『なんとめでたいご臨終』 小学6年生のコンクール入選感想文

10月25日(水)16時0分 NEWSポストセブン

書籍『なんとめでたいご臨終』の著者、小笠原文雄さん

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 発売から4か月でたちまち6刷となったベストセラー『なんとめでたいご臨終』(小笠原文雄著)は、最期まで家で暮らしたいという多くの高齢者の夢が、誰でも叶う社会になりつつあることを、在宅医療の名医が豊富な実例とともに紹介したものだ。


 同書を読んだ愛知県に住む小学6年生の竹下詠乃さんの書いた感想文が、第63回豊橋市小中学校読書感想文コンクールで入選した。まだ幼い彼女が読んだのはなぜか。原稿用紙3枚にわたる作文には、しっかりとした将来の夢と希望、一緒に住む祖母の老いを見つめる優しい視線がありました。ご家族、関係者のみなさんの承諾が得られたので、全文をここに掲載します。


 * * *

「ぴんぴんころり」「死んじゃうのに笑顔でピース」「めでたいご臨終」…。


 なにそれ?どういう意味?次々に出てくる、訳がわからない言葉に、私の頭の中はハテナだらけだった。


 私には、夢がある。心臓外科か救命のドクターになって、人の命を助け、病気で苦しむ人を笑顔にしたい。


 この事を知る母からすすめられたのが、この本だ。医学博士・小笠原文雄先生が出会った患者さんとその家族のことが、たくさん書かれていた。


 文雄先生は、終末在宅医療の専門家。それまで私が知っていたドクターは、テレビドラマに出てくるような、命を助け、病気やケガを治す役割。


 でも、在宅医療の世界は、このイメージとは全く違った。末期ガンの人、機械をつけて生活しないと辛い人。小さな子供を育てながらの人。様々な人が、終わりを感じながら自分の命と向き合っている。文雄先生は、最後にどうしたいか、という「本音」を聞いて、寄りそい、旅立つまでを支える。旅立つ人も苦しまず、心残りもなく、「ありがとう」と旅立つ。その家族も全員くいなく笑顔で見送る。すごいことだと思った。


 人は誰もが、精一杯生きたいと願い、安らかに死にたいと願う。それが叶うのだ。やっと、疑問だった言葉の意味が分かった。


 私には、70歳を過ぎる祖母がいる。これまでは、大好きな祖母が死ぬ事はとても怖く、想像もしたくない事だった。でも、本人はどうしたいのか、知っておいた方がいいのかなと、同じく本を読み終えた祖母に聞いてみた。



「前までは、延命治療はイヤ、程度だったけど、こんな生き方や最後の迎え方があるなら、家がいいなって変わったよ。大好きなお酒もやめずに過ごしたいわ〜!(笑)」


 なるほど。いつもスーパー元気で、家事も完璧にこなす祖母を見ていると、そっちの方が似合うと思った。なぜだろう?怖くて心配だった気持ちのレベルは、5から1くらいに減って、人生最後の願いを叶えてあげたいとまで思えた。そうか、祖母の気持ちを知った事で、自分の気持ちより相手の本当の望みを叶えたいという気持ちが強くなったからだ!


 本に登場する人たちも同じなのだと思う。


 しかし、在宅医療はただ望むだけでは実現しない。家族やドクターはもちろん、訪問看護師、ヘルパー、地域の人、など多くの人がチームとなって支えることが必要だということもわかった。今後は、医療がどんどん進んで、病院だけに頼る人も多くなるだろう。でもその一方で、「生き方を尊重した死に方」という考えも重要になるのではないか。


 私は、文雄先生のような考えに進んで協力できるようなドクターになりたい。助かる命は全力で助け、もしもの時は患者さんや家族の本当の希望に寄りそい、生きる事も死ぬ事もどちらも精一杯支えたい。


 * * *


 この感想文を読んだ著者の小笠原文雄さんはこう話す。


「まだ小学6年生だというのに、患者さんの病気を治す従来の医師像、医療のあり方ともう一つ、痛み、苦しみを取って穏やかに最期を過ごしたいと望む患者さんに寄り添う医療があることに気付いてくれたことに感激して、涙が出ました。詠乃ちゃんがおばあちゃんに聞いたことは、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)といって、患者さん本人や家族と医療従事者が前もって希望や治療方針を相談し、決めておくことと同じ。とても大切な作業です。彼女には救命救急・高度医療のことも勉強してもらい、その上で在宅医療をやってくれると一番いいかなと思っています。彼女のような医師が増えると、日本の医療は明るいですよ」


※女性セブン2017年11月2日号

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