井上公造氏が語る「芸能人がネットで情報発信する意義」

10月18日(水)7時0分 NEWSポストセブン

ブログから人気に火がついた芸能人も少なくない(アメブロHPより)

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 9月上旬の事務所退社までネットでの情報発信を控えていた元SMAPの3人(稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾)がネットやSNSを活用し、芸能活動を積極的に展開中だ。動画を公開し、10月16日に公開された第2弾の動画では、3人が映画を作ることが明かされた。AbemaTVでは11月に3日連続の生中継を行なうことも決定した。それと同時に香取がインスタグラム、草なぎがYouTube、稲垣がブログを開始する。ますます活動の幅が広がることになりそうな3人だが、「芸能人がネットで情報発信する利点と意義」について、芸能リポーターの井上公造氏が解説する。井上氏は特にブログが重要だと述べた。


 * * *

 芸能人がネットで情報発信する利点は多数あると思います。その中でも特にブログの利点についてまず説明すると、我々マスコミの情報収集の面で役に立ちますが、芸能人の側にも利点はあると思います。インタビューって実は簡単じゃないんですよ。女性の場合、メディアに出るためにはメイクしなくてはいけないですよね。ただ、ブログの場合、そういった準備をすることなく、自分の心のひだみたいなものも伝えやすい。そこは文字数がないと無理ですね。


 書くという行為は、そもそも書くことが好きな人がやるものです。特に役者さんに多いですが、役者さんって小説とかをすごく読んでいますね。読んでいるということは、書くことも優れている人が多い。自己表現の場として、他のSNSは日記的なところもあり、いわばミニファンクラブみたいな要素があります。フォロワーを集めることで、囲い込む。一方、純粋に“情報を発信する”目的なら、圧倒的にブログが便利ではないでしょうか。


 最近のブロガーでは「ママブロガー」が多いですね。その元祖たる「ママタレ」(ママタレント)という分野をつくりあげたのは、実は『はなまるマーケット』(TBS系)だと思っています。基本的に、一世を風靡したけど今はママさんになった人達に番組で実生活を語ってもらう。幅広い年齢層のママタレさんがいらっしゃいますが、母親の立場で物事を伝えていく。そういう人達の表現の場として、ネット上に存在するのがブログだと思っています。


 芸能プロダクションの人と喋っていて言われるのが、ネットがあるおかげで活動の継続性が生まれたということです。昔の芸能界は「妊娠しました」となれば、「じゃあ、ここからここまでは産休だから休みましょう。産後は様子を見ながら、ここら辺の時期を目途に復帰しましょう」となっていたということです。まぁ、なんだかんだいって1年とか休むわけですね。1年休むとなると、芸能界は椅子取りゲームなので、忘れられる恐れもあります。だから本人も事務所も不安でした。その席がなくならないための手段がCMだったのです。休んでいる間にも登場し続けられるので「休んでない」と思われますから。


 ただし、問題が一つありました。CMって誰でも出られるわけではないんです。ハードルが高い。ママタレで、CMがないタレントは忘れられても仕方がないのか、という状況下に現れた救いの手がブログでした。休んでいる間に自分のお腹が大きくなっていく様子を報告し、食べ物、悩みも含めて、ファンと共有し、コメント欄では色々な情報を集められます。初めてのママさんが多いので、産んでからの葛藤もあるだろうし、一喜一憂しながら書いていく。多くの同じ境遇の人が共鳴する。そこで、新たなファンも作れる。東尾理子さんとか、子供を作るという過程すらブログで本音を書いていたし、色々な意味で、問題提起でもあった。


◆小林麻央のブログは彼女の生き様が残された


 最近だと「不妊」というテーマは関心が高いですよね。保田圭さん、川崎希さんとかもそうです。こういうのは、かつて芸能界、いや、世の中ではあまり言わないことでした。加えて、そういうことを打ち明けたら、「あなたはお金があるからできるんでしょ?」という反発もありました。ただ、こうして問題提起をすることにより、色々な夫婦が色々なことを考えるきっかけになりました。すごく意義がある話だと思います。


 そりゃあ、芸能人がブログでプライベートなことを書くことに全員が賛成しませんよ。ただ、例えば小林麻央さんのブログでは、麻央さんの生き様が残された。それはちょっとほかのメディアではないことです。心のひだまでが見えていくのはブログならでは、と思います。衝撃度が大きいことを書けば、否定的な意見も来る。そういうことが媒体の存在意義じゃないかなと思います。ツイッターでモメることはあります。ただし、あれはもうちょっと感情論みたいなものですね。ブログの意見の応酬は論争であり、意義があると思う。文字数があるから言葉足らずにならない。言葉足らずになっても、その後フォローして追加を書けばいい。


 もともと芸能人の情報発信について、芸能プロという管理する側からすれば望ましいことではないという考え方がありました。昔はプロダクションやマネージャーが、芸能人が書いたブログやSNSをチェックしてから更新していたように思います。ところが、最近それも減ってきている、というか、ほぼないのではないでしょうか。それはやはり、タレントが本音を明かす場という役割をブログが担っているから。インタビューでも「自分の言葉」だけを伝えられるケースはそうそうないですよね。インタビューの場合は、基本的にマネージャーが立ち会いますから。


 芸能人ってファンに向けて発信をしていることが多いと思うのですが、自分のファンだけを向いていては、いつまでたってももうファンは増えない。でも、アメブロのようなカテゴリーごとのランキングがあったりして「ママ」みたいなくくりにしてくれると、興味なかった人からしても、なんとなく「見てみようかな……」って話になります。


 辞書で知りたい単語を調べたら、その前後も知らず知らずに見ますよね。ブログの場合も回遊していれば、知らない人、今まで興味がなかった人のブログも見ることになります。


◆市川海老蔵、東尾理子、松居一代、泰葉のブログの役割


 新たなファンを獲得しないと未来の展望はないんですよ。市川海老蔵さんは、歌舞伎を好きな人に見てもらいたいために頑張るけど、歌舞伎なんか見たことがないという縁もゆかりもない人に見てもらう努力をしないいけない。だからこそ、ブログも頻繁に更新するし、シアターコクーンでABKAI(エビ会)を開催するなど色々チャレンジしている。それは、元々の歌舞伎のハードルが高いからなのです。チケットが1枚2万円とか言われるとなかなか行き辛いですよね。ABKAIもブログもそういったハードルを低くしてくれたし、歌舞伎に親しみやすくなりましたよね。


 東尾理子さんも同じですね。僕の場合、ゴルファーの時から知っていたのと、元プロ野球選手・東尾修さんの娘というイメージでした。スポーツに興味がない女性からすると「石田純一さんと結婚した人なんだ……」ぐらいの印象だったでしょう。でも、子育てについてブログで発信したことによって、イメージがまるで変わり、そういうところから、理子さんのテレビ露出が増えた。最初は石田さんの妻として出ていたのが、理子さんという表現者として出るようになった。ブログがそのステップになっていたんだと思います。


 ランキング上位になればより見られるようになるという意味でも、ブログの「カテゴリー」制度ってのはいいですね。総合ランキングでは上位でなくても、部門で上位に来れば励みにはなります。読み手にしても、総合ランキングでは読まない人も自分の興味がある部門に入っている人のブログは読めることになる。それも作戦勝ちというか、うまいやり方だと思いますね。読者に選択肢を多くするほうが、広がりはあるかとは思います。


 今年の夏、松居一代さんのブログが話題になりました。パっとみたら2位。1位が泰葉さんになっていたりする。僕は仕事柄ブログを見ています。ランキングを見ていると、あまりテレビで見ない人々やバラエティとかに出てこない人も上位にいるし、そういう方が発信する情報に興味があります。それぞれに、支援者がいるって感じでしょうか。松居一代さんのブログ読者に対する「家族」という呼びかけの言葉は、支援者はそれぞれにいるってことかなと思います。各カテゴリーの上位に色々な人がいるでしょ。ブログの更新頻度とか、中身のインパクトとかは大きいものですが、テレビでの露出度と関係あるかといえばそうでもない。そういった人がブログには存在していることの意味があると思います。

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