韓国メディアはなぜ「過剰なゴシップ」を求めるのか、アイドルたちの声なき悲鳴

10月28日(月)17時0分 週刊女性PRIME

ジョンヒョンさん(享年27)とソルリさん(享年25)/ともに本人のInstagramより

写真を拡大

 韓国の人気ボーイズグループ、SHINeeのジョンヒョンさん(享年27)が自ら命を絶ったのが2017年12月。それからまだ2年もたたない間に、同じ大手事務所に所属していたf(x)(エフエックス)の元メンバー、ソルリさん(享年25)の突然の死去が先日、伝えられた。自殺と見られている。



 芸能界の第一線で活躍していた2人だが、ともにうつ病を抱えていたことが明らかになっており、結果的に自殺という極端な選択をしたことに、韓国国内はもちろん、世界中のK-POPファンの間でも大きな動揺が広まっている。なぜ、このような悲しい出来事が繰り返されてしまうのだろうか。

■「アクセス数稼ぎ」のゴシップを求めて



 そもそも韓国は自殺率の高い国で、今年9月に韓国の統計庁が発表した『2018年死亡原因統計』によると、人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率は前年より9・5%増の26・6人。日本、アメリカなどを含むOECD(経済協力開発機構)加盟国の中で、もっとも高い数値だ。そういった“素地”に加え、近年、アイドルを中心とした芸能人を精神的に苦しめているのが、韓国特有のネット文化。

 政府主導でインターネット整備を早くから進めた韓国では、大小さまざまなニュースサイトが乱立しており、アクセス数を稼ぐために他社より早く、そして他社より刺激的な記事を書くのが鉄則。芸能人のニュースには特にその傾向があり、担当記者は芸能人のSNSを四六時中チェックしている。

 私生活をあけっぴろげに公開していたソルリさんのSNSは格好の“ネタ元”で、ブラジャーをつけていなかっただけの何気ない日常写真も、「ノーブラで奇行」といったように、過激なタイトルをつけて記事化。他社もそれに続けとばかり、“コピー&ペースト”のような記事を増産し、あっという間に韓国国内はもちろん、世界中に拡散される現象が常態化している。

 ソルリさんが長年、ネットユーザーが書き込んだ悪質コメントに苦しめられていたことが、いま改めて大きな論争を呼んでいるが、韓国の日刊紙『ハンギョレ新聞』は、「クリック商売に出たマスコミが先頭に立ち、“悪質コメント群”がこれに続き、悪循環をあおった結果だ」という専門家のコメントを紹介。「マスコミからまず自浄すべき」という指摘を掲載した。





 ガールズグループDal★Shabet(ダルシャーベット)のメンバー、セリは、最近、自身のYouTubeチャンネルで「歌手の同僚の中には、うつ病やパニック障害の薬を寝る前に5錠ぐらい飲む人もいる。飲まないと不眠症で眠れないからだ」とコメント。「(そういった病気になるのは)あまりに多くの人々の目に触れ、自分の行動のひとつひとつに(周りが)敏感に反応するから」と苦しんでいる芸能人の実態を明かした。

■自ら「うつ病」を公表する芸能人たち



 一方、韓国の芸能界ではここ数年、うつなどの心の病を公表するケースも増えている。少女時代のテヨンは今年6月に自身のSNSを通じて、うつ病の治療を受けていることを公表。「うつ病で苦労しています。薬物治療を頑張っていて、治すために努力しています」と綴り、揶揄(やゆ)するようなコメントを送ってきた人物に対し、「躁うつ病であれ、うつ病であれ、舌打ちしながら皮肉らないでください。みんな、つらい患者です」と理解を求めた。

 元交際相手とのトラブルなどを苦にし、今年5月、自宅で意識不明の状態で発見された元KARAク・ハラも、うつ病を患っていたことを公表。それでも続く悪質コメントに対し、「うつ病は簡単ではないものです。気楽だからうつ病になったと? 一生懸命、働いた私の努力の証しです。(中略)芸能人はタダで食べて生きているわけではありません。誰よりも私生活ひとつひとつに気をつけなければならないし、家族や友人にも言えない苦しみを持っています」と苦しい胸の内をSNSで吐露。「表現は自由です。けれど悪質コメントを残す前に、自分はどんな人か考えてみることはできないのでしょうか?」と訴えた。

 クリックひとつで好きなアイドルの「今日のファッション」を知ることができ、SNSで直接メッセージを送ることができる。インターネットのおかげで、ファンにとってはなんともありがたい時代になったが、その裏では芸能人の精神的負担が以前より何倍も増加しているのが事実。それをきちんと理解し、たとえネット上でも心のない言葉は人を追い詰める暴力になることを、改めて自覚すべきときがやってきたようだ。

週刊女性PRIME

「韓国」をもっと詳しく

「韓国」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ