかわいいというか、人間っぽいというか。共感もできましたし、共通点もいっぱい(笑い)。かっこよすぎてヒーローすぎる剣心は、私にはもったいないです。


──『幕末太陽傳』は古典落語の『居残り佐平次』を核に、『品川心中』『三枚起請』などのエピソードをちりばめて構成された、川島雄三監督の傑作映画。宝塚では2017年、早霧さんの佐平次、咲妃みゆさんのおそめのコンビで上演され、これは早霧さんの卒業公演となった。貂々さんの最新コミックエッセイ『お多福来い来い てんてんの落語案内』には、早霧さんの卒業公演を観劇した様子も描かれていて、宝塚ファンからも熱い支持を得ている。


貂々:佐平次を演じているときはすごく楽しそうでしたよね。


早霧:はい。楽しかったですね。少々ふざけていてもオッケーだったので、いかに遊び心を役に投影するかと考えていました。



貂々:アドリブも結構ありましたよね?


早霧:せりふではありませんけど、自分が表ではなく、ちょっと陰に回って芝居をするシーンでは、毎回遊んでアドリブしてましたけど。


貂々:やっぱり! 見るたびに、「今日も違う」と思っていました。


早霧:そこまで見てくださるファンのかたって、ほんとうにありがたいです。日々の違いをしっかりご覧になって記憶に残してくださるので、こちらもやり甲斐がありますし。ただ、そういうリピーターのお客さまに甘えていたなというのも、実は退団して気づいた点です。


貂々:えっ!? そうなんですか?


早霧:宝塚に通い続けているお客さまは、次のシーンはこういう演技が来るでしょう、そうこなくちゃ、という期待を持って待っていてくださるんですよ。


貂々:はい、わかります(笑い)。言葉にはしにくいんですが、流れを心得て見る、見たい、見せてという気持ちで待っているんです。


早霧:その態勢がとてもやりやすいし、ありがたいんです。でも、そこに甘えすぎていてはいけない…(笑い)。初めて劇場に足を運んでくださるかたも、たくさんいらっしゃるわけですから。


貂々:そうか。熱狂的なファンとしては、甘えさせてあげたいみたいな感じになりますけど、それだけじゃダメなんですね(笑い)。


早霧:自分も宝塚が大好きで宝塚歌劇団に入ったので、全部見てやるみたいな姿勢もすごくわかるんですけど、みながみな、そうではない。初めて見るかたにも、ストーリーや宝塚の芝居をきちんと届けなければいけない、と反省しました。『お多福来い来い』によると、貂々さんは釈徹宗先生と一緒にご覧になったんですよね。釈先生は初めての宝塚だったようですが、楽しんでいただけたんでしょうか?


貂々:釈先生は、宝塚はあまりお好きではなかったので、「一度見てください」と、ずっとお願いしていたら、「今度、『幕末太陽傳』をやるそうですね。それなら見たいです」って先生の方から言われたんです。「それは早霧さんの退団公演なので、ちょっとチケットが取りにくいかも」って、言えなくて(笑い)。でも、苦労して取った甲斐があって、満面の笑みで帰っていかれました。


早霧:釈先生のような、それまで宝塚に縁のなかったかたにも、喜んでいただいて本当によかったです。


貂々:はい、すごくうれしかったみたいで。でも、舞台が始まってから、説明してくれるんですよ、あれはこうなんですよとか。ちょっと今しゃべられると困るんですけど、と思ってました(笑い)。


早霧:ハハハハ。そのぐらい『幕末太陽傳』がお好きなんですね。



貂々:退団公演はもちろん、ちぎさん(早霧さんの愛称)は宝塚史上初めて、主演をした大劇場公演全5作で観客動員100%を達成して、チケットが取れない伝説の大スターといわれるご自身を、どうとらえていらしたんですか。


早霧:今日のひと公演、明日のひと公演が、1つの目標なので、あまり考えていられないというか…。動員が100%とか、周りのかたがたに言っていただけたので、喜びはすごくありましたけど、自分としてはそこに重きを置いてなかったです。一つひとつの公演をちゃんとやることに魂をかけて、命以上のものをかけてやっていたので、その積み重ねがそういう形になったことはとてもうれしいですけど、その当時は、それどころじゃないというか、目の前のことで必死でしたね。


貂々:それはやっぱりプレッシャーなんでしょうか。


早霧:100%を目指そうという考えはまったくなかったんですけど、前の作品よりもさらに面白いものを追求しなければいけないというプレッシャーは強かったですね。お客さまの期待値が絶対に上がってるはずなので、それを裏切りたくないっていう。で、もっと楽しいものを、もっと面白いものをと、自分にも要求しているところがあって。貂々さんも作品を描く上で、プレッシャーもあるんじゃないですか?


貂々:えっ、私は何ていうか。気楽に楽しく描いているというか(笑い)。


早霧:本当はそれがいちばんいいですよね。この『お多福来い来い』を拝読していても、そういう抜け感をすごく感じるんです。素朴でかわいいタッチの絵もいいですね。


貂々:ありがとうございます。


早霧:だから、全然押しつけがましくないっていうか。そこが素敵な魅力です。


貂々:今日はもう、ちぎさんに今の言葉をいただけただけで幸せ(笑い)。


※女性セブン2018年10月18日号

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