【ロッテ】平沢大河、クライマックスシリーズの裏で

10月18日(水)11時0分 文春オンライン

テレビの向こうの華やかな舞台に立つ同級生


 その夕食会場に設置されているテレビではクライマックスシリーズのナイター中継が流れていた。10月、平沢大河内野手はフェニックス・リーグ参加のため、宮崎にいた。毎日のように練習試合をこなしながら、自分を磨く日々。平沢にとっては昨年に続いて2年連続の出場となった。私は視察に訪れた井口資仁新監督に随行する形で現地を訪問した。ちなみに昨年はこの若者の取材対応のため、この地を訪れていた。あるテレビ番組の対談で同じくフェニックス・リーグに参加をしていたイーグルスのオコエ瑠偉外野手と平沢は対談をすることになっていた。それ以来の宮崎だ。一年はあっという間だが今年、オコエはまだシーズンを終えていない。テレビの向こうの華やかな舞台にその姿はあった。


「オコエどうこうというのはないですけど、ああやってクライマックスシリーズの大事な試合にスタメンで出たりしていることに関しては凄いなあと思います。自分も早く追いつかないといけない。自分もチームに貢献してポストシーズンに出たい」


 食事をしながら、何度も箸が止まる。テレビの向こうの熱戦が気にならないと言えば嘘になる。いまだシーズンを終えることなく、しびれる短期決戦のベンチの中にいる同じ年の選手の存在に静かに闘志を燃やしていた。



平沢大河とオコエ瑠偉 ©梶原紀章


チャンスを生かすことができなかった2017年


 2年目の今季、50試合に出場をしてプロ初本塁打を放ったが、21安打、3打点で打率は.176に終わった。一方のオコエは41試合の出場にとどまったものの、39安打で17二塁打。3本塁打11打点5盗塁で打率は3割となった。数字の成長曲線と印象的な場面で比べると、どうしても向こうの活躍の方が目立つ。なによりもマリーンズは今季、ショートの不動のレギュラーであった鈴木大地内野手が二塁にコンバート。遊撃の定位置が空いている状態で臨んだシーズン。平沢にとっては千載一遇の絶好のチャンスだった。しかし、残念ながらその好機を生かすことは出来なかった。


「今年はチャンスを掴みきれなかった一年。それが悔しいです。チャンスは何度も頂いたのにそれを生かせなかった」


 夕食を食べ終わると、悔しそうにまたバットを握って、夜間練習を行う宿舎横のテニスコートに向かった。バットを振り、そして映像確認を繰り返す。日本中の野球ファンが注目をするクライマックスシリーズの陰で若者たちは宮崎の地で次なるヒーローになろうと地道な努力を繰り返している。このフェニックス・リーグでの課題は逆方向に強い打球を打つ事。軸を意識した打撃で力強いスイングを作り上げようとしている。それはオコエの打撃を目の前で見て思ったことでもあった。


「オコエが凄いのはどんな状況でもしっかりとバットを振れていること。ボクとはそこが違う。振り切っている。それが力強い打球を生んでいる。自分はどちらかというと、やみくもに振っていた。それは大きな反省点ですね」



「ショートの競争はまだ終わっていない」


 今季、チャンスをものにできなかった若者の気持ちはすでに来季に向いている。幸い、マリーンズは生まれ変わる。現役を引退したばかりの井口資仁氏が新監督に就任。10月14日に監督就任会見を終えると会場からその足で空路、宮崎へと向かった。現地の打撃練習で熱視線を送ったのは背番号「13」。この若者に未だ固まっていない遊撃の定位置獲りの期待をかけている。


「新監督になられて、また違う色のチームになると思う。その中で自分も存在感を示せるようにしたい。ショートの競争はまだ終わっていない。来年も続くと思っています。来年こそは勝ち取れるように、やることをやって備えたい」


 振って振って振りまくる。安易な言葉を使うが今の平沢にはそれがピッタリと当てはまる。悔しさを胸に、同じ年の活躍に負けじと来季を見据える。そして井口新監督もまたこのギラギラをした若者を新生マリーンズのキーマンの一人と捉え期待している。日本プロ野球はいよいよフィーナーレを迎える。ただ、忘れてはいけない。すでに来年に向けた戦いも始まっている。捲土重来。巻き返しの秋である。


梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)



(梶原 紀章)

文春オンライン

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