首相の威光振りかざす官邸官僚 和泉補佐官は汚れ役厭わない

10月29日(木)11時5分 NEWSポストセブン

和泉洋人・首相補佐官(写真/共同通信社)

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 学術会議問題の影響もあり、支持率を低下させている菅内閣。その菅義偉・首相の周りを固めるのは、警察官僚出身の杉田和博・官房副長官(事務担当)や北村滋国家安全保障局長といった“官邸官僚”だ。その序列は杉田氏が1位、北村氏が2位と見られている。


 そして、その序列を飛び越える官邸官僚が現れた。和泉洋人・首相補佐官だ。菅首相は10月18日から就任後初の外遊でベトナム、インドネシアを歴訪したが、首脳会談の陪席者の席次が外務官僚や同行記者を驚かせた。


 首相の右隣に側近議員の坂井学・官房副長官、通訳を挟んで左隣には和泉補佐官、北村国家安全保障局長の順番で座ったからだ。


「国家安全保障局長のほうが首相補佐官より役職の序列は1ランク上だ。和泉補佐官は外交担当でもないのに坂井副長官と並ぶ準閣僚級の扱いで北村氏と席次が逆転し、側近官僚ナンバーワンということを見せつけた」(外交に強い政界関係者)


 和泉氏は官邸官僚としては異例な経歴を持つ。

東大工学部都市工学科から旧建設省に技官として入省、国土交通省住宅局長などを歴任して退官後、民主党政権で野田内閣の内閣官房参与となった。政権交代で第2次安倍政権が発足すると民主党政権に仕えた官僚が次々に排除されるなかで、和泉氏は首相補佐官に抜擢された。


 とくに菅氏が力を入れたインフラ輸出や沖縄の基地移設問題では官房長官の“代理人”として動き、強引な手法で批判を買った。沖縄の米軍ヘリパッド建設が地元の反対運動で難航すると、和泉氏は隣接地に発電所を持つ電源開発に「本件は官邸で官房長官直結で私が仕切っており、一省庁の問題ではなく、国の問題」と施設を使わせるように要請、「海外案件は何でも協力しますから」と“便宜供与”をほのめかしていたことが電源開発側の文書で明らかになった(沖縄タイムズ報道)。


 また、インフラ輸出ではインドへの新幹線輸出の政府側責任者を務め、現地視察の際に部下だった大坪寛子・現厚労省審議官を同伴、「コネクティングルーム」に宿泊していた公私混同の“不倫出張疑惑”が報じられた。


 加計学園問題では、文科省の前川喜平・元事務次官が、和泉氏に官邸に呼ばれて「総理は自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」と獣医学部の早期開設を求められたことを明らかにしている(和泉氏は否定)。


 改めて前川氏が和泉氏の手法を証言する。


「首相補佐官には各省庁に指示を出す権限はない。しかし、和泉氏は自分は次官より上だと思っているから官邸の自室に呼びつけるわけです。私の時も、“(獣医学部認可を)当然、やるんだろ”という感じで上から目線でいわれた。私は『大臣が決めることです』と答えたが、他の官僚は和泉氏のバックに菅さんがいると思っているから、断わるわけにはいかないんでしょう」


 和泉補佐官は“汚れ役”を厭わず、菅氏の威光を振りかざしてきて強引に懸案を解決しようとしてきたことがわかる。


「菅さんはその能力を高く買っており、菅政権になってから和泉補佐官はますます権勢を振るい、総理は官邸での各省幹部との協議には和泉氏を同席させて内政も外交も意見を求めるようになった」(官邸の中堅官僚)


 首相動静を見ると、政権発足以来、菅首相と会った回数が最も多いのが和泉氏、次が北村国家安全保障局長となっている。


 いま和泉氏はコロナ対策から、菅政権の看板「デジタル庁」創設のために新設されたワーキンググループの実質責任者となり、“不倫外遊”でミソをつけた新幹線輸出でもインド高速鉄道に関する日印合同委員会の共同議長として入札方式を協議、さらに首相の外遊に随行するなど“寵臣”ぶりを発揮している。


※週刊ポスト2020年11月6・13日号

NEWSポストセブン

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