瀧内公美がひとり芝居に初挑戦 中村文則の小説を映画化『奇麗な、悪』2025年2月公開
2024年10月29日(火)19時0分 シネマカフェ
芥川賞作家・中村文則の「火」(河出文庫「銃」収録)を原作とする本作は、人の道を踏み外してしまった悲惨な半生を語る女の物語。映画界のレジェンド奥山和由が『RAMPO』以来約30年ぶりに劇映画の監督を務める。
主演は瀧内公美が起用され、ひとり芝居に初挑戦。奥山監督は「自分の才能はかの巨匠の足元にも遥かに及ばないが、幸運なことに中村文則の魅惑的言葉と瀧内公美の演技力に恵まれ、実現出来た」とコメントしている。
またスタッフは、「鎌倉殿の13人」などの撮影監督・戸田義久、美術の名匠・部谷京子、『ミッドナイトスワン』などの録音・伊藤裕規、『PERFECT DAYS』などの音響効果・大塚智子など、日本映画を代表するスタッフが集結。
それに加え、衣装のミハイル ギニス アオヤマ(ギリシャ)をはじめ、編集・陳詩婷(台湾)、ヘアメイク・董氷(中国)と国際色豊かなチームとなっている。
劇中には、精神科医と主人公の関係を象徴する大きな絵画が印象的に映り込んでおり、後藤又兵衛の原画「真実」が使用されている。そして全編を彩るピエロの口笛のメロディーは芸術文化功労賞受賞者であり国際口笛大会(IWC)での優勝歴を持つ加藤万里奈が担当した。
公開情報の解禁と併せてポスタービジュアルも解禁。映画の完成度の高さに期待が高まる。
原作・中村文則氏コメント
映画は、小説よりもどこか「前」を向いている印象がある。
瀧内さんによる、奥に芯の見える主人公像もそうだった。
この映画はこのように完成したことで、「火」の主人公を救ったのかもしれない。
あらゆる文化が平均化していく中で、このような作品が日本映画にあることが、嬉しい。
主演・瀧内公美コメント
2022年6月28日、とっても不思議な映画の企画が届きました。
ひとりの女性が延々と喋り続けている。果たしてこれは映画として成立するのか?
突飛な企画過ぎるけど、ひとり芝居の経験がない私は挑戦してみたいと思いました。
そしてこの女性はこれだけ喋り続けているけれど、このひとが“言わないこと”、“言えないこと”ってなんだろう?を探し続けることとなりました。奥山監督をはじめ、スタッフの皆さんと大勝負に出たこの作品をどう受け取ってくださるのか楽しみにしています。
奥山和由監督コメント
20世紀を代表する映画監督、イングマール・ベルイマンは晩年「A SPIRITUAL MATTER」という女優の一人語りの脚本を仕上げ、映画化を熱望した。にも関わらず、あまりにも突飛なコンセプト故に出資者が見つからず実現出来なかった。
自分の才能はかの巨匠の足元にも遥かに及ばないが、最後にそのような映画を作りたいと思ったベルイマンの想いは相似形のものとして痛いほど理解できる。
幸運なことに自分は中村文則の魅惑的言葉と瀧内公美の演技力に恵まれ、実現出来た。さらに撮影監督の戸田義久さん、口笛奏者の加藤万里奈さん始め才能豊かなスタッフ方々が集まってくれた。本当に幸せな映画だと思う。
そして我が映画人生の最後にこのような我儘を許してくれた全ての方々に心底感謝している。
『奇麗な、悪』は2025年2月21日(金)よりテアトル新宿ほか全国にて順次公開。