角田陽一郎×菊池亜希子(女優・モデル)「『かそけきサンカヨウ』は若い俳優さんたちそれぞれの水分でたぷたぷに満たされた、とにかくみずみずしい作品なんです」

10月20日(水)6時0分 週プレNEWS

『さんまのスーパーからくりTV』『中居正広の金曜日のスマたちへ』など、数多くの人気番組を手がけてきたバラエティプロデューサー角田陽一郎氏が聞き手となり、著名人の映画体験をひもとく『週刊プレイボーイ』の連載『角田陽一郎のMoving Movies〜その映画が人生を動かす〜』。

公開中の映画『かそけきサンカヨウ』に出演するモデルで女優の菊池亜希子さんが、今でも忘れられない映画作品などを語り尽くします!

【画像】菊池亜希子の人生を動かした映画

■思春期にひた隠しにした"圧倒的な女のコ"への憧れ

——子供の頃に見た映画で印象に残っている作品は?

菊池 最初に見たのは『E.T.』(1982年)だと思います。衝撃でしたね。宇宙人という存在を初めて知りました。ちょうど私が生まれた年の映画なんですが、親が映画をVHSに録画しまくっていて、名作はだいたい家にあったんです。私、子供の頃から背が高かったので、「E.T.」って言われてた時期もあって。

——スラッとされてますから。

菊池 コンプレックスを刺激されて、むしろ嫌いだった時期もあるんです。

——「『E.T.』って呼ぶな!」みたいな(笑)。

菊池 そうそう(笑)。でも、なぜか定期的に見返したくなる作品で。ほかには『チャイルド・プレイ』(1989年)も子供の頃に公開されて、怖いもの見たさで見ましたね。ホラー要素と「ウソでしょ!」と思うほどめちゃくちゃな設定が子供心に好きでした。

——エイリアンとかホラーがお好みだったんですね。

菊池 あと『ジュマンジ』(1996年)もすごく好きで。見ている私も、映画の中でドンドコしている感覚でした。

——アトラクション的な感じで見ていたんですね。

菊池 映画の中に入っていく体験は『ジュマンジ』が初めてで、「映画ってすごいな」と思った記憶があります。80年代に幼少期を過ごしているので、そういう映画を見ることが多かったんですよね。あとは『マイ・ガール』(1992年)も好きでした。

——急に乙女っぽい感じになりましたね。

菊池 この映画は本当に大好きですね。主演の女のコとは同世代なんです。1972年の設定ですが、公開されたのは1992年で私が10歳の頃。映画をいろいろ見るようになって、ちゃんと「好きだ」と自覚した初めての作品でした。

女のコの服装がちょっとボーイッシュなんですけど、影響を受けてマネしてました。あと、女のコのほうが男のコよりもちょっと背が高くて。自分を重ね合わせてました。

——人生を変えるような作品に出会うと、監督は「作ってみたい」、俳優は「演じてみたい」と感じることが多いようですが、菊池さんは?

菊池 私は憧れの対象でしたね。キャラクターとしても好きだし、その世界に対する憧れもありました。その後、中学生の頃に岩井俊二監督作品に出会うんですけど。

——着実に大人になってますね。最初に見たのはどの作品でしたか?

菊池 『PiCNiC』(1996年)でした。当時13歳くらいかな? 「こんな現実離れした世界観の作品があるんだ......」って衝撃的で。

CHARAさんと浅野忠信さんは私たちの世代のスーパースターだったので、ふたりが出てるおしゃれ映画として話題にはなっていたんですけど、実際に見てみたら中学生の手には負えないものでした。でも、思春期に見た影響はすごく大きいです。

——では、最近見た作品は?

菊池 昔見て、最近また見返した作品があるんですけど......(バッグからBlu−rayを取り出す)。

——『東京上空いらっしゃいませ』(1990年)だ! 私物のBlurayをご持参いただいたのはこの連載初です。ありがとうございます。それにしても、この映画は本当に名作ですよね!

菊池 名作ですよね! これを知ってる人とは絶対に仲良くなれそうだと個人的に思っていて(笑)。私、牧瀬里穂さんが好きなんです。さっきも『マイ・ガール』が好きと話しましたけど、「かわいい世界が好き」という気持ちが根底にあるんだと思います。

昔から背が高くてショートカットだったので、「自分はかわいいというベクトルに乗れない」って気持ちがあって。だからこそ、映画の中で、かわいい女のコに思いっきり浸っていたというか。

——アイドルがお好きなのはそういうところからきているんですね。

菊池 「(自分の中に)おじさんが住んでるのかな?」って思うこともありますよ(笑)。

——でも、自分を投影してる分、おじさんよりは距離が近いというか。

菊池 そうですね。思春期はその気持ちをひた隠しにして、マニッシュだ、ストリートだってカッコつけてたんですけど、本当はこういう圧倒的な女のコへの憧れがありました。

この映画はかわいいだけじゃなくて、ロマンチックでもあるんです。井上陽水さんの『帰れない二人』を牧瀬里穂さんが歌うシーンがあるんですけど、本当にすごくいいシーンで、映画的な幸福体験のすべてが凝縮されている気がします。

■演じたキャラクターの セリフに背中を押された

——ご出演されている『かそけきサンカヨウ』はゆったりした優しい映画でした。父親とふたり暮らしをしている女子高生が主人公で、菊池さんはその父親の再婚相手・美子(よしこ)を演じています。どんな思いで撮影に臨みましたか?

菊池 手法的なことは極力意識しないようにしました。雑誌を作る仕事をしているときに、そういうテクニック的なことを考えながらやるクセがついちゃったんです。

でも、映画に呼んでいただくときは「そういうものがないほうがいい」と感覚的に思っていて。なので、どう撮るかということをあんまり把握しないで現場にいるようにしています。

——ある意味、雑念ですもんね。今回、美子という役柄を演じてみてどうでした?

菊池 自分とかぶるものがありましたね。お芝居や女優業に対して憧れがある分、「上手にできない」という気持ちもずっと持っているんですけど、美子が「できないことだらけだよ」って笑いながら言うシーンがあって、そのセリフに私自身も背中を押され、最後までやれた感覚がありました。

——菊池さん本人なんじゃないかって思ってましたもん。

菊池 この作品はとにかくみずみずしいんです。若い俳優さんたちがそれぞれに持っている水分でたぷたぷに満たされて、花が健やかに咲こうとしている......。そういう滴感があります。

——最後に、どういう人に見てほしいですか?

菊池 ふと気づくと口角が下がってしまっていたり、漠然と満たされてないと思ったり、自己肯定感が持てなかったりする人に見てほしいですね。潤いをもらえますし、自分の中で納得できる何かが見つけられるんじゃないかなと思います。

●菊池亜希子(きくち・あきこ)
1982年生まれ、岐阜県出身。女優、モデル、『菊池亜希子ムック マッシュ』(小学館)編集長。現在、TBSラジオ『Be Style』でパーソナリティを務める。主な出演作に映画『ぐるりのこと。』『森崎書店の日々』『グッド・ストライプス』『海のふた』など。著書に『好きよ、喫茶店』(マガジンハウス)、『おなかのおと』(文藝春秋)など

■『かそけきサンカヨウ』全国順次公開中
配給:イオンエンターテイメント ©2020 映画「かそけきサンカヨウ」製作委員会
配給:イオンエンターテイメント ©2020 映画「かそけきサンカヨウ」製作委員会

構成/テクモトテク 撮影/苅部太郎 ヘア&メイク/草場妙子


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