「オデュッセイア」を下敷きに超未来を描いたSF作品

10月23日(水)11時0分 文春オンライン

 劇団「イキウメ」を主宰する劇作家・演出家の前川知大さんが、最新作『終わりのない』を世田谷パブリックシアターで上演する(10月29日〜11月17日)。



前川知大さん 撮影:鬼澤礼門


「世田谷パブリックシアターと組むのは4度目です。過去3作の『奇ッ怪』シリーズでは“語り物”の手法を取り入れて、小泉八雲の怪奇文学、能や狂言、柳田国男の『遠野物語』をモチーフにしましたが、今回は海外の古典作品に取り組んでみたいと思って。西洋の古典文学の語り物には『デカメロン』や『カンタベリー物語』がありますが、さらに源流にさかのぼって『オデュッセイア』にたどり着きました」


『オデュッセイア』は『イリアス』と並ぶ、古代ギリシアの長編英雄叙事詩。トロイア戦争が終わり、ギリシア軍の知将オデュッセウスは帰国の途につくが、海神ポセイドンの怒りを買い、数々の苦難に見舞われ、十余年の時をかけて故郷の島に帰りつく冒険譚だ。『終わりのない』は『オデュッセイア』を下敷きに、超未来を描くSF作品になるという。


「『イリアス』と『オデュッセイア』はどちらもホメロスの作とされていますが、あまりの作風の違いや成立時期の隔たりから“ホメロス問題”という論争が起きました。問題は、この2作は連続した物語でありながら、語り口に奇妙な断絶があること。アメリカの心理学者ジュリアン・ジェインズは『言語の発達とともに人間の意識が生まれてきた』と説き、2作の間に“意識の発生”があったと考えました。『終わりのない』では、『オデュッセイア』のストーリーそのものより、『イリアス』との間にある断絶が重要なキーになります。悩める思春期の青年の旅と人類の旅を重ねながら、意識を獲得した僕らが失ってしまったものに対する望郷の念を描けたら、と思っています」



まえかわともひろ/2003年結成の劇団「イキウメ」を拠点に、脚本と演出を手掛ける。代表作に「獣の柱」「散歩する侵略者」など。




INFORMATION


演劇『終わりのない』

チケットのお問い合わせはTEL:03-5432-1515まで。

兵庫、新潟、宮崎でのツアー公演もある

https://setagaya-pt.jp/performances/owarinonai20191011.html




(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年10月24日号)

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