『大恋愛』の戸田恵梨香、この秋の恋愛ドラマの本命か

10月20日(土)16時0分 NEWSポストセブン

脚本は名手・大石静氏が担当(番組公式HPより)

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 このクールには恋愛ドラマの注目作が揃った。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。


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 ガッキーの『獣になれない私たち』(日本テレビ系)のキャッチコピーは“ラブかもしれないストーリー”。「かもしれない」というあたりがポイント。


「男と女の恋愛ってリアルには簡単に始まらないだろうとか、年を重ねると恋におちること自体がどんどん難しくなってくるとか、そもそも恋愛って何だっけ?とか、いろんなことを考えられるストーリーになっています」(「オリコンニュース」2018.10.9)とプロデューサーも語るように、直球の恋愛ドラマとは言えないのかもしれません。


 ということで、『けもなれ』以外の秋スタートドラマで、「恋愛ど真ん中の3作」に注目。その期待度や見所をピックアップしてみると──。


●『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系金曜午後10時)


 戸田恵梨香さんの目がうるんでいてみずみずしい。まさしく恋する瞳そのもの。感情が揺さぶられ涙腺が活発になっているからキラキラ輝いて見える。『大恋愛〜僕を忘れる君と』は、その名の通り直球の純愛物語を予感させます。


 婦人科医・北澤尚(戸田恵梨香)は、同じく医師の井原侑市(松岡昌宏)と婚約している。結婚を間近に控えた尚は、引っ越しの際にアルバイト作業員・間宮真司(ムロツヨシ)と出会う。実は、真司は尚が大好きな小説の作者だった。それがじわりじわりと明らかになっていき、真司にグイグイと惹かれていく尚。


 何と言ってもこのドラマ、キャスティングが絶妙です。恋愛に没入していく尚の姿が実にイキイキとリアルに描かれ、説得力を持って迫ってきます。ストレートに感情を揺さぶれる女。会いに行きたい、と男の元へ走る女。きっぱりと婚約者に別れを告げる女を、戸田さんが体当たりで好演しています。


 一方の真司を演じるムロツヨシさんも当たり役。積極的な尚に対して、ちょっと慌てつつ柔らかく受け入れていく三枚目の役。その温かな空気がいい。とんがり系女医とクマのぬいぐるみ的ふんわり系男子。今様の恋愛物語として上手く成立しています。


 個人的には、これまでムロツヨシさんのおふざけ演技が、正直ちょっと苦手でした。しかし今作はいい意味で抑制が効いている。オレでいいの、と当惑しながら惹かれていく真司の心理が、ひしひしと伝わってくる。まっすぐの演技に軸足を置きつつ時々弾けてふざけてみせる、といった配分が、俳優ムロさんを一層輝やかせているのではないかな、と感じます。


 ただ、この恋愛物語は「若年性アルツハイマー」が切り札。だから、先の展開がちょっと心配でもある。類似の物語はわんさかあるし、これまで泣かされる経験をしてきた視聴者も多いはずです。『私の頭の中の消しゴム』などが強く印象に刻まれているために、ドラマと過去作品とをいちいち比較しながら見てしまいそう。今回の脚本は大石静さんの書き下ろし。「記憶がなくなっていく悲恋」という手垢がついたテーマを、いかにオリジナリティ・新味を加えて料理してみせるか。興味津々です。



●『黄昏流星群』(フジテレビ系木曜午後10時)


 もし役者の世界に「カマトト」という芸風があるとすれば……それを極める目黒栞役・黒木瞳さんはアッパレ。積み重ねて練り挙げていくことで、一つの立派な「型」になっていることを実感。ただし、ドラマ全体の作りがどうにも安っぽいのが残念です。


 物語は──エリート銀行員・瀧沢完治(佐々木蔵之介)と、たまたま運命的に出会ってしまった目黒栞の不倫物語。二人の出会いの舞台は、何とスイスのマッターホルン。なのに山のシーンに臨場感がゼロ、昔風の合成画面のレトロ感には驚かされました。


 猛風で飛ばされるとわかっていながら、マッターホルンの上で折りたたみ傘を開く完治。ああっと飛ばされていく紅い傘は、栞の持ち物。完治は新たな傘を栞に渡そうと……二人をつないでいく傘。この安っぽさ、ただならぬレベルです。


 一方、銀行員の夫に裏切られる妻・真璃子を演じる中山美穂さんの存在も見所の一つ。夫の浮気を疑う「口うるさい堅物奥さん」のはずですが、ついつい元アイドルの劣化ぶりに気をとられてしまう。原作にはない刺激的?展開もわざわざ加えられ、真璃子は娘の婚約者の若い男(ジャニーズWEST/藤井流星)と禁断の恋に落ちるとか。その男に、切った指の手当をしてもらうシーンなぞ、もはやコントに見えてしまう。


 視聴者が思わずドラマ世界に没入し、連れ去られてしまうのであれば不倫ドラマの基本は成功です。『昼顔』『はつ恋』のように大ヒットするはず。しかし、いちいち夢から冷めるような要素があれば共感は取り逃がしてしまう。このドラマ、ツッコミを入れたり失笑する楽しみ方にはフィットするのかもしれません。


●『中学聖日記』(TBS系火曜午後10時)


 教師と中学生のラブストーリーという禁断の世界。教師役の聖を有村架純さん、聖を好きなってしまう教え子・晶を岡田健史さんが演じています。


 教職員の不祥事が多発している昨今、「教師が中学生と恋愛なんてコンプライス的にどうなのか」「犯罪的で気持ち悪い」と、第1話の放送後、多くのブーイングが見受けられたという意味でも今注目の恋愛ドラマです。


 男性教師と女子中学生の恋愛はタブーなのにいったいなぜ、女性教師と男子中学生の恋愛ならOKと、企画が成立したの? そんな素朴な疑問が膨らんでくる。ドラマの中味より、むしろドラマ化されることになった過程の方が興味深い、知りたいという人が多数いるのも皮肉なことですが。


 想像してみるに、会社の最終決定の場には結局、男性陣が多く「有村架純がカワイイからいいんじゃない」「女性教師と生徒の純愛なら許容範囲」と勝手な思い込みや先入観で決定したのかもしれません。そうした制作陣に、逆の反応を示した視聴者。


 まあ、親であればみれば反発したくなるのも当然かも。なぜなら、生徒が怪我したからといって、女性教師が自宅の中に生徒を連れて行きますか?まるで教師から誘っているみたいにとられかねないシーンも。


 ただし、第2話が放送されると「岡田くんが格好いい」「人を好きになる尊さが伝わってきた」と前向きな評価も増えたもようです。「岡田くんが中学生には見えない」ということを、「欠点」と指摘する人もいれば「逆にそれが良い」といった声も聞かれ、しばし今後の展開を見守りましょう。


 基本として、視聴者は恋愛物語の中に自分を投影し、感情移入して見たい。自分を重ねキュンと切なくなったり熱くなったり、共感したいもの。そうした「共感軸」を上手に作り上げることができるかどうかが、恋愛ドラマの人気を決めるのでしょう。

NEWSポストセブン

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