佐々木朗希の交渉権獲得 ロッテ広報が明かす“とにかく明るい”ドラフト会議の舞台裏

10月20日(日)11時35分 文春オンライン

 東京都内のホテルで10月17日に行われたドラフト会議。12球団の控室は同じフロアにズラリと並んでいる。今年は千葉ロッテマリーンズの両横が北海道日本ハムファイターズと東北楽天イーグルス。前が東京ヤクルトスワローズ。ライバル球団たちの指名順番をシミュレーションしながらドラフト前、最後の会議がここで始まる。まさに呉越同舟状態。


 もちろん、ドアを閉めての秘密会議。果たしてワールドクラスの大船渡高校・佐々木朗希投手に何球団の指名が重なるのか。おそらくすべての球団の控室で、スカウトたちが集めた情報を元に分析と対策が練られていたはずだ。球団の将来にも関わる重要案件だけに、基本的に重い空気が漂うところだが、マリーンズの部屋からは時折、笑い声が漏れる。それくらい明るい。とにかく明るかったのだ。



ドラフト会議直前の「最後の会議」を行なうマリーンズ控室の様子 ©梶原紀章


“とにかく明るい”マリーンズのドラフト会議


 ドラフト会議場への集合5分前には控室の中のホワイトボードに「佐々木朗希」と達筆な字で書かれた。書いたのは黒木純司スカウト。字が上手いことには定評があり、毎年、ホワイドボードに指名選手の名前を表記する役を任命される。もちろん、大船渡高校の佐々木の交渉権を獲得したいという強い想いを込めてだ。ちなみに同スカウトが字が上手いのは小学校の時に祖母から「字は綺麗に書きなさい」と口酸っぱく言われて学校のノートをチェックされていたから。しかし、まさか黒木スカウトの祖母も、このようなところで字が綺麗な事が生かされることになるとは夢にも思っていなかったはずだ。


 そして直前ミーティングの最後は永野吉成チーフスカウトが大きな声で締める。今年は「朗らかに希望に満ち溢れた選手を獲得しましょう」と宣言。もちろん佐々木選手の名前「朗希」をかけたもの。これには全員爆笑。松本尚樹球団本部長から「事前にネタを仕込んでいましたね」と突っ込まれると、もう一度、笑いの渦に包まれ、そして全員で右手を掲げ「エイエイオー」(これは昨年から導入。大阪桐蔭高校の藤原恭大外野手をクジ抽選の末に引き当てた際にも行っており、縁起を担ぎ2年連続2度目となった)。ラグビーの選手たちがグラウンドへと向かうように男たちが、いざドラフト会場へと歩みを進めた。



 思い返せば、明るさはマリーンズの伝統だろう。毎年、この控室での直前会議は盛り上がる。ボビー・バレンタイン監督の時はドラフト会議会場に向かう前、スカウト全員がそれぞれの財布から100円玉などの小銭を出し、監督の右手に気を込めて渡すという作業を行っていた。スカウトの気持ちの籠った小銭をスーツの上着ポケットに入れてバレンタイン監督は会場に向かうというまさに全員の気持ちを一つにした儀式だった。


 明るい理由としてもう一つ挙げるのであれば、控室の机に置かれているロッテのお菓子の山だろう。チョコにキャンディーにガム。ミーティング際中に食べて和気あいあいと進める。お菓子はピリピリとした雰囲気になりがちの会議を和ませてくれる。今年はドラフト2日前にZOZOマリンスタジアムで行われたスカウト会議でもロッテ本社の計らいでお菓子が机の上に登場し、場が和んだ。会議後に報道陣から「今年の会議でなにか面白い取り組みはありましたか?」と質問された井口資仁監督は「ロッテのチョコを食べ、ガムを噛みながら行いました。チョコを食べながら会議を行うと頭がリフレッシュする。いい発想が出てくると言われているので。いい感じでした」と回答。ロッテならではの会議の進め方をマスコミに嬉しそうに披露していた。



「実は昨日、クジを当てる夢を見たんだ」


 会議中はドラフトに出席をするメンバー以外は控室内のテレビで状況をチェック。それでもテレビでスポーツ観戦をしている時のように盛り上がる。もちろん佐々木選手の交渉権を獲得した時は全員が天井めがけてガッツポーズだった。これまたラグビーでトライを決めた時のように男たちが抱擁を繰り返し大盛り上がりとなった。



 次代のスーパーエース・佐々木朗希選手の指名権を獲得し、補強ポイントだった捕手もどうしても欲しかった選手を指名(東洋大・佐藤都志也選手)。年齢層にばらつきのあった外野手も三拍子そろい事前の会議で高く評価された選手を指名(国士舘大・高部瑛斗選手)し、地元・千葉の専修大松戸高校出身の期待のホープも指名(横山陸人選手)。さらには総合力の高く狙いすましていた内野手も指名(法大・福田光輝選手)できた。育成の2名(北翔大・本前郁也選手、慶大・植田将太選手)も将来、楽しみな存在でまさに100点満点。花丸ドラフトとなった。



 控室に戻ってきた井口監督は「実は昨日、クジを当てる夢を見たんだ。でも事前に言うと正夢ではなくなるかなと思って言わなかった」とニヤリ。秘蔵エピソード披露すると部屋は笑いに包まれ、さらに明るくなった。


 笑う門に福来る。将来性豊かな選手が近年、次々と千葉ロッテマリーンズに入団をしてくれている。常勝軍団を作りあげるためにダイヤの原石たちをしっかりと磨き上げ近い将来、心躍るスター軍団が誕生しそうな予感が漂う。今年も素晴らしいご縁と出会いに恵まれた。とにかく明るい千葉ロッテマリーンズにようこそ! これから一緒に日本一熱いファンに明るい話題をどんどん提供していきましょう。


梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)



(梶原 紀章)

文春オンライン

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