青春タイムスリップ・コメディー映画「リンキング・ラブ」

10月28日(土)10時0分 まいじつ


映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『リンキング・ラブ』


配給/BS-TBS 10月28日より丸の内TOEIほかにて全国公開

監督/金子修介

出演/田野優花(AKB48)、石橋杏奈、渡辺徹、浅田美代子、西村まさ彦ほか


青春コメディー・タッチのタイムスリップものと言えば、洋画では『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ(1985〜1990年)が有名だが、こちらの邦画は現代と1991年“バブル崩壊直後”を往還しての青春コメディー。設定はだいぶ違うが、若き日の両親の恋愛を成就させたい(そうしないと自分が生まれてこないから)、というあたりは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と似ている。


ところで、“1990年代バブルに戻る”というと広末涼子、阿部寛主演の『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』(2007年)なんてのもあったなあ。やっぱり日本人は、いくら否定的に捉えても、あのバブル期に戻るのが好きなのか? まあ“バブル崩壊直後”と言ってもまだまだ世の中バブリーだったのは、ボクの記憶の中にもある。まだまだこんな時代は続くと信じていたフシがある。この映画でも、1980年代バブル期の軽さと甘さを引きずっていることが描写されている。若いおネーちゃんとバブル期の話をすると皆、一様に「信じられな〜い」と言ってくる。まあ、異常で軽薄な時代だったのは確かだが、人間は甘美な時代を忘れられない生き物なのだよ、と自戒を込めて言っておきましょう。



「アイドル冬の時代」にAKBの楽曲で…


あの当時は“アイドル冬の時代”と呼ばれていた。そこで『AKB48』の楽曲を持ち込み、娘と母が時空を超えてアイドル・グループを結成するという奇想天外な展開が見もの。『ガメラ』、『デス・ノート』シリーズなどのヒット監督・金子修介は、上戸彩の『あずみ2 Death or Love』(2005年)、武田梨奈、清野菜名の『少女は異世界で戦った』(2014年)など、アイドル映画得意の“美少女オタク”でもあるので、今回はまさに本領発揮でもある。これは金子修介の“アイドル文化論”でもある、という触れ込みはまさに言い得て妙だ。ついでに言えば金子監督による“バブル論”かもしれない。ボクとほとんど同世代の1955年生まれだからか、分かるね。


1990年代初頭のサブ・カルチャー、ファッション・アイテムなどが網羅され、現代と当時のギャップ描写も抜かりない。ヒロインが四半世紀前にタイムスリップして戸惑うことばかり。例えば「ヤバい」だって、いまでは肯定語だが、当時は“危ない”など否定語だったりする。いまでこそラップはポピュラーだが、当時はかなりマイナーだとか。


ヒロインを演じる田野は実際にAKB在籍するアイドルで、これが映画デビュー作。歌って踊ってラップもできるあたりポイント高いのでは? オジサンはアイドルより“アイドル崩れ”が好きだけどね。アイドル好きのキミにはバイブルのような快作だ。



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