戸田&ムロ、石原&峯田、なぜ「美女と野獣」ドラマが続く?

10月21日(日)7時0分 NEWSポストセブン

戸田&ムロの共演が話題に(『大恋愛~僕を忘れる君と』HPより)

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 ドラマ『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系)が戸田恵梨香ムロツヨシによる恋愛ものとして話題を集めているが、最近、美男美女の組み合わせではなく、このドラマのように「美女と野獣」カップルによる恋愛ドラマが続いている。いったいなぜか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんがその背景について解説する。


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 先月まで、美人華道家と冴えない自転車店主の恋を描いた『高嶺の花』(日本テレビ系)が放送されていました。同作で話題になったのは、美人華道家・月島ももを演じた石原さとみさんと、冴えない自転車店主・風間直人を演じた峯田和伸さんのビジュアル格差。「まさに美女と野獣」「この組み合わせはアリなの?」「イケメンで見たかった」などのさまざまな声が飛び交っていました。


 10月に入って新たなドラマが次々にはじまる中、「美女と野獣、再び」という声が挙がっているのが、『大恋愛〜僕を忘れる君と』。同作は戸田恵梨香さんが演じる美人女医・北澤尚と、ムロツヨシさんが演じる引越しアルバイト・間宮真司のラブストーリーです。


 ちなみに『高嶺の花』のももは29歳で直人は39歳、『大恋愛』の尚は34歳で真司は41歳の設定。見た目だけでなく年齢にも差をつけることで、「美女と野獣」のムードを高めようとしている様子がうかがえます。


 2010年代に入って恋愛ドラマそのものが少なくなる中、主要ドラマで「美女と野獣」の設定はほぼありませんでした。ここにきて「美男と美女」を避け、「美女と野獣」の設定が続いた理由は何なのでしょうか。


◆大御所脚本家が仕掛ける枷


 理由として真っ先に挙げたいのは、脚本家の思惑。『高嶺の花』は野島伸司さん、『大恋愛』は大石静さん、経験・実績とも申し分のない大御所脚本家の作品です。


 2人はこれまで多くの恋愛ドラマを手掛けてきましたが、そのほとんどで男女の間に何らかの「枷」を設定してきました。枷の最たるものは格差であり、なかでも「美女と野獣」のような見た目は純愛ムードを高めるものです。


 言い換えれば、作り手が純愛を描きたいとき、「美男と美女」よりも「美女と野獣」のほうが視聴者への訴求度が高くなるということ。たとえば、「美男と美女」のキスシーンは美しいものの自然な姿という印象に留まりますが、「美女と野獣」のそれは違和感とともに純愛を感じさせます。実際、『高嶺の花』のももと直人のキスシーンは、大きな反響を集め、純愛のムードを高めました。


 さらに、交際期間を経て別れたときの悲劇性は「美男」より「野獣」のほうが高く、応援の声が上がるなど、さらに純愛ムードが盛り上がっていきます。『高嶺の花』だけでなく、古くは『101回目のプロポーズ』(フジテレビ系)などでも、同様の展開が見られました。


 もともと「美女と野獣」という設定は何度も描かれてきたものであり、その他の「格差」、不倫などの「禁断」、命の危険がある「難病」と並び、恋愛ドラマにおける定番の枷。特に大御所脚本家ほど、定番の枷に忠実な傾向が見られます。


 今秋スタートの『中学聖日記』(TBS系)は教師と生徒の恋、『黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜』(フジテレビ系)は既婚者の不倫。ともに「禁断の恋」であり、「格差恋愛」や「難病の恋」とともにパターン化していることが、ドラマ業界の課題とも言えます。


◆新垣結衣の『逃げ恥』『けもなれ』も同カテゴリー


 ただ、「美女と野獣」の恋愛ドラマは、「キュンキュンしない」「生理的に無理」などの否定的な声を避けられないのが現実。そんな否定的な声を感動や共感に変えるのは、見た目の差を利用した純愛であり、それこそが大御所脚本家にとって腕の見せどころです。


 その点、『大恋愛』の大石静さんは、初回から「さすが」と思わせるものがありました。「婚約者のいる『美女』の尚が、『野獣』の真司と出会ってすぐ好きになり、猛アタックする」という意外な展開だったのです。これは「つらい過去を持つ『美女』が、『野獣』の優しさにふれることで徐々に距離が近づき、恋に落ちる」というお約束の展開とは真逆であり、今後に期待を抱かせました。


 少し広くとらえると、現在放送中の『獣になれない私たち』(日本テレビ系)に出演する新垣結衣さんと松田龍平さんのコンビも、「美男と美女」というより「美女と野獣」のカテゴリーに近いと言っていいでしょう。同様に、新垣結衣さん主演の『逃げるは恥だが役に立つ』も、相手役の星野源さんに「野獣」のイメージこそありませんが、いわゆる「美男」ではないことが純愛ムードを高めていました。


 ドラマ以上に好感度が重要なCMでも、「美男と美女」より「美女と野獣」の夫婦設定が定番化していることもあり、今後もこの傾向は年に数本程度のペースで続いていくのではないでしょうか。



【木村隆志】

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

NEWSポストセブン

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