懐かしの音楽特番も限界?“お宝映像”に視聴者の慣れも

10月22日(火)7時0分 NEWSポストセブン

テレビ東京の音楽特番として半年ごとに放送されている『3秒聴けば誰でもわかるあなたの名曲ベスト100』(同HPより)

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“お宝映像”番組も限界を迎えつつあるのか──。各局の音楽特番の視聴率に異変が起こっている。


 10月6日、『3秒聴けば誰でもわかるあなたの名曲ベスト100』(テレビ東京系)が放送され、三波春夫の『東京五輪音頭』や松田聖子『青い珊瑚礁』などの『名曲ベスト100』が懐かしのVTRとともに紹介された。また、ゲストが選んだ秘蔵映像として『特殊な演出をしている歌番組』などのコーナーも設けられた。他にも、ダイアモンド☆ユカイプリンセスプリンセスの『Diamonds』を、May J.が久保田早紀の『異邦人』をスタジオで歌うなど名曲のカバーコーナーも随時挿入された。


『3秒聴けば誰でもわかる〜』は期首期末特番として2017年4月から半年ごとに放送され、2018年4月1日には番組最高の視聴率8.8%(ビデオリサーチ調べ/関東地区。以下同)を記録。しかし、5度目の2019年4月7日は5.9%、6度目の10月6日は6.4%と、直近2回の視聴率はそれほど芳しいものとはいえない。


 どうして視聴率が低下しているのだろうか。芸能研究家で、著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)で『ザ・ベストテン』(TBS系)など音楽番組の詳細な分析をしている岡野誠氏は、次のように見ている。


「数年前まで、テレ東は過去VTRを扱う音楽特番をほとんど放送していなかったため、『3秒聴けば誰でもわかる〜』はまさに“お宝映像”のオンパレードでした。しかし、近年は『テレ東音楽祭』などでも懐かしVTRを流しており、『3秒聴けば誰でもわかる〜』も回数を重ねてきたので、視聴者がテレ東の“お宝映像”に慣れてきたのかもしれません」(以下、「」内、岡野氏)


 10月6日放送の『3秒聴けば誰でもわかる〜』の全142映像を曲の発売年(※ちあきなおみの『矢切の渡し』、尾崎豊の『I LOVE YOU』はシングルリリース年でカウント)で分けると、ある年代に偏っていたという。


「昭和50年代が66曲に上り、全体の46.5%を占めました。ちなみに、その前後5年間である昭和45〜49年は17曲、昭和60〜平成元年は22曲。これらの20年間で、73.9%になります。一方で、平成2〜31年は17曲で12%のみ。平成10年以降は8曲、平成17年以降は0曲でした。つまり、昭和50年代前後に学生時代を過ごした現在の40代、50代を主なターゲットにした番組作りだったことがわかります」


 最近は“若者のテレビ離れ”が叫ばれているが、この番組も10代や20代には馴染みの薄い曲が並んだことになる。


「若者がテレビを見ないから40代以上をターゲットにするのか。テレビが40代以上をターゲットにするから若者がテレビを見ないのか。どちらが先かはわかりませんが、“お宝映像”系の番組は新しい層を開拓しにくい。これも視聴率が伸び悩んでいる一因でしょう」


 テレビ東京に限らず、他局でも、“お宝映像”で構成する音楽特番が数か月に1度放送されている。


 一昨年から始まったTBSの『歌のゴールデンヒット』は放送5回目の今年2月11日には過去最高の12.5%となったが、6回目の10月7日は過去2番目に低い9.4%だった。フジテレビは『名曲お宝音楽祭』を昨年9月26日、今年4月6日と2度放送したが、この10月の改編期にはオンエアされていない。視聴率は1回目8.9%、2回目7.8%と微減していた。


「4月7日のテレ東『3秒聴けば誰でもわかる〜』が5.9%だったのは、前日にフジで『名曲お宝音楽祭』が放送された影響も大きいはず。10月7日のTBS『歌のゴールデンヒット』も、前日のテレ東『3秒聴けば誰でもわかる〜』に少なからず影響を受けているのでは。個人的には、どれも続いてほしい番組です」


 各局で似たような映像が続くと、視聴者も見飽きるといった側面もあるかもしれない。『3秒聴けば誰でもわかる〜』は、来年4月の改編期も放送されるだろうか。


「テレ東の“お宝映像”は素材の選択、見せ方、並べ方で、一歩リードしていると思います。他局の場合、当時のテロップやナレーションを消して、上から被せることが多い。しかし、テレ東は素材をそのまま生かしている。そのため、視聴者は字体やロゴ、紹介の仕方に懐かしさを感じられる。


 また、今回の『3秒聴けば誰でもわかる〜』では、『歌手が本業ではない人のマジ歌』という特集で斎藤清六が横で見守る中、萩本欽一がおどけながら『抱きしめてTONIGHT』(田原俊彦)を歌ったり、ジャガー横田が恥じらいながら『少女A』(中森明菜)を歌唱したりする映像が流れるなど、スタッフが苦労してVTRを見つけてきた跡が窺えました。次回は名曲カバーコーナーで、斎藤清六が近藤真彦の『ギンギラギンにさりげなく』を熱唱する姿を見てみたいですね(※清六は1982年発売のLP『なんなんなんだ!?』で同曲を歌っている)」


 お宝映像だけでは、どうしても限界がある。テレビ局は次なる音楽特番の鉱脈を見つけられるか。

NEWSポストセブン

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