北島三郎 88歳32日での新曲 レコード会社契約歌手では最高齢 音楽経験ない社長が作詞の異例尽くし

2024年10月25日(金)5時30分 スポーツニッポン

 今月4日に米寿を迎えた北島三郎(88)が来月5日に新曲「東京の空」(詞・片岡恵介、曲・弦哲也)を発売する。創立メンバーの北島とともに六十余年の歴史を刻む所属レコード会社の日本クラウン。同社の片岡恵介社長(59)が自ら作詞した異例の新曲は、北島の足跡と人生を称えた内容。88歳と32日で発売される同曲はレコード会社契約歌手の新曲としては最高齢のものとなる。

 2年前に北島の「歌手生活60周年」と日本クラウンの創立60周年が重なり「レコード会社なのだから、モノでなく歌を北島さんにプレゼントしたい」と制作されたのが「東京の空」だった。

 「過去・現在・未来をテーマにした歌を歌いたい」と言われた北島の言葉が頭に残っていた片岡社長は「歌手を目指して北海道を出た大野穣(本名)青年の思い、船村徹さんとの出会い、流しを経て歌手デビューという勝負に出た思いを東京の空に込めた。象徴的な四字熟語で当時の気概を表現した」と半生を詩にまとめた。会社の数人と相談して修正し「日本クラウン有志」の作詞とした。

 作曲は、歌手時代に北島公演の前座を務め、作曲家への後押しをされたと多大な恩義を感じている弦哲也氏に依頼した。同年10月に中野サンプラザで開催された「令和・歌の祭典2022」のステージで同曲はサプライズ的に出場歌手らによって披露された。

 それで終わるはずだったが、公演の中継放送を見たファンから問い合わせが相次いだ。楽曲を管理していた北島が今年になって自らが歌うことを決意。9月末に収録が行われた。「自分のことだから歌いづらいなあ」と照れていた北島だが、スタジオでは歌詞の一部を自ら手直し。「もう一回歌いたい」と納得するまで歌い込み、収録は深夜1時まで及んだ。「まさに歌に魂を吹き込む姿を見せられた。歌に対する真摯(しんし)さに感銘を受けました」と片岡社長。新曲発売に伴い、楽曲を登録する際、社長個人名が作詞者としてクレジットされた。ちなみに同社長は営業職が長く、学生時代も含め音楽活動の経験はなく、詩を書いたのは今回が初めてだという。

 発売日の5日には北島の地元・八王子で「令和・歌の祭典2024」が開催される。北島も出演するほか、同郷の細川たかしや藤あや子純烈三山ひろしら後輩歌手も多数参加し、米寿を迎えた北島を祝福する予定だ。 (元尾 哲也)

《ギネスは95歳と60日》 3年前に北島は二葉百合子(当時90歳)と「栄枯盛衰」というデュエット曲を出したが、13年前に二葉は歌手を引退しているので、これは例外。菅原洋一(91)が3年前の8月18日、88歳の誕生日(8月21日)の3日前に「歌よ…あなたが居たから」を米寿記念最高齢シングルとして発売した。北島は10月4日に88歳になっており、最高齢を更新することになる。世界では、昨年96歳で亡くなったトニー・ベネットさんがやはり3年前にレディー・ガガとのデュエットアルバム「ラブ・フォー・セール」を95歳と60日で発売したことがギネス世界記録に認定されている。

《“普通の経営者”では前代未聞》 海外ではモータウンの創設者ベリー・ゴーディJr.がバレット・ストロングの「MONEY」を作曲してヒットさせた例がある。国内では人気作詞・作曲家の遠藤実氏がミノルフォンというレコード会社の社長になった例や、小室等、吉田拓郎(フォーライフ)、飯田久彦氏(テイチク)、五木ひろし(ファイブズエンターテインメント)らアーティストがレコード会社の社長になったケースもある。またエイベックスの松浦勝人氏のように音楽プロデューサーが社長に就任した例は多い。しかし「普通に経営者としてレコード会社の社長になった人が作詞、作曲して新曲を出した例は、この業界に50年いるけど聞いたことはない」と、自らもレコード会社社長を務めた音楽業界のベテラン・稲垣博司氏も驚いている。

スポーツニッポン

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