“ダメカッコいい”長谷川博己、朝ドラ「まんぷく」では“ハセヒロイン”!?

2018年10月15日(月)7時45分 シネマカフェ

長谷川博己

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NHK連続テレビ小説「まんぷく」が好評だ。「DREAMS COME TRUE」の楽曲に乗せ、ヒロイン・安藤サクラの個性だけで押すオープニングは見れば見るほどクセになり、人となりが見えてきた登場人物の中には応援したい推しキャラが現れている。

第2週は長姉・咲(内田有紀)の結核や激化する戦局という心配な出来事があったものの、何より、安藤さん演じる今井福子と、後の夫となる立花萬平とのやりとりに毎朝、ほっこり、にやにや、ハラハラ、キュンキュンしている方が多い様子。

その萬平を演じているのが、ハセヒロこと長谷川博己だ。丸メガネに“技術屋”らしいエプロン、商売に疎く、恋にも奥手、でも決めるところはビシッと決める姿には「可愛いすぎる」「素敵すぎる」「癒される」といった声が続出。

三姉妹の末っ子でおっとりはしていても、意外としっかり者の福子に比べて、「むしろハセヒロのほうがヒロインでは?」と「ハセヒロイン」といった言葉まで誕生するほど。本作ではこれまで以上に、ダメカッコいい、キュートな魅力が炸裂している。


福子×萬平のほのぼのカップルはどうなる…!?
家庭でも手軽に味わえるインスタントラーメンを生み出した日清食品の創業者・安藤百福とその妻・仁子をモデルに、激動の時代の大阪で生き抜く夫婦の苦労と成功を描く「まんぷく」。タイトルは劇中の夫婦の名前、萬平と福子からとられている。

制作発表時には、「朝ドラは20代の頃に何度かオーディションを受けさせてもらいまして、何度も落ちておりまして(笑)」と語っていた長谷川さん。ところが、生真面目なインテリやエキセントリックな役柄をやらせたらピカイチな彼は、本作での矜持を持った発明家であり、ハニカミながらも福子にちゃんと恋する男がハマっている。


朝ドラで実在の企業の創業者や配偶者がモデルとなるのはよくあることだが、今回は子役時代は描かず、いきなり大人(福子18歳!)からスタート。福子の人柄や仕事ぶり、今井家の実情、萬平との出会いや彼の事業など、様々な要素が初週から実に小気味よく描かれ、このカップルの初々しさ、お似合いぶりは見る者を大いに楽しませている。

たとえば、2人の初デート。福子は父を、萬平は両親を早くに亡くしているのに、それぞれの身の上を明るく語り合う。屋台のラーメンを並んで食べながら、「そんなに深刻にならないでください、さあ食べて食べて」と萬平は朗らかに言ってのける。そして、自身の仕事場を案内しながら「世の中の役に立つ仕事がしたい。みんなが喜んでくれるような仕事を」と語る萬平を、福子は尊敬を込めて見つめる。


また、「私なんか…」と自分を卑下するような福子に対し、「福子さんは、かっ、可愛い方です」と真っ直ぐに伝える。それに心が優しい、礼儀正しい、に続いて「ラーメンをおいしそうに食べる」と、本作らしい“愛の言葉”も。その上、福子の母・鈴(松坂慶子)に交際を断われると、萬平は「それはできません」ときっぱり! 咲の病気が治ったら「結婚を申し込むつもりです」と、それまでのヘタレぶりはどこへやら、力強くそう宣言してみせるのだ。


福子は、おいしい食べ物や楽しい出会いなど日常の些細な幸福を、極めて素直な心で喜ぶことのできる女性だ(その逆もしかり…)。そんな彼女に萬平が惹かれていく理由が、わずか2週間あまりで丁寧に描かれてきており、そこに視聴者も深く共感する。ただ、これからの福子と萬平がどうなってしまうのかは、気にならずにはいられない。

加えて、萬平の周りには営業担当として共同経営者となる加地谷(片岡愛之助)、萬平の才能に一目置く世良(桐谷健太)という朝から濃〜い顔ぶれが。かつてないほど可愛らしいヒロイン役を務める安藤さんの周りにも、勤務するホテルの先輩・保科(橋本マナミ)に、缶詰をくれる同僚・野呂(藤山扇治郎)、白馬の歯医者様・牧善之介(浜野謙太)など、個性豊かな面々ばかり。ここに瀬戸康史や中尾明慶、やがては菅田将暉などが加わってくるので、ますます楽しみは尽きない。


なお、萬平が、長谷川さんの代表作「MOZU」シリーズの「チャオ!」の決めゼリフで知られる狂気の公安・東と180度違ったキャラクターであることを逆手にとり、「#ハセヒロイン」とともに「#チャオ平」なるタグも派生している。


「セカンドバージン」で大ブレイク!
1977年3月7日生まれの長谷川さんは、大学卒業後、2001年に文学座へ入座し、舞台俳優として活躍。文学座の「モンテ・クリスト伯」ほか、「ヘンリー六世」「海辺のカフカ」など故・蜷川幸雄の舞台にも数多く出演した。

脚本家・大石静による「四つの嘘」(08)が、初めてのテレビドラマ出演。その後、大石氏の「ギネ 産婦人科の女たち」などを経て、2010年「セカンドバージン」で、鈴木京香演じる敏腕出版プロデューサー・中村るいの不倫相手となる金融庁のキャリア・鈴木行役で一躍脚光を浴びる。翌年に公開された劇場版は映画初出演作となり、第35回日本アカデミー賞新人俳優賞に選ばれた。


大石氏は朝ドラ「ふたりっ子」の内野聖陽、同じく「オードリー」の堺雅人や佐々木蔵之介など、人気舞台俳優を全国区に紹介し、ブレイクさせてきた実績があり(系統は違うが「カーネーション」の綾野剛も)、当時34歳の長谷川さんも同作以降、遅咲きの実力派として認知度を高めていく。

2011年は、4月期に後述する「鈴木先生」、10月期に高視聴率を記録した「家政婦のミタ」に出演。その後、綾瀬はるか主演の大河「八重の桜」(13)では主人公・八重の最初の夫となる洋学者・川崎尚之助を務めあげ、映画『進撃の巨人』2部作や『この国の空』などに相次いで出演。社会現象級の大ヒットとなった『シン・ゴジラ』では、巨大不明生物ゴジラの出現に立ち向かう官僚・矢口蘭堂を熱演し、第40回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞した。


『散歩する侵略者』では憧れだったという黒沢清組に初参加。日曜劇場「小さな巨人」では前髪をすっきりと上げ、警視庁捜査一課から所轄に飛ばされる正義感あふれる主人公・香坂を演じた。

映画『二重生活』で意外な下積み時代が明らかに!?


門脇麦に尾行されるワケあり隣人を演じた、岸善幸監督の『二重生活』。実はこの完成披露試写会で、長谷川さんの大学時代のエピソードがリリー・フランキーにより明かされた。約20年前、長谷川さんは出版社でアルバイトをしており、リリーさんの家に原稿を取りに行っていたそうで「ずっと長谷川くんに尾行されていました」とリリーさん。そこで「居留守を使われたこともありました」と長谷川さんが応じると、「ポルノ映画のHなポスターを見て、どこに売ってるんですか? と食らいついてきた」とリリーさんが返し、思い出話(?)に花が咲くことに。


さらに、リリーさんが初めて出演した映画『盲獣vs一寸法師』(04)では、同じ役を長谷川さんがオーディションで受け、落選していた事実も判明。それほど縁がある2人は、同作での共演を「変な感じですね…」とふり返っていた。

このときに演じたのも“ゲス”なインテリ男だったが、今回は“まんぷく”的なツボをつく、長谷川さんのキュートな部分を堪能できる作品に注目してみた。


妄想が教育を変える!? 黒縁メガネ+ループタイの「鈴木先生」


2011年、武富健治の人気コミックをドラマ化した「鈴木先生」は民放連ドラ初主演作。『ALWAYS 三丁目の夕日』「リーガル・ハイ」の古沢良太による脚本がお見事。黒縁メガネとループタイがトレードマークの国語教師・鈴木先生が、“鈴木メソッド”なる独自の教育理論で、給食の献立から中学生の性に至るまで痛快に斬り込んでいった。

シリアスとコミカルを行ったり来たり、スマートなルックスなのに時折、妄想が膨らみすぎるチョイキモな鈴木先生は、カルト的といえる人気に。2013年にはドラマ特別編「鈴木先生の結婚報告〜待望の休暇も心の汗が止まらないッ!〜」に続いて、『映画 鈴木先生』も公開された。

歌声も披露!『舞妓はレディ』“エセ京都弁”を操る言語学者に


周防正行監督による2014年のミュージカル映画。「東宝シンデレラ」オーディション審査員特別賞の上白石萌音が、主人公・春子役に初主演で抜擢された。長谷川さんが演じたのは、インチキ京都弁(?)を操る言語学者・京野法嗣。それでも、ほんのわずか聞いただけで春子が鹿児島弁と津軽弁の“バイリンガル”であることを言い当ててた。

本作では、“京野メソッド”として「おおきに」「すんまへん」「おたのもうします」の舞妓必須三単語や「一見さんお断り」の精神を、春子に歌で伝えていくシーンは必見。彼女の上達を目にした際、「はははっ」と笑顔を見せる姿は萬平さんかと思うほど!? シルバーのタキシード姿で踊る、ラストのダンスまでお見逃しなく。

『ラブ&ピース』冴えない男がカメのおかげで大逆転!?


『地獄でなぜ悪い』園子温監督と再タッグを組んだ本作は、摩訶不思議な展開に転調していくファンタジック・ラブストーリー。社内で「カメ」と馬鹿にされ、パワハラを受ける鈴木良一は、閉まりかけのエレベーターに必ず挟まれるような冴えない男。やがて、“ピカドン”と名付けたミドリカメとの出会いで人生が激変。

カメを思って作った歌が反原爆・反戦のメッセージと勘違いされ、レコード会社にスカウトされる。髪はボサボサの伸び放題、地味なメガネでカメとじゃれ合う前半の姿と、サングラスにアイメイク、“ワイルドリョウ”としてド派手な革パンでシャウトする姿の対比がクセになりそう!?


映画版のエリート童貞に!『海月姫』


月9のテレビドラマも話題を呼んだ、東村アキコの同名ベストセラーコミックを映画化した『海月姫』(14)。菅田将暉が女装美男子・鯉淵蔵之介に扮し、長谷川さんが恋愛経験のない、こじらせエリートの鯉淵修(映画では兄)を好演した。

蔵之介にきれいにメイクされ、大変身した“クラゲオタク”月海(のん)にひと目惚れするシーンは、絶妙にずれた銀縁メガネがポイント! どうやらメガネ男子となると“ハセヒロイン”性が増すようで、終始ぎこちなく不器用な言動は十分に萬平を想起させる。本作の初日舞台挨拶に登壇した当時37歳の長谷川さんは、「変態おやじにならないように、できるだけ若さを出すのが難しかった」と自嘲気味にふり返っていた。

月9史上最も恋愛下手な2人?「デート〜恋とはどんなものかしら〜」


萬平のドタバタな交際申込みに、本ドラマの“高等遊民”のプロポーズを重ねた人も多かったはず。「鈴木先生」の古沢氏のオリジナル脚本であり、長谷川さんは月9初出演。東大大学院卒の超合理的女子・藪下依子(杏)と、文学や映画、エンターテインメントを愛するニート・谷口巧という、ともに恋愛力ゼロの凸凹な2人を温かく見守る人が続出した。

理想のタイプが「オードリー・ヘプバーン、原節子、峰不二子、メーテルを足して4で割った女性」というのが、何より彼のパーソナリティを物語る。「僕なんかに月9のお話が来るようになったのか…と思ったら、ニートの高等遊民と聞いて『なるほど、そういうことか』と思いました(笑)」とは長谷川さん本人の弁。


今秋、東京国際映画祭で新作映画が連続上映
長谷川さんがキーパーソンとして出演する稲垣吾郎の主演映画『半世界』が、10月25日(木)より開幕する第31回東京国際映画祭コンペティション部門に正式出品される。

ある地方都市、長谷川さん演じる瑛介が仕事を辞め、家族と別れ、突然ひとりで帰ってきた。この仲間の帰還が、同級生たち(稲垣さん&渋川清彦)にも変化をもたらしていく。『エルネスト もう一人のゲバラ』『北のカナリアたち』など、日本映画界を代表する名匠・阪本順治が贈る完全オリジナルストーリーが、どう受け入れられるのか要注目。


一方、日本を含むアジアの気鋭監督3名が、1つのテーマのもとにオムニバス映画を共同製作する「国際交流基金アジアセンター×東京国際映画祭」による『アジア三面鏡2018:Journey』の1篇『碧朱(へきしゅ)』にも参加。『ハナレイ・ベイ』『トイレのピエタ』の松永大司監督とのタッグで、こちらも東京国際映画祭にてプレミア上映される。

また、「すごいことを引き受けたんだな」と自身でも語るのが、明智光秀を演じる2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」。主人公に据えられることは珍しい“反逆”の戦国武将を、「夏目漱石の妻」でも組んだ大ベテラン・池端俊策の脚本で描く。朝ドラからの“連投”で大河主演というのも、また異例。まだしばらくは、長谷川さんの大活躍が続きそうだ。

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